King & Prince 5th Album「ピース」に寄せて

2023年8月16日、King & Princeの5枚目となるアルバム「ピース」が発売された。SNSでは「#ピース発売日」や「#KP5周年」といったハッシュタグをつけて喜びを表現するファンの言葉やファンアートで賑わい、記念日らしいお祭りの様相だった。かくいう自分も当日は休暇を取り0時を迎えた瞬間に祝杯と称して身内とグラスを交わしていたし、アルバムを聴き、いて居ても立っても居られずこれを書いているのだから間違いなくお祭りを楽しむ観衆の一人である。

そんなわけで一観衆の記録として、素敵な曲たちを送り届けてくれた関係者の方々への感謝とこの曲たちと一緒にこれからの日々を過ごせる喜びを、受け取った瞬間の熱量そのままにここに記しておきたい。
なおまあまあな分量なので興味のある部分だけ読むのをおすすめする。


ピース全体所感

2人が気負わず、今"歌いたい"にこだわった最高に幸せな13曲(通常盤のみ14曲)

King & Prince 5th ALBUM「ピース」特設サイトより

2023年5月23日に2人で再スタートを切ったKing & Princeから届けられる言葉の端々からは「等身大の自分達を見せる」「自分達がまず楽しむ」という姿勢が一貫して感じられる。
13枚目シングル「なにもの」と同時並行で進められてきた今作「ピース」にもまさしくその姿勢が投影されており、明確なコンセプトを設けていないからこそジャンルレスな楽曲に彩られたアルバムは、初の収録となるソロ曲含め彼らのポテンシャルの高さを知らしめるのに十分な仕上がりである。全曲通して聴き終えた後はフルコースを食べ終えた時のような満足感に浸った。
選曲もさることながら曲順の秀逸さにも触れたい。本人達もこだわったと話していた通り、起となる静寂のパレードでアルバムの世界観に引き込まれ、承・転というように曲が展開いき、最後はHappy ever afterで結ばれる流れが非常に美しい。自分なら間違いなくこのままライブのセトリに採用するだろう。なんなら通常盤収録のTOGETHER WE STANDをアンコール、ツアーT着用で客席に手を振りながら歌う2人の姿まで見える(見えない)。
ライブのセトリはさておくにしても、静寂のパレードで「笑い合えるように」と歌い、TOGETHER WE STANDでまた「笑い合おうよ」と重ねるのも、なにもので「マイク一本で」と歌った後にThat's Entertainmentで「マイク一本上等」と畳み掛けてくるのも非常によく出来た構成で、これも意図的な配置のように思えてしまう。まぁファンの深読み程間抜けなものもないので、そんな仕掛けを感じさせる構成がお見事というのに留めておきたい。

オタク・ライナーノーツ

発売日までの期間にひとつずつ包みを開けるが如く解禁されてきた楽曲たち。その解禁とともにオフィシャル・ライナーノーツを通じて届けられてきた作り手である2人の楽曲に対する想いと解釈はアルバムへの期待値を上昇させ続けてくれた。
ライナーノーツの多くは音楽ライター等によって整えられた文章として目にすることが多いが、まるで雑誌のインタビューのように2人の会話形式で展開されるのがなんとも贅沢で楽しい。
公式にこんな楽しいことされちゃうと乗っかりたくなるもので。頭の中に浮かんだのは髙橋海人先生の作詞作曲として話題になった「話をしようよ」(注1)の一節。
『目には目で 歯には歯らしいから じゃあ、愛には愛を』
つまり、ライナーノーツにはライナーノーツを。
そんなわけで音楽的知識や機知に富んだ解説とは程遠い、素人によるほぼ感想文なライナーノーツを綴る。

