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特定の基金に対する負担金等の必要経費算入に関する明細書はe-Tax(電子申告)から添付不可です

こんにちは、しちゃうおじさん(以下「しちゃおじ」)です。

先月1/25に、以下の記事{個人事業主の「特定の基金に対する負担金等の必要経費算入に関する明細書」の書き方(記載例)}を書きました。

この「特定の基金に対する負担金等の必要経費算入に関する明細書」というのは、個人事業主の方が「経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)」の掛金を必要経費に算入する場合に、令和3年分の申告から確定申告書に添付が必要となってくる新設様式のことです。

令和2年分の申告までは、「中小企業基盤整備機構(中小機構)」のHPに掲載されていた様式例「中小企業倒産防止共済掛金の必要経費算入に関する明細書」を自作して自宅保管しておけば良かったのですが、新設様式の明細書は確定申告に添付する必要があります。

「しちゃおじ」は、別の調べ物をしていて偶然この新ルールを知ったのですが、国税庁から周知がされているわけではないので、大多数の方が「聞いてないよ~」状態だと思います(といいますか、このまま何も知らずに確定申告を行なう方がほとんどだと思われます)。

国税庁のHPから新設様式の「特定の基金に対する負担金等の必要経費算入に関する明細書」をダウンロードして内容を確認してみるとわかりますが、

国税庁:特定の基金に対する負担金等の必要経費算入に関する明細書
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/yoshiki/02/pdf/061.pdf

2ページ目には、以下のように記載されています。

この明細書は、個人が、租税特別措置法第28条に定めるところにより、特定の基金に対する負担金等につき、必要経費に算入をする場合に使用します。
この明細書は、確定申告書に添付してください。

ということですので、この「特定の基金に対する負担金等の必要経費算入に関する明細書」は確定申告書に添付する必要があるのですが、e-Tax(イータックス)から電子申告する場合は、一体どのようにしてこの新設様式を添付することができるのでしょうか?

先に結論を申し上げますと、(この記事を書いている令和4年2月時点においては)e-Tax(電子申告)にて「特定の基金に対する負担金等の必要経費算入に関する明細書」を添付することができません。

「ホントかよ?」と思われる方もいるかも知れませんので、一応「しちゃおじ」が色々やってみたことを記録も兼ねて書いておきますね。

※2023年1月17日追記:
2022年に続いて2023年も「特定の基金に対する負担金等の必要経費算入に関する明細書」はe-Taxから添付できませんでした。詳細につきましては、{2023年の青色申告完了!特定の基金に対する負担金等の必要経費算入に関する明細書はe-Tax提出不可}の記事をご覧ください。

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① 確定申告書等作成コーナー

まず「しちゃおじ」は、例年のように国税庁の「確定申告書等作成コーナー」から確定申告(青色申告)を行っています。

2022年度最新版の「確定申告書等作成コーナー」利用手順につきましては、以下の2記事【前半・後半】を一読していただきたいのですが、

最後の最後まで「特定の基金に対する負担金等の必要経費算入に関する明細書」の添付ができる画面が表示されることはありませんでした。

それもそのはずで「経営セーフティ共済」の掛金は「損益計算書」の「支払手数料」の金額の一部でしかありませんので、現状の「確定申告書等作成コーナー」のシステムでは、申告者が「経営セーフティ共済」を利用しているのかどうかは把握できません。

ですので、申告を終えた後に表示・印刷のできる「令和3年分の申告書等送信票(兼送付書)」を確認しても、以下のように「別途提出」欄に「特定の基金に対する負担金等の必要経費算入に関する明細書」が明記されるようなこともありません。

令和3年分の申告書等送信票(兼送付書)の別途提出欄

しかしながら、「確定申告書に添付してください。」という新ルールになっているのです。

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② e-Taxソフト(WEB版)

次に「しちゃおじ」は、「e-Taxソフト(WEB版)」から「特定の基金に対する負担金等の必要経費算入に関する明細書」の添付を試みることにしました。

参考:e-Taxソフト(WEB版)について
https://www.e-tax.nta.go.jp/e-taxsoftweb/e-taxsoftweb.htm

「e-Taxソフト(WEB版)」の右側にある「送信結果・お知らせ」メニューには、以下のように書かれています。

e-Taxに送信した申告・申請データの送信結果、税務署からのお知らせ等を表示できます。また、送信結果の印刷や添付書類(PDF)の送信もこちらから行えます。

「添付書類(PDF)の送信もこちらから行えます。」とありますよね。

参考:添付書類のイメージデータによる提出について
https://www.e-tax.nta.go.jp/imagedata/imagedata1.htm

上記のページを確認すると、以下のように書かれています。

e-Taxで申告、申請・届出等を行う場合、別途郵送や税務署の窓口で書面により提出する必要がある添付書類について、書面による提出に代えて、イメージデータ(PDF形式)により提出することができます。

ここで言うところの「イメージデータ」とは、PDFファイルのことですね。

ですので、「しちゃおじ」は国税庁のHPからダウンロード&プリントアウトした新設様式にボールペンで記入した後、近所のコンビニでPDF化した「特定の基金に対する負担金等の必要経費算入に関する明細書」を「e-Taxソフト(WEB版)」から送信してみることにしました。

