渋谷の工事 2016年4月1日号

山:外山田さん  ザ:ザスペさん  西:西本武司

【オープニング】

山:渋谷区の皆さん、そして現場の皆さん、おはようございます。金曜日、朝9時になりました。この朝9時、金曜日朝9時から1時間の生放送番組『渋谷の工事』のお時間がやってまいりました。

  この番組のお相手は、メインパーソナリティーの外山田洋です。

西:制作部長の西本武司です。

山:この2名でお届けいたします。

西:外山田さん、ちゃんとラジオっぽい事やるね。

  この番組すごい期待が高いらしいですよ。

山:開局。おめでとうございます。

西:ありがとうございます。

山:聞いた話によりますとですね。ラジオ界では、金曜日の朝の9時というのはゴールデンタイム。裏番組では、なんとJ-WAVEでジョン・カビラがやっています。

西:本当にそうなんですか?

山:この『渋谷の工事』一体何の番組なのかということをおつたえしていきます。

【番組の概要】

山:この番組はですね。50年に一度の大工事を迎えている渋谷駅前再開発、

  それから渋谷区役所の建てかえ工事、

今、国民的関心事でもあります、新国立競技場。などの

 渋谷の建設現場の様子を定点観測しながら、お伝えしようと、未だかつてない、“建設現場系次世代型コミュニティー番組”って勝手に僕がつけました。

 すでにもう渋谷駅前は特にですね、大開発で着工しているところがたくさんあるんですよね。渋谷の駅前を歩いていればですね。

 何かやっているなっていうのは多分もうお気づきだとは皆さん思います。

西:スマホばっかり見ていると、気づかないですが、ふと見上げてみると工事だよ。

  右を見ても左を見ても工事なんです。

山:この50年に一度と言いましたけれども、本当に50年に一度の大改修工事、つまり大開発工事なんですね。

  これを取り上げるの多分うちの番組だけです、

西:はい。我が『渋谷のラジオ』だけだと思います。

山:この番組を通じて建設現場って面白いなあと。意外と楽しいじゃん。

  いうことに気づいていただきたい。

西:工事の音すらも愛おしく、聞こえてくるような番組を目指します。

西:たまたまなんですが、我が渋谷のラジオのスタジオがもう本当、工事現場と密接してるんです。通常こういったラジオ局っていうのは、すごい防音設備とかしっかりしているんですが、ただのペアガラスです。

  そして外山田さん、最新情報が入りました。

  我々のスタジオの前にあるタイムスレンタカーの駐車場スペースに

  工事が始まります。

山:え?ここですか?この駐車場がなくなるってことですか?

西:ええ。鹿島建設さんの新たな、現場になるという情報が入りました。

西:目の前で、あの、モノが建ち上がっていく姿も実況解説いたします。

山:建設現場って、囲いがあって。実際に何やっているのかっていう事が、

  誰も分からなくて、気がついたらもうモノが建ってるていう状態なんです。

  実は、周りの人は何やっているのかさっぱりわからないという、その分からないってことを全部可視化しちゃえと、見せちゃおうよというのが、この番組ですね。

【日本唯一の建設現場解説員の登場】

西:我々だけだと、単なるクレーン車が何台とか、そういったことしか、分からないんで、その解説員としてお一人、お呼びしている訳ます。

山:そうなんです。私と制作部長2人だとですね、建設現場についてはド素人なので、野球中継でいったら解説者をお呼びしました。

  日本唯一の建設現場解説員ザスペさんです。おはようございます。

ザ:おはようございます、ザスペです。

山:この方がですね、非常に的確、かつマニアックな視点で、今この現場は何をやっているのか、どんな人が働いているのか、このクレーンは何に使うんだそ、などなどですね。細かく解説してくれます。

ザ:玄人目線で。

山:玄人目線ですね。実際この方、何されているのか、全然わからないんです。

ザ:普段は新たな現場を探しております。

山:この方は、渋谷区お住まいではなく神奈川県から、

  これから毎週金曜日の朝にスタジオに来て、解説をしてくれます。

  そういう不思議な方なんですけれども。

  まあ、おいおいね、番組が進行していくにつれですね、

  この方が、何者なんだということが伝わればと思います。

西:そうですね。それまで番組が持てばいいですよね。

山:そうですねー。

西:これまでどういう現場を、今まで体験されてきたんですか。

ザ:一番多いのは、橋梁が多かったです。

山:橋梁っていうのは橋?

