やっぱり、「自律」だった。
これらの本を読みました。
語り口的に比較的スッと入ってきたコチラの本を読んだ感想を。
「人的資源管理」とは
人的資源、「ヒト」「モノ」「カネ」で言うところの「ヒト」。
「人的資源管理」というと堅苦しくてわっかりづらいのですが、結局は企業が継続的事業体でありつづけるための資源である「人材」もとい「人財」をいかに管理し、評価し、増やすか、という話です。
人的資源管理の代表的な機能を見ても、管理か評価か開発(増やす)の話に収斂されますね。
人的資源管理の諸機能
●雇用管理
●キャリア開発
●人事考課
●報酬管理
●福利厚生制度
●労使関係
この一言に痺れました。
人的資源管理は、基本的に、企業組織において、労働者の自律性と他律性を組織目的に向けて統合しようとする諸制度といえる。
人的資源管理の基本的課題は、労働者における自律性と他律性の矛盾を考慮しながら、組織の課題としての経営効率と労働者の人間性をいかに統合するかである。
二言でした。
「人的資源管理」の要を巧みに表現したフレーズだなと、感動しました。
なんで「人的資源管理」っていう概念が必要になるのかといえば、それは「雇用」という関係が結ばれた時点で、「他律」と「自律」が発生するからにほかならないんですよね。
被雇用者の自律的行動のみで雇用主の事業が維持継続できることが究極的に目指すところですが、歴史的にそうではなかった。
その「他律」と「自律」を時に強引にすり合わせ、仕組み的に解決していこうという概念が「人的資源管理」。
社会課題としての人的資源管理
日本的経営の三種の神器といえばこちら。
●終身雇用制
●年功序列制
●企業別労働組愛
間違ってるかもしれないんですが、これって「働く」ことにおいての「自律」を放棄することを可能にする制度だと思うんです。
定年までクビを切られることはない、年齢に従って給料が上がる、組合が生活向上の働きかけを行ってくれる。
雇用においてのネガティブ要因を取り去る働きとしてはすごくよく設計されたものだと思います。
一方で、「期待理論」ではないですが、自分の将来像が見えてしまうばっかりに、大半の被雇用者は目の前の仕事を死ぬ気でやろうとか、何か新しいことをやってやろうとかっていう気概は生まれにくいのではと個人的には思います。
話がやや飛躍しますが、そういう状況で育ってきた(企業人としてもその子息としても)人が、どこからどんな敵が登場するかわからないグローバリゼーションという乱戦において競争力を持ちえるとは思えません。
日本の景気後退についていろいろと分析されていますが、ひとり一人のグローバル市場における競争力(人材価値)の低さは紛れもなく重大な要因ではないのでしょうか。
結局、自発的な「これやりたい!!」を会社のあらゆるリソースを使って叶えようとするところにイノベーションが生まれるわけで(大半は個人の「これやりたい!!」がイノベーション起こして肥大して企業になっていくわけですが)、「このくらいでいっか」が「これやりたい!!」に勝てるのは「規模」でしかなく、グローバルなソーシャルエコノミーというのは、「規模」を「共感」(「納得」「同意」の意を含む)で手に入れられるわけですから、「規模」だけで勝つのはどんどん困難になってる。
どういう「人的資源管理」をする企業にヒトが集まるのか
そんな、令和戦国時代にどういう企業にヒトが集まるのかというと、私は、「他律」的な人がその企業で働いていくうちに「自律」的になる組織としての企業だと思うんです。
その企業として持っているものが「制度」かもしれないし「組織」かもしれないし、「文化」かもしれない。
「雇用」される時点で被雇用者は自分に持ってないものを求めてくるはずで、その究極が「他律と自律のすりあった状態」なんだろうと思うわけです。やりたいことが明確であれば起業するなりフリーランスで働けばよいので。
ここに、企業が大きくなる難しさがあるのではと思います。
「自律」的な人しか採用しません、というのは「自律」的組織であることを維持するには比較的(あくまで比較的)容易かもしれませんが、多くの人を雇うことはできない。
大きくなる、多くの人を雇うとなれば、必然的に「他律」な人、というか、「他律的な動機でその企業に入ろうとする人」や「他律性多めな人」を受け入れる必要がでてくる。
例えが悪いかもしれませんが、ウェブマーケティングの獲得系の広告で、出稿額を増やすとどんどんCPAが悪くなっていくのに近いですよね。
人財も量と質があるとしたら、質を取ると量は取れない。
とすると、「「自律的組織」であるために」という観点から、制度や組織、文化を考えなければならないということになります。
というわけで、人的資源管理をとおして、「自律」の大切さを学んだという話でした。
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