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お金の課題(3)利子と労働分配率:「利子の意味」

ここに別のファクターが登場します。利子というものです。これもまた単純な話にしてご説明しますが、利子があることによって原理的に労働分配率は下がって行くのです。

まず労働分配率を説明すると、事業の規模に対してどれくらいの比率で労働者に還元されるかという指標です。ここでは一般とは使い方とは少し違い、通貨発行量に対する労働分配率を考えます。

例えば通貨発行量が100兆円としましょう。その内、一般流通が80兆円、金融資産を20兆円とします。金利をわかりやくす年利10%とすると、翌年、金融資産は22兆円にならないといけません。通貨発行量が同額だとすると一般流通は2兆円減って78兆円になるか、通貨発行量を増やして102兆円にして、一般流通を80兆円にするしかありません。

通貨発行量を増やして行くとバブルになるし、逆に一定にすると一般流通が減っていきます。労働分配は一般流通からされますので、通貨量を一定としたら金額自体が減りますし、通貨発行量を増やしても、金額は同じでも比率配分は減っていきます。つまり労働分配率は絶対減るのです。

これはケインズが資本主義の構造を説明した時にすでに指摘していた話であり、もともと資本主義の持っている構造的欠陥です。最近、ピケティの著作などで広く知られるようになった話ですが、最初から分かっていた話でもあります。

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