ザ:そうです、橋、下水、道路。つまり土木系ですね。建築屋さんではない。

山:なるほど。

西:土木と建築って違うんですか。

ザ:違います。スーパーマーケットの中に、同じ食品でも精肉店と鮮魚店がありますよね。同じ食べ物だけど両者は全然違うでしょう?

  中の人からすると、土木と建築の違いとはそういう感じなんです。

西:魚屋と肉屋ぐらい違うんですね。 

ザ:そうなんです。違うんです。

山:いわゆる建築物は外から見えますけど。土木って見えないですよね。

ザ:見えないものが多いんですけど、地図に残る仕事は多いです。

山:なるほど、地図に残る仕事か。

ザ:そうです。例えば、国道246とかは道路なので、道路で地図に残る仕事。

  でも下水道というのは、道路の下なので、地図に残らない仕事。

  これを業界用語で言うと“ジンコウ”って言います。

山:ジンコウ?ジンコウってどういう字書くんですか?

ザ:ヒトの……コウですね。

西:口でいいの?

ザ:口じゃないんです、孔子の孔ですね!

ザ:第一人孔、第二人孔 大きさによって色々あるんですが、

  それはまた、おいおい説明していきます。

【ラジオで建設現場を解説する方法】

山:実際、建設現場を解説していくにあたって、どこの何を解説してんのかっていうものが、リスナーの方にわからない。そこで写真を撮ってその写真もとにザスペさんの解説をね、聞いていきたいと思っています。今日の一枚は

 『渋谷のラジオ』のTwitterアカウントに1枚写真がアップされていまます。

 このように今日のお題みたいな形で、写真を1枚アップします。

 それを見ながら、ああだこうだというような話をしたいなと思っています。

西:ここまでわたくしは山田さんが番組概要を丁寧に説明していることに

  感動しております。

山:第一回ですから。

西:お願いします、はい。

<ここに「今日のお題」写真を差し込む>

【建設現場はスパンが長い】

山:この写真。いわゆる渋谷駅前再開発の完成模型写真です。

  完成模型写真ですから、どれも工事中で完成しておりませんし、

  まだ着工もしてないところもあるんですが、

  これが完成予想模型です。この工事がなんと2027年まで続きます。

西:オリンピックが決まったから。いまはなにかと2020年に間に合わせようというムード満載じゃないですか。都内のさまざまな工事も2020年までに間に合わせなければっていう意識の中で、渋谷の工事は2027年目標。オリンピックの先にある。もう意識が違うわけですね。

山:そうなんですよ。特に渋谷駅前の再開発を調べてみたら、

  平成17年に、都市再生緊急整備地域という形ではじまっています。

  まだ東京オリンピック呼ぶ、呼ばないという話の前から、

  ここはもう開発をすることが決まっていましてですね。

  オリンピックにあわせてはじまった工事ではなく、

  建設現場というのは、もっと長いスパンでやっていると。

  今もし、何らかの協議をしているものがあれば、

  それは30年後のことだったりとか、かなり未来のことを、

  今、話し合っているわけですね。

  われわれの目の前で行われている工事現場というものは

  全体で言うと後半なのかもしれないですよね。

西:ザスペさん。今、僕らの目の前にある新しい現場がこれから

  着工するわけですけど。こういう現場は

  何年ぐらい前から計画をされるものなんですか?

