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WealthNaviの正式リリースから1周年

今日(2017年7月13日)は、WealthNavi(ウェルスナビ)の正式リリースからちょうど1周年となります。

WealthNavi(ウェルスナビ)は、正式リリースから1年間で3万件を超える申込みを頂き、預かり資産も4月末に100億円、6月15日には150億円に達しました。事業の順調な成長は素直にうれしいのですが、それと同時に、3万人もの方々の期待を背負っていることを考えると、日々、身の引き締まる思いです。

WealthNavi(ウェルスナビ)は、すべての人にとってのWealth(豊かさ) への Navigator(案内人)になりたいという想いで創業しました。その背景には、このままでは格差社会がますます進行し、私たち働く世代が安心して生活できなくなってしまう、という危機感があります。

2-3年前に世界中でベストセラーとなったピケティの「21世紀の資本」にある通り、資本のリターン(r)が経済成長率(g)を上回るため、人類社会は本来、格差社会です。人類社会は、19世紀までは格差が大きく、20世紀には、2度に渡る世界大戦や冷戦によって格差が一時的に縮小しました。しかし、その後、冷戦の終結やグローバル化によって、人類社会は再び格差社会に逆戻りしつつあります。

つまり、21世紀が平和の世紀になると、皮肉なことに、格差社会は進行していくのです。そこで、ピケティは「21世紀の資本」の中で、富裕層への課税を強化し、社会保障を充実させるべきだ、と提言しました。

しかし、私自身は、日英の財務省で社会保障政策に関与した経験から、ピケティの提言は正しいものの、日本での実現は難しいと考えています。というのも、日本では、個人金融資産1,800兆円の実に3分の2を60歳以上の高齢者が保有しており、「富裕層に課税を強化し、セーフティネット強化する」という政策を日本で実施しようとすると、「高齢者に課税して、若い世代に分配する」ということになります。少子高齢化という大きな流れの中、そのような政策の実現がどれほどの困難を伴うか、想像にかたくないでしょう。

 そこで発想の転換が必要です。「r > g」、すなわち、資本のリターンが経済成長率を上回ることが格差社会の原因であるならば、いっそのこと、みんなで「gの世界」から「rの世界」へ移民してしまえばよいのです。

 つまり、私たち一人ひとりが富裕層と同じように資産運用を行うことができれば、格差社会から身を守ることができるだけでなく、世界の経済成長率を上回るスピードで資産を増やしていくことができます。資産運用を民主化することが、格差社会に対する最大の処方箋となるはず。それがWealthNavi(ウェルスナビ)の基本哲学です。

 WealthNavi(ウェルスナビ)の正式リリースから1年。本当に多くの方々に支えられて今日までやってきました。この場を借りて、改めて御礼申し上げます。創業の理念に改めて立ち返り、次の1年も1日1日を大切に歩んでいこうと思います。

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