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とことん苦手な相手のことを考えてみたら上手くいったときのこと

身近な人は何度か聞いたことのある話かな(笑)。

わたしは人間関係についてはあまり苦痛に感じないほうだが、それでも今も昔も人の好き嫌いはある。
でも今はフリーなので、どうしようもない人とは付き合わずにいられる。その分仕事に支障があったとしても、リスクとりつつ自分で決められる。

けれども組織で働いている時はそうはいかない。
苦手な人が上司になる、同僚になるというのは通常モードだ。
そもそもがマイクロマネジメントタイプの上司は苦手。心配性で細かく確認されるのも苦手。気合いと根性優先とか、やたらと「協力してみんなで力を合わせて」という人も苦手…とか、自分がわがままなところがあるのは自覚している(笑)。

それでもまあ、大人なので、なんだかんだとうまくはやれてきた(上司の側もずいぶん「こいつはしょうがない」と飲み込んでくれていたと思う)。

ところがそうもいかない相手に出会った。
ある仕事に異動したばかりのときのこと、そこでどっぷり関わる上司がとんでもなく苦手なタイプだった。その業務はすこし特殊でいろんな組織の寄せ集めのようなプロジェクト、その上司に当たる人は「外の人」なのだが、業務上は私の上司でもあり、当プロジェクトでは最重要なキーマンだった。そしてその人が私の前任者と相当に上手くいってない状態で、私が引き継ぐことになった。最初の数か月は前任者と一緒に担当していたのだが、途中で前任者が体を壊して担当を外れることになった。相当上手く行ってないということだけは横から見ていてよくわかった。
「とんでもない細かい人だな…いやだな…」が私の最初の印象だった。前任者ははたから見ると「ネチネチ」「重箱の隅をつつかれて」いるように見えたからだ。

でもその上司は最重要人物で、その人がへそを曲げたらプロジェクトがとん挫するということだけはわかっていた。会議の一つ一つもその人が首を縦に振らないと進まない。小さなことも決められない。滞りまくる。それは気が遠くなりそうだった。

わたしにはその人以外に、「中の人」の上司もいた。相談しても「いやあ、あの人はたいへんだから、とにかく機嫌を損ねないように」としか言われないので、ますます「勘弁してくれ」と思った。当時の私には「どうでもいいことにうるさい」「何にこだわってるのかわからない」と思っていたから、どうアプローチしたら機嫌を損ねずスムーズにいくのか、まったくイメージできなかった。

考えてもわからないし、効率よくスマートに進めたくてもまったくそうはならないし、と思ったある日ふとひらめいた。
「だったらとことん相手の思う以上に細かく報告して、関わって、連絡とりまくって相手の判断軸を見つけてやろうじゃないの」と。
「あなたがそれを望むなら、わたしの気持ちとはまったく違う方法でやってやろうじゃない」と(半ば意地・笑)

その日から自分史上ありえないくらいにコミュニケーションを取りに行った。その上司は日頃「外の組織」にいるのだが、車で30分以上かかるそちらの組織にも、なんだかんだ理由をつけては書類を持っていった。メールや電話はもちろんするが「打合せしたいです」と頻繁に出かけた。
いくつかの定例会議があって、その議事内容も報告事項の一つ一つの順番さえもまったく自由に決められない状態だったので(前任が仮案を出すと、だいたいズタボロにされて戻ってきて、そこから何往復もやり直しになっていた)、自分の意思は地中に埋め込んで(笑)、でもできる限り周辺情報も集めて、上司の過去の言い分も分析しながら気に入る言い回しの文章を作るようにして、もちろん彼の苦言やら要望もあえて聞くようにして、資料も電話じゃなく持参してニュアンス確認して…ということを数か月やり続けた。「ほんとあっちでもこっちでも変わらないのに、なにこれ?」と思いながら、笑えるくらい細かい対応をした(笑)。

そんなある日。
3か月に一度の大きな会議のための打ち合わせの日程調整に電話をした。この会議はそれまで、開催1か月前から準備しても開催1週間前くらいまですったもんだしていた厄介なもので、その担当になって2回目の準備だった。
「あの、今度の〇〇会議ですが、まず一度ご意向を含め打ち合わせにお邪魔したいのですが…」と日程を確認したところ、彼がいきなりこう言った。

「あー、それね、今忙しくてね、準備は柴田さんに任せるよ。経過だけメールで送っといてくれたらいいから。当日の資料は1週間前までに確定させればいいしね」

…なんということでしょう!笑。まさかのほぼ丸投げになったよね。

その日を皮切りに、細かいチェックがなくなり、提案を求められたり受け入れてもらったり、それまで上司自らやっていた他のキーマンとの調整業務を「やっといてくれたらいいから」と言い、会議当日も何かあると「柴田さん、説明して」と言ってくれるように!それはもう「中の人の上司」が驚愕するレベルの変わりっぷりだった。そこからは、わたしと上司は本当にスムーズになり、あうん、ともいえるような呼吸で仕事が進むようになった。

それは本当に私にとってよい経験になった。

後で思えば最初の彼は、前任者の仕事の進め方に対してとことん不信感で一杯になっていたのだろう。基本的に立場のある方で仕事もしっかり丁寧にする人で、そのこだわりを前任者がまともに聞こうとしなかった。もちろん前任者の仕事がそこまで悪かったわけではないのだが、いったん信頼を無くすととことん信用されないってことだったのだろう。そのことが互いに距離を作りだし、やっかいな人、のような空気を醸し出して関係悪化につながっていたのだろう。もちろんわたしもそんなことはわかってはいなかったのだが。
ただ、あまりのやりにくさに開き直って(笑)、相手のことをとことん考えてみるしか手段がうかばなかった。その結果、「相手が大事にしていることを、とことん大事にしてみる」ことの力を思い知った。

よく、上司がわかってくれない、上司は自分だけがかわいいんだ…なんて嘆いている部下の立場の方がいる。たくさんいる。それは見えている現象として正解なのだろうと思う。が、その行動や言動の中に何があるのかは、きっと人によって異なっているはずだと思う。「あいつ、無理」とするのは簡単なので(結局そうなるとしても)、一度はとことん相手のことを考えてみて、相手の大事を大事にしてみる、ってことも考えてみたらいいかもしれないよ、なんて思うんだよね。きっとその経験は、自分にとって得られるものが大きいと思うからね。

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