ザ:結構な前からしていると思います。

  周囲との調整、そして設計、それから入札が入ってといろいろあるので、

  長い目で見ると10年前ぐらいからは、

  いろいろ構想があるとおもいます。

西:やろうと思い始めた人は、

  少なくとも10年前に思いついているっていうわけですね。

ザ:ですよね。

ザ:そうでないと間に合わないと思います。

  国立競技場をこれから建てかえましょうっていうのは、

  囲われている中のことなので、そんなに前から計画をしなくても、

  こういうものが欲しいっていうことを依頼されれば、

  設計は多分できると思うんです。

  一方で公共のもので道路とかいろんなものが錯綜しているところで、

  設計をしなければいけない。

  だからある程度前から、いろんなことを計画していかないといけないんですね。

  西:家のリフォームとか建てかえとかとは違うわけですね。

ザ:もちろん全然違います。

【渋谷駅周辺独特の多重構造】

山:特に渋谷駅前駅周辺というのは、多重構造ともうしますか、

  すごい何層にも色んな物が重なっているんです。

  例えば一番深くは渋谷川。川がありますね。

  それから地下鉄副都心線、そこに東横線が乗り込んでいます。

  ちょっと上がって半蔵門線があります。

  そして246が通って、明治通りと交差して、その上には首都高が走っていて、

  さらに、JRがあり、銀座線があります……。

西:今、外山田さんね、ほんと説明うまかった。

  もう一回、想像しながら聞き直したいな。

  1番下が副都心線でしょ?そこから?

山:渋谷川。階層的には副都心線の方が下なのかな?

  副都心線ないし、そこに東横線が乗り込んでいます。

  その前に東横線って地上にあったけれども地下化したことによって、

  東横線が乗り込みました。

  そのちょっと上に、半蔵門線がクロスしている。

  で、地上に上がると246、ないし、それをクロスする形で明治通り。

  246の上には首都高があり、そこをクロスする形にJRが、それも山手線、埼京線、湘南新宿ラインなどなど通ってます。

  そしてなんと、地下鉄なのに地上3〜4階の高さにあるのが、銀座線。

  それで自由通路というような通路もありますからね。

  もう複雑怪奇。その周辺で、大規模な再開発工事が行われる。

  工事関係者は大変だろうなあ、というのは想像できますよね。

山:調整だけで、俺もう無理ですね。

  多分ね、勝手な想像ですけど、胃潰瘍とかになって

  すでに何人か入院していると思う。

  当然こういうものは公共のものなので、許認可的には渋谷区、

  もしかしたら東京都。あと、国を動かすものであれば、国土交通省。

  複数の許認可が出てくるでしょうから。

  いやーそこの担当者?絶対なりたくないなー!

ザ:こういう都市土木って、いろいろ絡みが多すぎるので、結構大変なんですよ。

西:どこかに都市土木界の電通みたいのがあって、

  そこに丸投げしておけば調整してもらえたりはしないんですか?

ザ:全然ないですね。各現場の所長の裁量なっちゃうので。

  主任も所長もキレ者でないと、こういうところ難しいです。

  だから、大体、こういう大きい現場やっている所長というのは、

  その会社でも割と優秀な人がやっていると私は思ってます。

西:エースの中のエースしかしか投入できない……。

ザ:例えば今、駅前でも解体とか、いっぱいやっていますが、

  既存のものを生かしながら解体していくには

  いろんな工事をやらなければいけない。工事をすすめていくなかで、

  今使っているものが、使えなくなっちゃうと困るんです。

  万が一、変なところに光ケーブルが入っていて、

  切っちゃったらエライことなっちゃう……。

山:今、思い出した。地下鉄に加えて、当然、上下水道もあるんですよね。

  飲食店とか暮らしている人とか、オフィス街も

  渋谷はものすごい数の人たちが滞留しています。

西:近隣の不動産さんの方に聞いたんですけど、

  ヒカリエが整備された時、その付近にすみついていた

  ネズミが一斉に逃げ出したそうなんです。

  そのネズミが今、また、街に出まくっているそうなんですね。

山:そうか。それは、人だけでなく、ネズミもか。

  飲食店されている方は結構、大問題ですよね。

  一つの建設現場だけじゃなく渋谷みたいな大型の建設現場なると、

  周辺にさまざまな影響を与える、ということですよね。

ザ:これだけ、いろいろ建物があって、飲食店があって、オフィスがあって、例えば下水道の切り回し一つするにも、止めてくださいとか流さないでくださいと、いうこともできないので、先に仮でポンプアップすることも考えるでしょう。

山:ポンプアップ!

