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詩碑「樹下の二人」 風景印と記念碑

 福島県二本松市にある安達あだち郵便局の風景印には詩碑「樹下の二人」が描かれています。二本松市は高村智恵子たかむら ちえこのふるさとで、詩は高村光太郎の『智恵子抄』におさめられています。

高村智恵子(1886-1938)

 高村智恵子は詩人・彫刻家の高村光太郎たかむら こうたろう(1883-1956)の妻として知られていますが、明治・大正期の洋画家として踏み出していた「新しい女性」の一人です。現在の二本松市の造り酒屋の家に生まれ、日本女子大学を1907年に卒業すると画家への道を歩み始めます。

 1911年(明治44年)年創刊の平塚らいてうが創刊した雑誌『青鞜』の表紙絵を描くなどしています。同年、高村光太郎と知り合い、1914年(大正3年)に結婚しました。芸術家夫婦だったのですね。

 1918年(大正7年)からは体調を崩しがちとなり、故郷の二本松で療養することが増えてきます。1929年(昭和4年)には実家の酒屋が破産し一家が離散、心労がたたったとも言われますが、1932年(昭和7年)自殺未遂を起こすまでになり、1935年(昭和10年)からは入院生活を送るようになります。

 智恵子がたくさん残した「紙絵」はこの頃制作されたものです。

 1938年(昭和13年)年に肺結核により亡くなりました。死後高村光太郎が1941年(昭和16年)に出したのが詩集『智恵子抄』です。

詩碑は1983年に地元有志により建てられたそうです。


記念碑の地図

智恵子の杜公園にあります。


碑文

あれが阿多多羅山、
あの光るのが阿武隈川。

ここはあなたの生れたふるさと、
あの小さな白壁の点点があなたのうちの
酒庫。
それでは足をのびのびと投げ出して、
このがらんと晴れ渡つた北国の木の香に
満ちた空気を吸はう。
あなたそのもののやうなこのひいやりと
快い、
すんなりと弾力ある雰囲気に肌を洗はう。

高村光太郎


安達郵便局

 風景印は郵便局で押してもらえる絵入りの特別な消印で、色は赤茶色です。郵便窓口に「風景印を押して出してください」とお願いすれば、差し出す手紙やはがきに押してもらえます。また、63円以上の切手を貼ったカードなどに押してもらえます。その場合、差し出さずに持ち帰ることができます。

 風景印は1990年(平成2年)8月10日から使用開始されたものです。郵便窓口は平日のみの営業です。

風景印にももちろん安達太良山が描かれています

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