詳細は省きますが、そのときの模様を簡単に紹介します。

まず、「e-Taxソフト(WEB版)」の「送信結果・お知らせ」メニュー最下部にある「添付書類(PDF)の送信」の「▶ 操作に進む」をクリックしてみたところ、

添付書類(PDF)の送信

以下のような画面が表示されました。

受信通知の選択

「受信通知の選択」にて「直近分に添付書類(PDF)を追加送信することができる受信通知はありませんでした。」とメッセージが書かれています。

今考えると、この時点で「e-Taxソフト(WEB版)」のシステムが「特定の基金に対する負担金等の必要経費算入に関する明細書」に未対応であることがわかるのですが、「しちゃおじ」は「確定申告書等作成コーナー」とは別に「e-Taxソフト(WEB版)」も新規登録が必要なのかな?とも思ったので、「利用者情報の登録・確認・変更」から「新規登録」を行いました。

e-Taxソフト(WEB版)の新規登録

新規登録が完了後、今度は「e-Taxソフト(WEB版)」の真ん中にある「申告・申請・納税」メニューから添付ができないか?を探ってみることにしました。

申告・申請・納税メニュー

まず、「作成済みデータの利用」の「▶ 操作に進む」をクリックします。

作成済みデータの利用

「作成済み手続きの選択」にて「作成済み申告・申請データ」を読み込ませると、「データの表示」が表示されます。

作成済み手続きの選択
データの表示

下部に「添付書類(PDF)追加」ボタンがありますので、こちらをクリックすると「添付書類送付書」が表示されました。

添付書類送付書

右側の「追加」をクリックして、「1.ファイルの選択」の「参照」にてPDF化した「特定の基金に対する負担金等の必要経費算入に関する明細書」を選択すると、「添付済みの添付書類(PDF)」に追加表示されました。

添付書類(PDFの添付)

「決定」をクリックすると、「添付書類送付書」に「特定の基金に対する負担金等の必要経費算入に関する明細書」が追加されていることがわかります。

添付書類送付書に追加

『おっ、これは行けるのか!』と思ったのですが、この後に電子署名を2回ほど行って送信してみたところ、以下ように赤✓にて「エラーが発生しました。」が表示されてしまいました。

エラーが発生しました

「エラー情報」には、以下のように書かれています。

送信された申告等データは添付書類(PDF)送信対象外のため、書面により提出してください。

ということで、やっぱり「特定の基金に対する負担金等の必要経費算入に関する明細書」は「確定申告書等作成コーナー」と同様に、「e-Taxソフト(WEB版)」でも未対応となっています。

つまり、e-Tax(電子申告)にて確定申告書に添付することができません!

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③ 管轄の税務署にTEL確認

最後に「しちゃおじ」は、管轄の税務署に電話してこの件に関して確認してもらうことにしました。

「しちゃおじ」の電話を受けていただいた税務署員の方も、この件に関する情報共通がされておらず把握していないとのことで、調べていただき折返しの電話をいただいたところ、結論としては「(お手数ですが)書面で提出してください」とのこと。

ということでしたので、e-Tax(電子申告)は諦めて「令和3年分の申告書等送信票(兼送付書)」と「特定の基金に対する負担金等の必要経費算入に関する明細書」の2枚を84円切手を貼った封筒に入れて郵便ポストに投函してきましたよ。

でね、こんなんだとe-Taxから電子申告する意味も価値も半減するので、来年度には「特定の基金に対する負担金等の必要経費算入に関する明細書」にシステム対応するように強く要望したところ、口約束ではありますが「必ず対応します」との回答をいただきました。

今回は管轄の税務署にTEL確認をした手前もあってきちんと郵送しましたが、もし令和4年分も未対応のままだったら次回は郵送しません(保管はします)。これ、申告者の不備ではないので。

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「特定の基金に対する負担金等の必要経費算入に関する明細書」がe-Taxで添付できない件まとめ

① 令和3年分の確定申告にて「経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)」の掛金を必要経費に算入する場合は、新設様式の「特定の基金に対する負担金等の必要経費算入に関する明細書」の添付が必要である。

②(この記事を書いている令和4年2月時点においては)「確定申告書等作成コーナー」も「e-Taxソフト(WEB版)」も「特定の基金に対する負担金等の必要経費算入に関する明細書」に未対応のため、電子申告にて確定申告書に添付をすることが不可である。

③「確定申告書等作成コーナー」や「e-Taxソフト(WEB版)」などで確定申告を行った場合は、別途「令和3年分の申告書等送信票(兼送付書)」と「特定の基金に対する負担金等の必要経費算入に関する明細書」の2枚を管轄の税務署に持参や郵送をする必要がある。

「特定の基金に対する負担金等の必要経費算入に関する明細書」がe-Tax(イータックス)で添付できない件のまとめは以上になります。

「特定の基金に対する負担金等の必要経費算入に関する明細書」の書き方(記載例)につきましては、以下の記事を参考にしてください。

個人事業主の「節税対策」と「無駄な費用をかけない青色申告」にご興味のある方は、以下の記事も参考にしてください。

以上 – 特定の基金に対する負担金等の必要経費算入に関する明細書はe-Tax(電子申告)から添付不可です – でした。

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