ザ:ポンプでバイパスをつくるとか。

山:多分、実際の工事をする前のケアもしなきゃいけないわけですね。

西:断水しますよぐらいで済めばいいことも、

  断水すれば飲食業は商売ができなくなっちゃうし。

ザ:そこはやっぱり、工事関係者の人の気持ちを考えて

 「しょうがないね、その時間だけ我慢するよ」

 って周りの人には言っていただきたいな、と。

山:でも、そうはいかない……。

ザ:そうはいかないんですけど、工事関係者からすると、

  そこ、何とかならないんですか?という感じの人も多いと思います。

  でもそうはいかない。それは、皆がそういうふうに納得してくれたら工事だってもっとスムーズに進むと思うんですけどね。

【渋谷駅前再開発の概要】

山:そんなね、渋谷駅前再開発の全部で6つ。一応調べてきました。今日、この完成模型を見ながら、それぞれ何なのかっていうのを、ちょっとね、紐解いてみたいな思います。

  この模型写真。そもそも、この模型はどこにあるのかっていうと、渋谷のヒカリエの11階にあります。ヒカリエって7階のレストラン街までは皆さんよく行くんですが、11階ってほとんど行かれたことないと思うんですよね。

  だだっ広い空間がエスカレーターでいくと、エレベーターがありまして、

  ちょっと奥にですね、そこそこお金かけなんじゃないかといわれる、

  渋谷駅周辺の見事な模型があるんですよ。

西:うん。これ写真見とすごいねー。これ、結構大きいんじゃないですか、これ。

山:そ、これ、かなり大きかったですね、

  これだけで多分、畳四畳半もありましたよね。

ザ:相当お金かかっています。

山:建築の模型って、専門の模型屋さんがあるって聞いたことあるんですが、

  本当なんですか。

ザ:ありますね。

山:結構、クオリティー高い模型、だな、と。

ザ:相当なレベルですよ。時間もかなりかかっていますね。

西:業界関係者のための確認ツールではないっていうことわかりますよね。

ザ:確認ツールであれば、窓だとか、川の側は張らないと思います。

  ただの、白い建物だけでしょう。

山:結構、詳細にデザインされていますよね。ちょっとこれを解説したいと思います。渋谷の道玄坂の上空から見ているみたいな、そんなイメージです。

西:手前が道玄坂?

山:そうです、そうです。

西:なるほど、

山:例えば右下にあるのが、もうすでに建っているセルリアンタワー。

  それから、そのすぐ左隣、中央やや下のところ、ここが

 「道玄坂1丁目駅前地区」という呼び方をされていました。

  昔の東急プラザがあったところ。

  ここに、例えば空港のリムジンバスの発着場がついたりとかですね。

  要は観光とか、その辺の拠点になるような、

  そういう渋谷の新しい玄関口を目指すというようなことが書いてありますね。

西:ここにあるってことは、これまで高速バスが、グルーっと246回って、

  道玄坂の上から降りてくるというような、

  面倒くさいこともなくなりそうだよね。

山:ちょっと少し動線変わるかもしれません。

  すでにここは着工されていまして。

竣工予定が2018年。

西:これはオリンピックに間に合う。

山:多分、観光を考えれば、海外から来る人と言うのは、受け入れる場所としては、まずここ、ということなのかもしれないですね。

西:久しぶりに、このラジオやることになって渋谷に来て、

  ぶらっと歩いたら、突然渋谷駅の空が抜けていることに気づいたんです。

山:渋谷の西口のバスターミナルの前にあった東急プラザが今、すっかりなくなって、解体が完全に終わっている状態だと思うんですよね。

  これから多分、基礎工事とかが入っていくと思いますが

  このあたりは全く景色が変わりましたよね。

  ここから斜め左上に、ちょっと低い建物と

  一番高いドーンと高い建物があるんですが、

   これが「渋谷駅街区」と言って、渋谷駅ビルですね、簡単に言うと。

西:外山田さん、一つ質問があります。

  先ほどの東急プラザ後の左の4つぐらいのとこにあるのはマークシティですか。

山:そうです。これはマークシティですね。

西:マークシティより高いんだ。

山:全然高いです。渋谷ではセルリアンタワーも相当高いんですが、

  これ見ると、セルリアンタワーが普通に見えますね。

  真ん中、ど真ん中が、渋谷の駅ビル。

  これが中央棟と言われるものと、

  西棟、東棟と、大きく三つあるんですが、

  一番この高いのが地上46階!

ザ:結構、高いですね。

山:これは最後の最後でできるらしく、2027年完成予定。

西:これが2027年。

山:およそ地上230mって書いていますね。

西:これはすごいですね。だって、明らかにセルリアンタワーより高いもん。

  後ろに控えているのがヒカリエ?