1.静寂のパレード

華やかに響く鐘とスネアの小気味良い音に胸が高鳴る、オープニングを飾るに相応しい一曲。
一方音の華やかさとは裏腹に歌詞は少し不穏。『嫌いにはなれないし否定もしたくない』『幸せを信じていたい』『温もりを感じていたい』これらは全て願望であり、今日の"僕"が持ち得ていないものだからこそ願っている言葉のように捉えられる。
初手から解釈が分かれそうな曲だが、その解釈違いを恐れずにいうならソーニャ(注2)のキャラソンみたいな曲だと私は感じた。オフィシャル・ライナーノーツで『賑やかな世界で 一番大事なものを どうか見失わないで』という歌詞を聴いて「たしかに!」と思った廉くんのエピソードが載っているが、ドラえもんやのび太たちとの交流で心を取り戻したソーニャがどうしても頭を過ぎる。個人の解釈なのでどうか許して欲しい。
話が逸れたので歌詞の話に戻ろう。前述した通りこの曲はただ明るい華やかな曲ではない。どちらかというとこの"僕"は逆境の中にいるようにさえ思う。だがオフィシャル・ライナーノーツでも言及があった通り『歩いていく』という歌詞があることによってその中でも前向きであろうとする印象を受ける。またこの『歩いていく』は曲の中盤に2回、最後に4回、合計6回出てくるが、中盤の1回目は廉くん、2回目は2人、最後の1回目は廉くん、2回目は海人くん、3・4回目は2人という細かい歌割りがされている。この先の未来を"2人で"『歩いていく』という決意を感じて個人的にはとてもグッとくるポイントだ。

2.My Love Song

本アルバムのリード曲。パフォーマンスを見る機会は他曲より自然と多くなるため、まるで実家のような安心感(その一)。

「愛の再告白」をテーマにKing & Princeが老若男女すべての人に届ける王道ラブソング。

King & Prince 5th ALBUM「ピース」特設サイトより

アイドルらしい王道ラブソングでありながら"君と僕"に限らない大きな愛をテーマに掲げた2人のこだわりを隅々まで感じる曲だ。
オフィシャル・ライナーノーツには「最初の歌詞にあった"好き"っていう言葉を全部消してもらった気がします」というなかなか大胆な注文が書かれていて驚いたが、確かに歌詞の中にはその表現は出てこない。だからこそ『記憶に挟む栞 そのどこにも君が居たんだ』や『振り向いて頬が緩む そんな一秒一秒をメロディに刻む』など美しい表現で描かれる愛の言葉が光る。
「愛の再告白」として彼らがファンに向けて贈ってくれる言葉はそのまま彼らに返したい言葉でもある。
『その笑顔を見ていたいよ もう一回 もう一回』どうか少しでも伝わっていたらいいなと願う。

3.なにもの

King & Prince13枚目シングルであり、新体制になって初めてリリースされた曲。
髙橋海人・森本慎太郎(SixTONES)がW主演を務めた日本テレビ2023年4月期日曜ドラマ「だが、情熱はある」の主題歌でもあり、この曲を聴くとドラマやエンディングの映像が頭に浮かぶ人も多いんじゃないかと思われる。ドラマの話に言及するとキリがないので割愛するが、オードリーの若林正恭を見事に演じ切った彼の芝居は『だが情落ち』のファンを多数生んだのも頷ける怪演だった。
本人達が「2人になってからの名刺となるような曲」と言っていたが、この曲が流れてきた瞬間家族全員「お、キンプリ」となるのでまさしくその表現通りの存在と言っていいだろう。もはや実家のような安心感(その二)。
おそらくこの先も歌い続けていく曲になると思われるが、その度に『今日の光景は果てしない未来へと』で泣けてしまうんだろうな…とその未来に思いを馳せる。

4.That's Entertainment

どうも、That's Entertainment担です。と勝手に名乗っている程大好きな今作での推し曲。ジャニーズイズムをバチバチに感じるが故に自分がいかにジャニーズエンタメに魅了されているかを再認識することにもなった。語感の楽しさ優先でちょっと意味のわからないフレーズがあるところも"まさしく"でそれすら愛おしい。
歌詞は全体を通して言葉遊びのオンパレードだが、入りの『ツカミ厚かましく登場です』と締めの『もういいよ』はまるで漫才のようでおもしろい。「なにもの」からの流れもあるので、頭の中ではオードリーの漫才が繰り広げられる。
ライブでやっている感じが浮かぶ曲という話の通りパフォーマンス付きで見ると一層化けそうな曲ではあるが、可能なら生バンドの演奏で歌い踊る彼らが見たくなる。

