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NYで見た希望

チョー・モー・トゥン国連大使を訪問

その日、私はNYで、ノーベル平和賞にノミネートされたチョー・モー・トゥン国連大使に表敬訪問をした。
2021年にミャンマーでクーデターを経験した私は、彼に次のような質問をした。
「ミャンマーでクーデターが起きてから2年半、ミャンマー国内はもちろん日本など国外にいる支援者はものすごく頑張ってきた。けれど、みんな疲れを感じているし、支援者の間でも分裂がある。そのなかで、頑張っている支援者を勇気づけるためにもこれからも平和のメッセージを発信し続けてほし い。いま国際社会に求める支援とは何か。そして、今疲れている支援者の人々にメッセージ をお願いしたい。」

ミャンマーの人々の暮らし、文化、歴史を伝えるヤンゴンかるたをお渡ししました

チョー・モー・トゥン国連大使は次のように話された。
「私たちは、まさかミャンマーに違法なクーデターが起こるとは思っていませんでした。というのも、ミャンマーの民主主義は2010年から変化が始まったのだと信じていたからです。若い人々は希望にあふれ、これからミャンマーはもっと良い国になっていく、という矢先のクーデターでした。未来に強い希望を持っていたミャンマーの人々の夢は、クーデターという理不尽によって叩き潰されたのです。いま地球で起きていることは私たちをものすごく落胆させるし、心細く思わせます。他の国の人々が 学校で机に座り授業を受けているときに、ミャンマーの若者たちはシェルターの中で勉強しています。それが私は悲しくて仕方ないのです。
私たちは対話にNOとは言いません。けれど、私たちが対話を行うべき相手は国民を守る軍であり、 国民を殺す軍ではないのです。」

国際社会に求めること

「私のメッセージはとても明瞭です。国際社会が軍隊と対話をすることも大切だけれど、国民との対話を忘れてはいけません。仲間からの応援が、人々からの応援が、そして国際社会からの応援が私た ちには必要なのです。

しかし現在の国際社会は私たちが求める水準の支援を行っていません。国軍が無力な国民に対して武力を用いています。だから今ミャンマーの国民は自分たちを守るための技術を必要としています。上空で軍のヘリコプターを検知することができれば即座に、迅速にシェル ターに逃げるなどの対策ができます。今、私たちが必要としているのは、自分たちを守るための武力技術なのです。

そして、私たちが国際社会に求めることは主に3つあります。
武器の流れを止めることお金の流れ を止めること、そして国軍を正当化しようとする試みを止めることです。
国際社会がこれを計画的に、 また迅速に実現できるならば私たちは今のこの危機的状況を乗り越えられるはずです。でもそれが 行われていないから、私たちは忘れられているとも感じます。だからこそ、国外で活動を続けている 人々に感謝の気持ちを今ここに表したいです。

平和への強い決意、そして希望


本当に、国際社会から忘れられても、声を上げ続け、疲れていると思います。もちろん私たちも疲れています。 けれど、その疲れは私たちが強い希望を持っているからですし、 私たちが強い決意を持っているからなのです。だからこれからも伝え続ける活動を行ってください。そして、いがみ合うのではなくて、助け合い、鼓舞しあいましょう。私たちは希望がなければ何もできないからです。」

彼の言葉は、これよりももっと温かったことを、私の文章では書き尽くせない。今は難しい局面だ。私たちは、平和を望み続ける人々のことを思い、気が付けば涙を流していた。





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