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若者をB層とみなして取り込む自民党

 サントリーが南アルプスの天然水で「ティー」を作ったそうで、「南アルプスの天然水 green tea」という商品が新発売されている。遂に、日本茶という言葉も消えるのかと不快に思っていたら、その上を行くCMが登場した。

 自民党のCMである。鋭い目つきをした、世界で活躍しているらしい十代の若者たちが次々に登場して、「年齢で区別されたくない」「自分らしく生きたい」「伝統を超えたい」と叫び、そこに安倍首相が登場して「新時代politician」という字が現れるのだ。

 初めて観た時は驚いた。よくも恥ずかし気もなく、こんなCMを流せるものだと。なんたって

  politicianである。

 安倍政権の、ひら仮名やカタカナ英語、横文字の多用が意図的なものであること、政治的意図を持っていることが鮮明になった。もはや、その意図を隠しもしなくなったというべきか。 

 そしてもう一つ深刻なのが、世界で活躍しているらしい「意識高い系」の十代が、早くも自民党に取り込まれ、それに違和感を抱いていないらしいことである。構造改革を進める安倍首相は、若者の行く手を阻む規制や古い日本を破壊してくれる、改革者だということだろう。

 そう言えば最近、マスコミがやたらに十代の活躍を持ち上げる。今日も12歳の少女が、スケボーの世界大会で優勝したというニュースが流れている。今夜はこのニュースが盛んに取り上げられるはずだ。それが社会の希望のように賞賛される。

 そして若者の方は、そういう自分たちに寄り添う自民党に親近感を持つという筋書きだ。この「意識高い系」の多くがスケボーやダンス、DJなどの身体系か、数字に強い理系だということも気になるところである。

 『永続敗戦論』『国体論 菊と星条旗』の著者である白井聡は、この状況について、「若者全体をB層とみなして取り込み、国民全体を愚者として見下している」と述べています。

 もはや「若者は、高齢化した護憲リベラルに違和感を感じている」などという水準の話ではなくなっている。少数派になるのも負け組になるのも嫌、反対意見を言って場の空気を壊す人間も嫌い、怒ったような話し方をする人間など顔を見たくない、おしゃれじゃない人間になど近づきたくもない、ひたすら「グローバル、グローバル」だ。

 文字は嫌い、使うメディアはネット、それも動画かライブ配信でFacebookなんてとんでもないという感じ。まさに市場原理の流れそのものである。グローバル経済と独裁が、ここまで相性が良かったとは。ここをどう突き抜けるか悩ましいところだが、取り敢えず現状を正確に把握したい。

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