ふうせん

ふうせんが
好きなあの子は
ふうせんを
持って帰れないのを
頑なに嫌がった

座り込み
肘を壁に打ち付け
自分で自分を
傷つけた
ふうせんは
そこまでのものなのか

私にはそれが
とても可哀想に見えたから
ふうせんが
憎かった
針で割って失くして
しまいたかった

ふうせんは
君に必要ないだろうから

ふうせんに
何があると言うのか

ふうせんは
あんなに身軽で
持ってなくちゃ
すぐに飛んでいってしまう

君に大切なものは
たやすく飛んでいくものではない
遠く遠くに行ってしまうふうせん
ではない

ってことを
どう知らせようか

帰りのバスが
あの子を待っているのを
理由に
いい加減な誘導

私があの子から遠ざかる
べきなんだよ

おわり

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