山:そうです。1番大きな駅ビルの230mの奥ですね、

  すでに建っているのが、渋谷ヒカリエ。

西:ヒカリエ、建った時、結構でかいなと思ったけど。

山:ヒカリエは地上34階で、高さがおよそ180mあるんですよ。

  これよりも駅ビルは高い。

西:あらあら、ヒカリエの伊勢うどんのお店ってすごい眺め良かったけど全然、

  もう、がっかりなことになっちゃうね。

山:景色変わりますねー。

  渋谷駅前再開発の第一発目がヒカリエというふうになっていますので。

  6つあると言われている中の1個、ヒカリエがもう完成していると。

  この渋谷駅ビルの、低い棟の、左側に

  湾曲したものがあるじゃないですか。

  なんか、屋根みたいなものが何層かに重なっているもの。

西:カッコいいね。

山:これが、今のハチ公のあたりです。

  ハチ公前広場、こんなふうになるみたいです。

ザ:全然違う。

西:雨にぬれないね。

山:雨の日の待ち合わせとかね、なんか、すごいことになっていて……。

西:ぱっと見ると、屋上緑化的に気配られている感じがありますね。

山:そしてハチ公前広場のところに、

  下からマークシティ側から、ずどん、と入ってきているのが井の頭線。

西:え!

山:その延長線上にヒカリエ抜けていくのが、銀座線ですね。

西:この筒みたいなやつが?

山:はい、そうです、そうです。

西:井の頭がここまで来るんだ!

山:そうみたいですよ。

西:手前から北向きに上がっているのが井の頭と銀座線、

  その横にあるのが宮益坂……緑色……左右が明治通りとJR?

山:そうですね

  すごい。大開発なんです。

  246右下から左斜め上に上がったところに

  246の右側にも新しい建物が、模型がありますよね。

  そのちょっと手前の三角形になって緑道のような、緑化されている道路

  これがですね、「渋谷駅桜丘口地区」と言われているとこで、

  ここは遊びを兼ね備えた国際都市渋谷を代表する複合施設が建ちます。

ザ:このシブラジのスタジオのすぐ横?

西:うちじゃん!うち、こうなるの?

山:そう。

西:うち、多分この模型の計画だと周囲のビルに比べて低層だから、

  埋もれちゃいますね。なんか、絵本の小さなお家みたいな感じの状態に。

山:一応ここもね、A棟、B棟、C棟と、三つに大きく分かれていまして、

  1番高い建物が180m。

西:多分、このスタジオ、僕今ちょうどね、そとのガラスを背にして座っているんだけど、このギリギリまで来ちゃうわけだ。

山:180m上に建つわけですね。

西:渋谷のラジオのオープンスタジオもその頃には、

  日が当たらないスタジオに。それまでには引越しですね。

山:この桜ケ丘地区の竣工予定が2020年。

  オリンピックに間に合うかなどうかなというような感じのようですねー。

  その向こう、ちょうど明治通りを渡って

  写真でいくと上側が「渋谷駅南街区」と呼ばれています。

西:渋谷警察の隣ぐらいだ。

山:ここにはクリエイティブワーカーのための複合施設みたいなものが

  建てられるそうで、これでさえも180m。

西:ここに関しては、まだ、ここ、壊されてないよね。

山:でもね、私の手元の資料では、着工しているみたいです。

西:着工しているんですか?

山:はい。完成予定が2018年、これが多分2年後です。

  今、直近で早いなって言われるのが、東急プラザがあった

  「道玄坂1丁目駅前地区」が2018年、

  それから今説明した「渋谷駅南街区」も2018年。

  その次が桜丘。これが2020年。

  そして渋谷駅ビルが低層階、中層階、高層階と、三段階でできていき、

  一番最後に、でかい中央棟みたいなものが、2027年。

  2027年までずっと建設現場を楽しめる!最高ですね。

西:長い番組が始まっちゃったって事ですねぇ。

【お金の話、50年に1度の話】

山:僕はお金の動きが気になったので、ちょっと調べてみました。

西:総予算ですね。

山:まずヒカリエ!1000億。渋谷駅前開発だけで2000億……。

ザ:これぐらいになると、よくわからないですね。

山:そもそもね、この計画っていうのは、副都心線を作るとき、東横線の地下化するんだ、この時からもう始まっているんですね。副都心線作ります、ヒカリエ作ります東横線地下化します、なんていうような総プロジェクト。

  全体で数兆円だろうと言われているそうです。

  すんごい、すんごい巨大プロジェクトですね。

ザ:やっぱりそういう考えると、もう10年以上前ぐらいから、

  いろんな計画がすすんでいますね。

山:渋谷駅前、これ、相当面白いですね!

