シフティングの原理(6)

6. 意識のレベルを深める

 ディファインシフトは、ネガティブクリアリングやポジティブチャージングをさらに進化させたアプローチです。ネガティブクリアリングやポジティブチャージングでは主に記憶に関連した気=エネルギーを扱いましたが、ディファインシフトでは言葉や概念とリンクしている気=エネルギーを扱います。ディファインは英語で「定義する」という意味であり、言葉や概念で定義された気=エネルギーというニュアンスでネーミングしています。

 例えば犬にかまれて大怪我をしたという人の場合、犬という言葉やイメージにネガティブな気=エネルギーがリンクしていたりします。逆に犬を家族同様にかわいがっていた人の場合、犬という言葉やイメージにポジティブな気=エネルギーがリンクしていたりします。このように人は無意識的に、言葉や概念にポジティブであったり、ネガティブであったりする気=エネルギーをリンクさせて使っているのです。たとえばある人にとって、ある政党の名前や方針にはポジティブなエネルギーがリンクしているのに、別の政党の名前や方針にはネガティブなエネルギーがリンクしているといった具合です。

 この言葉や概念にリンクしたエネルギーを変えるのがディファインシフトです。例えば、お金という言葉や概念は、往々にして不安とか恐怖、憎悪や嫉妬というエネルギーにリンクしています。それを喜びとか楽しさにリンクを付け替える訳です。そうするとお金に対する心理的な抵抗が取れたりします。

 お金でいうと、サラリーマンや主婦の人は、定期的にお金が入り、それが減るという経験をしています。経営者や自営業、投資家の人のように、お金が増える経験をするケースがあまりありません。ですから、潜在意識は「お金というものは減っていくもの」と思ってしまっています。脱サラして起業したり、主婦の人が起業する場合の盲点は実はここにあって、人から受け取り下手だと表層意識で思っているさらに下に、この「お金というものは減っていくもの」という無意識的な刷り込みがあり、これが不安や恐怖となって、良くない結果を引き寄せてしまう傾向にあるのではないかと、私は考えています。

 このようにディファインシフトでは、お金という言葉や概念にリンクしているネガティブなエネルギーをポジティブなエネルギーに付け替えるようなことをやります。お金だけではなく、仕事とか様々なものに応用できるのですが、その中でも一番大切なものは、自分という定義です。

 シフティングをやっていただくと、自分というものは極めて曖昧なものであるということを理解していただけると思います。自分の中には様々な自分があります。また、人間は自分というものがどういう人間という概念を人の評価に基づいて作ってきます。親が自分をこう見ていたとか、友達がどういう接し方をしたとか、先生がどう評価したとか、そういうもので自分の概念は構成されていて、自分がどういう自分であるかを定義した人は、ほとんどいないと思います。

 しかし、ごく一部にそういう自分定義を知らず知らずのうちにしているケースがあります。分かりやすいのは夢を持っている人、その夢が自分を定義することになります。また、理想の人物がいる人、こういう人もその理想の人が自分の定義になります。例えば、坂本龍馬を尊敬する人は、坂本龍馬が自分定義になる訳です。

 自分を定義するということはとても大切なのに現代教育の中では全く無視されていますが、一部ビジネスの分野ではそういうことが大切であるという認識も出始めています。世界的なベストセラーである「7つの習慣」ではミッションステートメントという名称で言及されていますし、自分を紹介する「自己紹介」を明確にするというアプローチや、個人のブランディングが大切だというパーソナルブランディングが大切ということを言われている方もおられます。

 私の場合は、それに気=エネルギーを関連させてパーソナルクレドという呼び方をしています。クレドとは、企業の経営理念などのことを指し、最近はリッツカールトンやJ&Jが成功したことで有名となりました。その個人版ということでパーソナルクレドと呼んでいて、スマホで携帯できるようにiPhoneアプリとかも作っています。

 セミナーとかではワークとして「医者のワーク」というものをやっていただくことがありますが、自分が医者だと強く念じると、自分の発するエネルギーが変わり、自分の反応も周囲の反応も変わってくるのです。

 同じように、自分の定義をパーソナルクレドとして落とし込んだら、それをディファインシフトを使って、自分自身のエネルギーに定義することにより、ビジネスが上手くいくようにすることが可能だと私は考えています。

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