5.分かってるつもり

King & Princeの新境地これに詰まってるじゃん、と真っ先に感じた名曲。メロウなメロディラインに乗るふたりのユニゾンが儚げな色気を纏っていて美しい。Tempalayさんの独特な世界観と髙橋海人と永瀬廉を足して割るとこういう質感になるのか〜と唸る。あまりに良過ぎて言語化できない。
オフィシャル・ライナーノーツで2人が「夏の夜」や「さみしい夏の終わり」と表現しているように夏のど真ん中じゃないのがミソだ。個人的な解釈としては既に数年過ぎ去った"あの夏"をふとした瞬間に思い出して浸っている主人公…という情景が浮かぶ。
「ピース」という夏に発売されたアルバムの中でも「ワレワレハコイビトドウシダ」と二大夏ソングを担う一曲として夏が来るたび歌って欲しいと思う。そして『夏が横切って行くわ』と感じたい。

6.かた結び

自分が草瞬さん(注3)のファンなのかもしれないと思う根拠曲(その一)。イントロの煌めき、まさしく"King & Prince"(同じことをこの後「君に届け」でも言う予定)。
オフィシャル・ライナーノーツでも「キラキラでキュンキュンな恋愛というよりは、2人が育んできた大きな愛みたいなラブソング」と表現されているが、確かに嵐の「花より男子」シリーズの主題歌でいうところの「WISH」でもなく「Love so sweet」でもなく「One Love」のポジション曲だなと思う。結婚式に使いたい。
また本人達も触れている通り『ギュッとギュッと』や『ずっとずっと』という反復法によりキャッチーさも抜群なのでCMのタイアップ等には最適。ゼクシィさん、宜しくお願いします。

7.ワレワレハコイビトドウシダ(髙橋海人)

100%尾崎世界観(クリープハイプ)が炸裂する歌詞とサウンドに卒倒した髙橋海人ソロ曲。彼のジャニーズ提供曲というとSMAPの「ハロー」やSexyZoneの「長電話」を予備知識として持っていたが、こんなにもクリープハイプ色を減光しない楽曲を食らわされるとは思っていなかったので衝撃的だった。
後述する永瀬廉ソロ曲「きみいろ」をリアルとファンタジーのバランスをとったと表現するなら「ワレワレハコイビトドウシダ」はリアル一点張りと言えるだろう。チープな物言いをすれば生々しくてエロい。我が家で全力稼働中の扇風機は秋冬になっても片付けられない気がする。
一曲通して言及すべき点が多すぎて困るが、タイトルである『ワレワレハコイビトドウシダ』が2番の『我々じゃなくてひとり』という対になる表現で失恋曲であるとわかる仕組みにはオフィシャル・ライナーノーツの永瀬廉さんに乗っかって「天才だね!」と言いたくなった。
堂本剛氏の「溺愛ロジック」や二宮和也氏の「Gimmick Game」を浴びて育ってきた人間としては男性アイドルが歌う女性目線の曲が堪らなく好きなのでまさか初ソロで髙橋海人さんのそれを聞けるとは思わず口角が上がりっぱなしである。曲の生々しさを余すことなく歌声に乗せてこちらの感情に訴えかけてくる表現者・髙橋海人の今後のソロ曲も期待大だ。

8.CHASE IT DOWN

全体的に穏やかな楽曲が並ぶ中にあって異質な存在感の「CHASE IT DOWN」はライブの中でもブチ上がりポイントの一つになること間違いなしだろう。「That's Entertainment」と並んでジャニーズイズムを感じる曲でもあるのだが、このギラギラ感は特にジャニーズJr.のトップを張っていたMr.KINGをどこか思い出させる。5周年のアルバムにおいてもこの若くて青い漲るエネルギーを見せてくれる2人の胆力に驚きつつ、この曲が特効やダンスパフォーマンス等ライブの中でどう活かされるのか注目したい。
余談だが以前から永瀬廉さんのフェイク大好きオタクでもあるので、この荒々しいロックの中で響く澄んだ音色のYeahやWooが健在なことに人知れず喜びを抱いたことを書き添えておく。