  聞いた話では、渋谷の今の街ができたきっかけは、

  東京オリンピックだったそうです。

  1964年、50年ちょっと前の東京オリンピック。

  その時に246と首都高が整備され、

  桜丘や南側と渋谷駅の向こう側の線みたいなものが出来たと。

  それを50年ぶりに、すでに街として成立しているものを、

  もう一度リビルドするっていうのは、

  もしかしたら世界的にもね。

  この規模感からいっても、あまりないのかもしれないですね。

西:首都高もちょっと変わったりとかするのかねぇ?

  だって渋谷のとこって、すごい、車線狭いじゃない。

  首都高が東北道と池尻大橋でくっついたじゃん。

  そうすると、その手前が、結構渋滞しがちなんですよ。

  ちょうど道玄坂上がって、左曲がっていくところ。

  あの辺ぐらいが混み始めるから、

  あそこがもう一車線増えたらいいのになーーーって、のは、

  多分、みんなが思っている事。

山:横幅的に大丈夫なのかな?

西:あそこ、だって、僕、人生初めて東京に来て高速乗った時に、

  ああー落ちると思って運転したもん。

  さんまさんのベンツのでっかいやつだったからなおさら。

山:関西の高速道路は、やっぱり首都高よりも広いですよね。

西:広い広い。それで夜中はより狭いく感じるし。

  あれは普通の田舎から来たばかりの人は運転できないと思う。

【渋谷区役所の建てかえ工事について】 

山:あと、渋谷区役所の建てかえ工事も始まっているんです。

西:いま、渋谷区役所は宮下公園からちょっとあがった、

  プラネタリウムがあったあたりに仮移転してるんですよね。

山:仮庁舎ですね。渋谷区役所も調べてみました。渋谷区役所のホームページにですね「庁舎建設室長庁舎プロジェクト推進係」というページがありまして、そこにくわーーーーーしく、やっぱりお役所というのは、きちんと、何があったか、何があるよというようなことキチンと情報公開しているんですけども、建てかえに至る経緯っていうページがありまして、そこにはまず、311東日本大震災が発生したことが書いてあるんですよ。どうやら、そこから耐震補強とかを審査、調査をしたらしいんですよね。震災を機に、これはもう古いから建てかえをしましょうってなったのか定かではないんですが、その辺から耐震補強の案を出したりとかですね、翌年の平成25年に「総合庁舎の建て替えを求める決議」というのがされたそうなんです。

