【要因分解】施策を導く広告運用レポートの書きかた
この間『人材育成』というテーマでレポーティングの内容に触れました。
これはレポーティングの部分だけ単品で出してもよさそうだと思ったので、一部加筆・修正して投稿します。
新卒のマーケターを意識して書いているので基礎的な内容も含みますが、お付き合いいただけると幸いです。
※本文中のリンクを踏むと、その用語を検索できます。
例:IS
前準備編 - 前提条件の確認
まずは前提条件を確認します。
レポーティングするにあたって、必要な情報が手元にあるか確認してください。
・期間(例:2023年3月1日から31日までの一か月間)
・チャネル(例:Google検索広告)
・個人目標(例:リード数を最大化し、ゆくゆくは増額提案をすること)
・納期(例:15時までに提出)
前準備編 - ロジックツリーの整理
ロジックツリー:様々な問題を分解の木として原因や解決法を発見する際に活用できるひとつの課題解決フレームワークです。
自分の担当案件で、ロジックツリーを整理してみましょう。
①例
【大目標】CV数を上げる
→広告費用を上げる or CPAを下げる
②CPCを下げる
→CPCの高いKWを停止させる or 広告ランクを上げる
③広告ランクを上げる
→CTR改善 or LPの利便性向上 or KWと広告の関連性向上…
このように、目標から考え影響の大きい項目から徐々に枝葉へ考えていきましょう。
自分のアカウントにおいて、何が大目標でどのようなロジックツリーが出てくるかは案件によって変わります。
マインドマップツール(Xmindなど)を使って、作成してみましょう。
実践編 - レポートの構成
【基本の構成】
大結論:
要因:
詳細な要因:
上記基本構成を基に書いてみましょう。
以下、記載例。
※全て空想で作った例で、数字など構成以外の部分は適当です。
①結論として「良いのか悪いのか」
数字の羅列に直接的に意味はありません。
クライアント様が最も知りたいのは「結局いいの?悪いの?」ということです。
まずはそれを最初にお伝えする必要があります。
②KPIとして渡されている指標とその関連指標
次に、「良いのは分かったけど、どれくらい良いの?」を提供します。
必ず「成長率」と、「実数値」どちらも記載します。
どちらがクライアント様にとってわかりやすいか、時と場でどちらの指標を見るか変わることがあるためです。
③良く/悪くなった要因
最後に、「なんで良く/悪くなったの?」をお伝えします。
この時も「結論ファースト」の構成は崩さないように意識します。
結論:要因はCVRが10%アップしたからです。
→(どのくらい良くなったかの指標)
→(上記詳細①部分)なぜCVRがアップしたのか
また、なぜか?の理由をお伝えした後は「これからどうするのか?」も必ず言い添えます。
ここに来月の施策や提案事項が入るため、ボリュームは最も大きくなるでしょう。
増額やクリエイティブ制作費用が追加で必要な場合はここでクライアント様を説得していく必要があります。
※レポート記載の文量が多くなりすぎる場合は、提案資料のみ別添資料化した方がいいでしょう。
実践編 - レポートの項目確認
メインで扱う指標が本筋と外れていないかを確認します。
「前準備編 - ロジックツリーの整理」でロジックツリーを作成しましたが、実際のレポーティングでもしっかりとこのロジックツリーに沿っているかチェックします。
例えば、以下のように書いていた場合は再度ロジックツリーを確認して見ましょう。
なぜならば、CTRとは確かに要因にはなり得るもののかなり枝葉の部分になるためです。
例えば、『CPCが下がり同予算でクリック数を伸ばすことができた』が大要因でその背景に『CTRの10%アップがあった(→広告ランクがあがり、CPCが下がった)』ことはあり得ます。
しかし、『単純にCTRが上がったことでCV数が伸びる』ことは直接的に繋がりません。
ここで確認すべきなのは以下内容です。
自分がどちらなのか確認してみてましょう。
①の場合はレポートの書き方部分で推敲してみましょう。
・要因としてCVに繋がりやすい、大きい指標からみていく
・CTRにたどり着くまでの道のりを、順序立ててレポートにも記載
②の場合は、実際に作成したロジックツリーを上長に確認依頼し、ロジックツリーが完成したらそのツリーの上から順に指標を考え、レポートを再度作成してみましょう。
実践編 - 見逃している指標がないか
例えば、『CPCが下がった』を大要因に挙げていて、その背景にCTRのアップがあるとしている場合を取り上げます。
CPCが下がった要因は以下の通り3パターンに分けられます。
・自社要因:CTRアップ、LPの利便性アップ、KWと広告の関連性アップ
・他社要因:入札している競合が減った、他社がCPCを下げた
・市場要因:KWを検索している人が増えた
CTRアップの要因以外の項目をちゃんと確認できていますか?