9.TLConnection

昔のディスコやシティポップをどことなく感じさせるヴィンテージ感に引き込まれる、噛めば噛むほど…なスルメ曲。
タイトル発表時「TLConnectionの『TL』って何だろう」と気になっていたのだが、まさか『Tokyo Love』の略だったとは恐れ入った、おもしろい。オフィシャル・ライナーノーツで『フォトジェニックなTokyo Tower Tonight』が印象的で好きだと話す永瀬廉さんを見ながら「真夜中乙女戦争」をふと思い出す。『人間は人生において必要なタイミングで必要な人物に会えるんだ』というフレーズが今でも耳に残っている。
話を楽曲に戻す。髙橋海人ソロの『ワレワレハコイビトドウシダ』を生々しくてエロいと書いたが、この曲は香らせてくるタイプのエロさ。上品だが手慣れた遊び人っぽさがある。前述の「真夜中乙女戦争」の黒服とまでは言わないが、こういう"危険な男"を演じる自担が癖に刺さるのでこの曲ももれなく刺さるというわけだ。特に『Shake shake chika boom boom 〜 In da house』の海人くんの低音にはゾクッとするものがある。個人的には彼のことを"危険な男"を地で行くタイプだと思っているので、この手のパートを担っているのを聴く度最高!と拳を上げてしまう。

10. Recolor

「TLConnection」からのお洒落ラインを引き継ぐ耳馴染みの良い曲。ドライブしながら流してると見える風景が鮮やかになる、気がする。「Kiss & Cry」「ナミウテココロ」「Misbehave」あたりが刺さる人には刺さるはず。
改めてチル・EDMといったジャンルの曲と2人の声の相性の良さを実感。特に『君とのDrive course』や『重ねた温度に焦がれる今と』の廉くんのエアリーな高音が良すぎて思わず繰り返し聴いてしまう。

海人「廉の声ってさわやかだから、MVもさわやか系でキメてほしいな。(中略)アルプスの山から流れてきた汚れてない透明感のある声ってこと。」

potato2017年11月号より

廉くんの歌声を評するのにこの海人くんを超える表現が浮かばないので引用する。海人くんの歌声を高発色でポップなビビッドカラーな歌声とイメージするなら、廉くんの歌声はシャーベットカラーって感じの柔らかくて清涼感のある歌声だと感じる。声のタイプが対になってるからこそ、組み合わせた時の互いが互いを補完し合うようなバランスも含めて絶妙な2人だ。

11.きみいろ(永瀬廉)

共作という形で自身初めての作詞に挑戦した永瀬廉ソロ曲。真っ先に思い出すのは9枚目シングル「Lovin'you / 踊るように人生を。」の初回限定盤Aに収録されたソロアングル映像だ。tiktok公式の動画に「元彼だった気がする」「付き合っていた記憶がある」等のコメントが並ぶあれが歌詞化されるとこうなる…というわけでその破壊力は絶大。公言している通りback numberをはじめとする彼の好きなアーティスト由来の"歌詞っぽい"ワードと「みんなが想像しやすいようなリアルな言葉」をバランスとって配分されているのだろうと推測するが、もともとの『永瀬廉』というアイドルの持つ自然体・リアコ的要素の前ではあまり意味をなしていない気もする。
King & Princeの楽曲でいうと「生活(仮)」で感じるような甘めの歌い方に加え、全編砂糖を口に放り込まれ続けているような甘い歌詞だが不思議と甘くなり過ぎないのは彼の声の持つ甘酸っぱさのせいか。両想いで間違いないのに何故か片想いを感じさせるその響きは稀有な資質である。
なお曲を真正面から受け止められない人にはオフィシャル・ライナーノーツから「海人いろ(きいろ)」という一解釈も発信されているので合わせてご確認いただきたい。

12.君に届け

自分が草瞬さんのファンなのかもしれないと思う根拠曲(その二)。「かた結び」で既に言っているが、イントロが流れた瞬間に「君に届けだ!」とワクワクしてくるこのキラキラ感、何回味わっっても滋味深い。(同じ内容をオフィシャル・ライナーノーツで海人くんがより丁寧に話している)
全体的にかわいい歌詞だが個人的なお気に入りは『「おはよう」そのメッセージで 次の約束の日まで 頑張れる理由になる 君はどうかな?』の一フレーズ。ピュアな主人公にほっこりするし、『君はどうかな?』ではライブのスクリーンでファンにザ・アイドル顔で問いかけてくる海人くんが見える(見えない)。
A・Bメロのソロ、サビの掛け合いとユニゾン、Cメロのハモリなどアイドルデュオの良さを存分に活かす歌割りも見事であり、今回だけと言わずライブの王道アイドルソング枠として何年先もセトリ入りして欲しいと思う。

13.Happy ever after

初聴で号泣してしまった一曲。壮大な曲調とストレートなメッセージからしてライブの終盤で歌われるのが予測されるが、予測していても絶対に泣いてしまう。
『いつだって夢を 同じ言葉で描こう』『約束するよ 百年先も「ありがとう」』という歌詞を見ながら思い出すのは2023年5月23日0時に届けられたメッセージ。

We will continue to work hard to make you happy, and promise to always be your #KingandPrince .