西:今の長谷部区長がなる前からなんだ。

山:3年前に区役所の選定事業者というのが決っています。

  代表としては三井不動産、実際の設計が日本設計。

西:ザスペさんには、

  各ゼネコンのブランドの説明とか、お願いしたいですよね。

ザ:各業者さんは、いろんなことでニュースになるところもありますよね。

  たとえば、某会社で、杭が足りるとか足りないだとかね。

  そういうの発覚すると、その区の担当者からは

  「オタク大丈夫なの」みたいなことを嫌味言われたりするんです。

  現場での段階検査がいろいろあるわけで、

  そういう事件があったりするとそれがすごく厳しくなってちゃう。

西:かと言って、杭を余分に20本ぐらい増やしておきましたって

  わけにいかないないですよね。予算もありますし。

ザ:現場の所長とかその主任とか、受け持つ人からすると、

  ほんとにやりづらいもんなんです。

  一つミスがあったり、何かトラブルが発生すると、

  もう全部そこの会社の責任となるので、

  ここは大丈夫なの?あそこは大丈夫なの?って、

  普段では探られないような腹まで全部探られます。

  普通だったら、すんなり進むものが

  遠回りしたり、余計に予算がかかってみたり。

  そんなの予算計上してないし、どうしようと悩んだり。

  「実行予算」との絡みを見ながら、

  皆さん方、現場を動かすので、大変だなと多分、思います。

山:何だろう「実行予算」って……。

ザ:なんでも予算書っていうのがありますよね。たとえば10億円で取った仕事がある。この10億円でこの現場ではどういうふうにお金を使って、粗利がこれだけで、純利がこれだけという予算書を作る。それを「実行予算書」って言います。実行予算書をもとに現場を動かしていって、下請けさんに発注できるものは先に発注。もし、請け負い出来ないものは、会社にはたとえばこれだけ予算の中で利益が25%残りますと。でも終わった時に、それが26%だったら万々歳。予算は守ることが大事なんです。でも、万が一、そういういろんなトラブルがあったり、たとえば、目に見えないものが出てきてしまった、そうなるとお金が余計にかかる。公共工事であれば、お役所に言って「この出てきた、この追加のお金をください」ていうのも分かるんですけど、実際は10万円かかっているものが3万円しかもらえなかったりすると、赤字になってしまう。そういうのが積もり積もってくると、終わったときに、請負金額が11億とか12億になりました、予算が25%じゃなくて18%になりました。そうなると会社もおいおいっ!

  と、なっちゃう訳です。

山:しかも建築土木は、その動くお金がでかいですよね。渋谷ですら兆でしょ?

ザ:そうなんですよ。作業員さんが100人来て、

  その日にやろうと思ってた事ができなかったりすると、

  一気にその人達の人件費とかが、無駄になっちゃうわけです。

  超ハイリスクなんですよ。

西:現場は別のことでヒィヒィしているんですね。

  ご苦労様です!工事の方!ご苦労様です!

山:自分の家の近くで工事があると、うるさいなとか、埃があーーーとか思ってしまいがちですけれど、中で働いている人たちの目線というのもやっぱあるわけなんですね。そういうところもね、これから丁寧に拾っていきたいと思います。

西:これからは工事関係者の方とすれ違った時、朝ランや散歩する時もすれ違ったときにおはようございますとか、みんな挨拶するでしょ?それとも同じように、「御苦労様です」と、言っていこうかな、と。

山:そういう気持ちね。

西:今日から言っていきます。御苦労さまですと、

  街を代表してご挨拶していこうかなーーーと。

  あいさつ運動、外山田さんもお願いします。

山:ちょっと話がもどりますが

  先ほどの渋谷区役所新庁舎ができるのが、

  2年後、の2018年……。

西:意外と早いですね。

山:意外と早いって、多分それが普通で、

  今駅前で行われているのが、ちょっと、かかりすぎちゃってるから

  麻痺しちゃってるんじゃない?住宅2ヶ月で作るのとはわけがちがう。

西:そうだね、俺んち、二年かかるって言われたら嫌だよね。

山:そう、渋谷区役所についても

  今何が行われているのかとふれていきたいと思います。

  できればね、先ほど出てきた、渋谷区の庁舎プロジェクト推進係の方にも

  ご出演いただいたりして。渋谷区の土木課とか、課長さんとか、

  今、どうなってんすか?というのを聞きたいなと。

【新国立競技場とザハ追悼】

山:もう一つ、もうひとつ想定しているのが新国立競技場!

  実はね、新国立競技場そのものは新宿区なんです。

  調べたら、目の前の道路までは渋谷区なんですよ。

  なので、道路を挟んで渋谷区側から見ようかな。

  いわゆる渋谷区からの景色として。

西:渋谷区の景色に、もう、新国立入ってくるということですね。

山:住所的な線引きを見て面白かったのは、

  新宿御苑ってあるじゃない?あれ、一部、渋谷区なんですよ。

  あとね、新宿駅の新南口側、高島屋や東急ハンズがあるところ。

  あそこも渋谷区なんです。東急ハンズ新宿店ってあるじゃないですか。

  正確には、東急ハンズ渋谷店!だから、渋谷には東急ハンズが2つあるんです。

ザ:東京ディズニーランドみたいな……本当は浦安なのに……。

山:意外ですよね。新宿駅南口って言われているのに、あそこは渋谷区なんですよ。目黒駅は目黒区にないとかね、ちょっとした小ネタがありますが、実はあの周辺は渋谷区なんですね。ということで、新国立競技場は新宿区なんですが、道路を挟んだ渋谷区からの景色として、

  これは国民的関心事でもございますので、定点観測をしていこうと思います。

西:今、更地になっているの?

