複数のクライアントさんのお話を聞いていて改めて確認したこと。
そして私が「友だちの話とか聞くの得意だし、よく相談されるんだよ」っていう素人から「聴く専門家」になって大幅に変わったこと、それは、

いかにも自分と似ている人ほど、気を付けて聴かなくてはならない
…ということを言い聞かせ、心がけている、ってこと。

いろんな方のお話を聴いていると、当初から緊張するタイプの相手がいる。
・私にはまったく接点のない業界の人
・属性が遠い人
・意思決定の基準が対極の人
…のような「まったくワカリマセンケド」って人。

とは逆に、安心して聴けそうな人もいる。
・なじみのある（想像のつく）業界の人
・属性が近い人
・意思決定の基準が似ている人
こういう人は話を聴く前から想像がついて、話を聴き始めても違和感がなくて「だよね」ってなります。

そもそも私は、たとえば同世代の女性の中ではいろいろ基準がズレていて、あんまり「そうそう！」ってなることがなかった人生なので（笑）、たまに「あ！一緒！」ってなる人に会うと、心の中ではしゃぎます（ホント・笑）。そのうえ、経歴にちょっと類似点とか見つかると心の中で「あー！わかる！」ってなっていました。

でも昔の自分は、よく話が聴けているのは、前者のタイプであることが多かったんです。だって、全然わからないから教えていただくしかないもの。「それはどういう流れでそうなるんですか」「そのあとどう進むんですか」「そのとき周りの方とはどう関わるんですか」「それをしなかったら、何が起きるんですか」「その普通っていうのは、どういう意味ですか」とかとか、丁寧に聞いて教えていただき、少しずつ近づいていくので。
その結果
「こんなにわかってもらえたのは、初めてです」と言われたりすることもあります。でもやっているのは「ただ、わからないことを、相談してくれる人の目線で確認していく」だけなのですが。それを自然にやれるんですね。あまりにも遠くて「最初からわからない」と思っているからこそ。

一方後者の場合はそこが甘くなっていました（今は違いますよ）。
「…ってことは～なんだよね」「わかるわ、私もそう思う」みたいな浅い理解でわかったつもりになりがちで、相手も「あ、似てるんだな」って思って安心する。前者の場合相手も「わかりますか？ちょっとうちは特殊なんですよ」みたいな構えだけれども、後者は（いろんなことは未確認のままで）「やっぱりそうですよね」みたいにわかったふうになりがちです。

でも、実際には全然見えていなかった、ってことはたくさんありました。
なにか「多分～だよね」を前提にして話していっても、どこかでかみ合わなくなり、しっくりこなくなります。これしかないという解決策が、まったく受け入れられない、そこに至って「なんで？」ってなるのです。でもそれ、最初から「相手のことまっさらな気持ちで見てましたか？」ってことなんですよ。

これは親子とか、夫婦とか、仲のいい友だちとか、長年一緒にやってる同僚とか、つまりは近い人ほど「わかったつもり」で「自分の見立てを押し付けて」いることと同じ。相手は「良かれと思ってやること」が「なんでこんな？！」ってなりますよね。近い人ほど「なんか（わかってくれるはずなのに）全然わかってくれない！」って怒りが多めになるのも、これです。

熟年離婚みたいなことは、その典型かもしれません。

相談をして下さる方はときに「柴田さんは〇〇だから（経歴が近いからとか）安心できると思って」とおっしゃってくれます。いろんな事情がよくわかる、という点で「似た人」に選んでいただくのはとても光栄です。わかることは多いのは確かですから。
でも、相手が私をそう思って選んでくださることとは別に、私は毎回「完全なゼロ」から相手のお話を聴くように心がけていて、それは毎回「そうしてよかった」しかないんですよね。

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