その他の項目について見逃しはないでしょうか?
しっかりと、「この項目が原因である可能性が高い」と断言できるようにその他の指標も確認し、外堀を埋めていきましょう。
これを準備しておくことで、上司やお客様から何か聞かれた時に自信を持って回答でき、とてもかっこいいマーケターになれます。
見逃し項目がないか?については、
・自社要因
・競合要因
・市場要因
の3Cの考え方でチェックしていきましょう!
その他、以下noteが参考になるかもしれません。
提出編 - 実際に初稿を上長に提出してみよう
ここまで完成度の高いレポート作成のために頑張ってきました。
それでも、最初は抜けている部分があったりここで書いてあること以外の考え方(担当商材の特徴など)が抜けている場合もあるでしょう。
実際に上長に提出し、以下内容について確認依頼を行いましょう。
また、依頼をするときは流れてしまわないように各ツールでピン止め・タスク付け・スレッド作成など、上長がすぐに確認できる状態で渡すとベターです。
最後に、「いつまでに」という確認期限も添えて依頼しましょう。
心構え編 - フィードバックを受けた後
確認を待っている間、「良いレポートがかけたぞ!」「褒められるかもしれないな…」と思って期待をしてしまいます。
※私がそうです。
ですが、大抵は明確に褒め言葉がもらえることは少ないでしょう。
(上長が実は心ですごい!と思っていたとしても)
ほとんどの場合において、端的に、「このように修正してください」という内容が返ってくるでしょう。
これらは、『必ず文字通りに』受け取りましょう
いいね!やすごい!がないまま、修正箇所だけ返ってくれば、誰だって最初は凹みます。
ですが、ほとんどの場合において上長にそんなつもりは一切ありません。
本当に、「その部分を修正してほしいな」と思っているだけです。
ちゃんとその部分を修正すれば、その部分はOKが出て他の箇所の修正依頼に進行したり、そのままOKになったりするでしょう。
OKがもらえるのは、最初のうちはものすごく時間がかかります。
ですが、何度も何度も壁打ちをしていくうちにどんどんスピードが上がり、クオリティも高まっていきます。
レポーティングスキルを上げるには、最終的には何度も上長にフィードバックをもらうしかありません。
それを少しでも早くしたい!と思った有望なあなたは、手が空いたタイミングで以下内容をインプットしてみましょう。
インプット推奨事項
・過去のレポート
ある分だけ全て読みましょう。
施策の立て方、レポートの書き方、担当商材の特性など一気にインプット可能です。
・広告リリースノート
いつ・誰が・何をして・どんな結果だった
をまとめてあるシートが社内にないか上長に聞いてみましょう。
ある場合は担当商材分について全て読みましょう。
(ない場合は自分が実施した広告関連の情報は全て記載するシートを作りましょう。)
・『世界一やさしい問題解決の授業―自分で考え、行動する力が身につく』を読もう
※以下はアマゾンのリンクです。アフィリエイトに参加していませんので、私に収益は一切入りません。ご安心を。
ロジックツリーを用いた問題の分解・解決のしかたが誰にでもわかりやすくまとまった本です。
ロジックツリーの構成内容部分を特に重点的にしっかりと読み、「ツリーで物事を考える癖」をつけましょう。
・(発展編)計量経済学について学ぼう
運用の世界はロジックと確率が全てです。仮説と検証が全てとも言えます。
その基礎が計量経済学で学べるでしょう。
・相関関係≠因果関係
・AがBに影響を及ぼした、と結論づけるために必要な思考と検証
など…
以下、おすすめの文献リンクです。
比較的簡単なものをピックアップしていますが、専門書に当たります。算数が苦手な方は難しいかもしれません。
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↓ 比較的易しい
↓ 比較的難しい
↓ 難しいかも?
以上で「広告運用レポートの書きかた」noteは終了です。
ここまでお読みくださりありがとうございました。
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