山:更地です。何も起きてないです……

西:この前、プランは発表されたけど、建築の土木の段取りなどは

  まだまだこれからですよね。

ザ:これからだと思います。業者も決まっていましたよね。

  だから、これから乗り込みだと思います。

山:大成建設さんだったかな?

ザ:確かそうですね。

西:2人は生活に土木が入っているね。

ザ:私はその、新国立競技場のことをいろいろ考えていて、

  こんな声になっちゃったんですよ。別に花粉症なわけじゃないんですよ。

  昨日、とある事件がありまして。

山:新国立競技場といえば、新しく決まった。

  最終的に決まった方の設計者のお名前ってパッと皆さん出てこないですよね?

西:こない。たしかにでてこない。

山:じゃあ、1回決まったけど、白紙撤回された方のお名前って覚えています。

西:覚えていますよ。あの、ジャバズハットみたいな顔のザハさん!

山:ザハさん、ザハ・ハディドさん。

  実は、つい数時間前、速報でニュースが流れまして、

  お亡くなりになられました。

西:ラジオなんで、黙とうが出来ないのが、残念です。

山:新国立競技場といえば、結果的には白紙になりましたが、

  ザハさんの何とも言えない斬新なあのデザイン。

西:僕はあれがよかったと、心の中で思っています。

山:私は明言していました。ザハの案が1番いい!ザハに戻すべきだ!と、僕はずっと言っていたんですね。諸説、いろいろあるのでね、もう過去の話ですから、蒸し返してもしょうがないですけれども、大きなああいう、大型のスタジアム建築っていうんですかねー。ああいうものに、日本人が関心を示したということだけとっても、ザハさんの功績は、すごく大きいのかもしれない。

ザ:決まっていれば、遺作になっていたかもしれない……

山:シンボリックな流線形のような、何とも言えないデザイン。

  人とケンカしてでも絶対これを建てるんだ、ぐらいな、

  威圧的なデザインね。

西:ザスペさんは、それで昨夜は泣かれたっていうことで……

ザ:もちろんですよ。

山:そう。残念ですね。しかも今日、この『渋谷のラジオ』開局日に新国立競技場を取り上げるんだって宣言しようと思っていた矢先にですね、数時間前にザハさん、亡くなられたと……

西:建築土木的には忘れられない日になりましたね、4月1日は。

山:多分ですね。結果的にはザハさんの、あの建物は建たないですが、かなり挑戦的なチャレンジングな建物であったのは事実なんですね。もし仮に、日本で実現していたら、日本の建築土木設計含めレベルが1個上がるんじゃないかって言われるぐらいな、かなりチャレンジングなものだったというのは聞いたことありまして、そういうような見方をしてもですね、ちょっと惜しかったなと。

西:多分ね、ああいうものが出来ると、周りの景色全部変わるからね。周りの人たちにも新しいもの建てようとなった時には今までと多分違ったものやってみようかなとか、そういうムードになったでしょうね。

山:スタジアム建築なんて、とてつもなくてでかいですよね。

  多分、多分、日本国内、世界も含めて箱として作るものとしては、

  スタジアムというのが1番大きいんですか?

ザ:かもしれない。

山:もちろん、明石海峡じゃないですけど、ああいう大型の橋というのもあるでしょうが、街中ということを考えると、駅なんかより全然大きいですしね。

西:去年も、北京で世界陸上見てて、鳥の巣って、あれも変わったスタジアムなんですが、タクシーとかに乗っていると、運転手が「おい、鳥の巣あるよ」って言って、ゆび指すんすよ。普通の形のスタジアムならそんな事ならないと思うんですよね。なんか、変わった建築っていうか、なんか見栄えが面白いっていうものは、充分観光産業になるんだなと思った次第です。

山:おっと、あっという間にもう、お時間になりましたねぇ。

西:意外と早く終わりますね。

山:そうですね。きょう初めてお伝えしました『渋谷の工事』ですけれども、

  今日、長々とお話したようにですね、

  いろんな、さまざまな建設現場の様子を定点観測しながら、皆さんにお伝えしていこうと思っております。

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テキストライター/藤城亜砂

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