Johnny & Associates公式Twitter(X)より

新体制でのスタートを切ったその日に2人の写真とともに受け取ったこの言葉を御守りのように胸にしまっている。好きになるのも嫌いになるのも応援するのもしないのも、こちらが勝手に持つ感情であり行動だというのが一ファンとしての考えだが、彼らは『見つけてくれてありがとう』と歌う。『たかがファンじゃない』と言う。『愛の再告白』を届けてくれる。どう表現したらいいかわからないくらいに毎日幸せをいっぱいもらっている。
「Happy ever after」、おとぎ話の締めの定番である"They lived happily ever after"(いつまでも幸せに暮らしましたとさ)からとったこの言葉とともにこの先も彼らが描く夢と物語を見せてもらえることに改めて「ありがとう」と言いたい。

14.TOGETHER WE STAND

通常盤限定収録楽曲。「Happy ever after」で涙した後に微笑みかけてくれるような温かみのある一曲だ。
大きな愛をテーマにしたリード曲「My Love Song」、ファンへのメッセージ性の強い「Happy ever after」と並べて考えるなら『僕ら』『Buddy』『You & I』など自分達を表す単語が多数登場する本曲は「2人の、2人による、2人のための曲」という感じがする。特に『かけがえのないBuddy You & I 腐れ縁ってやつも悪くない』の一フレーズはザ・相方らしくて胸が熱くなる。
ふと少し前に出た雑誌で「あらためて互いに感謝したいことは?」と聞かれた際の回答を思い出した。

海人→廉「今は、その存在に「ありがとう」って思う。」
廉→海人「同じステージに立てていること、かな」

ViVi 2023年8月号より

今"歌いたい"にこだわった楽曲たちの中にそっとこの曲を混ぜる2人のことが愛おしいなと思う。
また相方愛以外にもこの曲の持つ役割は大きい。『Take it ez, ez 気ままにいこう Don't rush it, rush it 僕らの歩幅で』から連想されるのは「気負わない」という「ピース」アルバム全体のテーマだし、『Life is like a puzzle それぞれのPieces』なんてまさしく、だ。これを通常盤限定に入れるなんてニクい演出をする。13曲の後に聴くからこそより沁みる歌詞はすべてのピースがはまってできた絵を見た瞬間の感動に近い。余分なものも足りないものもない。伏線の回収まで見事なアルバム「ピース」に最後の最後まで拍手を送りたい。

注1:King & Prince13枚目シングルDear Tiara盤に収録された髙橋海人作詞作曲の楽曲。
注2:「映画ドラえもん のび太と空の理想郷」に登場するキャラクターでドラえもんと同じ猫型ロボット(CV:永瀬廉)。
注3:草川瞬さん。『草瞬』さん呼びはオフィシャル・ライナーノーツより。本作では「かた結び」「君に届け」を作詞作曲、「That's Entertainment」「CHASE IT DOWN」+前述2曲にBacking Vocal(コーラス)で参加されている。

ツアー「ピース」に向けて

全14曲について語ってきたわけだが、端的に言うと「ピース」って名盤だと思う。受け取った次の日から少し憂鬱な通勤時間が秒で過ぎるようになった。
大きな愛を歌うリード曲を筆頭にひとつのアルバムの中でしっかりときめかせて、かわいくって、かっこよくて、感傷に寄り添ってくれる柔らかさを見せてくれた。"2"の可能性は無限大だと思わせてくれた。何よりも2人のユニゾンに改めて惚れさせてもらった。お互いを補い合うように重なるそのハーモニーはまさしく「ピース」がはまっているようだと表現したくなる。
ああライブが楽しみだ。本人たちが「今後ライブで使える曲を増やしたい」と話していた通り、今はまだ世に出たばかりの曲たちが舞台の上でパフォーマンスを伴ってさらに輝くと思うとその演出ひとつひとつを想像してワクワクが止まらない。幸運にも現場のチケットを得た身としてその一瞬一瞬を目に焼き付けてきたい。


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