非常に単純だが今のヒノモトを「より良き道」に導ける光となるだろう。

『つまり、「1世帯に30万円を所得制限つきで給付」というのは、こうした非常時には不適切な制度だ。それが撤回されたのは、末端の事務的混乱を避ける意味でも必然だったと筆者は思っている。~もともと、安倍首相や山口代表は「一律10万円」派であったが、麻生財務相、岸田政調会長と財務省の「所得制限つき一世帯30万円」案に押されてしまった。いずれにせよ、正されてよかった。財務省が「所得制限つき」を主張したのは、表向きは生活に困っている世帯への支援という名目であるが、実際の理由は所得制限をすることで予算総額を抑えられるからだ。所得制限つき一世帯30万円では4兆円の国費が必要だが、所得制限なし一律10万円なら12兆円に増える。~ただし、これで終わりというわけにもいかない。次の経済対策の手を打つ必要がある。何が考えられるのか。~そもそも諸外国と異なり、日本では外出禁止を要請しても罰則がない。民主党政権時代に作られた法律なので、私権制限の側面はほとんどない。それなのに、あたかも政府が十分な私権制限ができるかように改正法を批判していた人もいたが、今はだんまりだ。緊急事態宣言を出すと、憲法での非常事態条項まで議論が及ぶから、緊急事態宣言をすべきでないといった本末転倒な議論すらあった。そうした人々はどこに消えたのだろうか。そうした議論は、現在のような非常事態ではできない。となると、国民全員に給付金をバラまき、協力してもらうしかない。その意味で、全国への緊急事態宣言と、全国民へ一律10万円給付は時宜を得た政策だ。一方、企業や事業者は休業自粛で、もはや倒産寸前のところも増えている。先週の本コラムで、筆者は磯崎陽輔元参院議員の「休業補償したら財政破綻する」とのツイートを批判した。一般論だが、事業が厳しくなると、事業主は経費を減らそうとする。このとき、人件費まで削減すると、休業や解雇につながる。解雇の場合、労働者には失業保険が手当され、休業の場合には事業主に手当に要した費用が雇用調整助成金として支給される。ともに、原資は事業主と労働者が雇用保険としてこれまで毎月支払ってきたカネで、雇用を守るためのセーフティネットだ。どちらも不正受給はいけないが、これまで労使が雇用保険料を支払いしっかりと積み上げてきたものであるので、法律に基づくものは大いに活用していい。なお、雇用調整助成金は、なかなか審査が通らないという話もあるが、それではこれまで何のために雇用保険料を支払ってきたのか。官僚は自らの天下り先には潤沢に資金を使ってきたではないか。国民は、そうしたことをよく覚えているものだ。国はまだ休業補償に及び腰であるが、雇用調整助成金の枠組みの中では、ある程度の対応をしようとしている。これは、経費のうち人件費以外の固定費などについては補償したくない、人件費の部分はこれまで労使が支払ってきた雇用保険料で賄う、という意思表示だ。結局のところ、雇用調整助成金は事業主が払ってきたにもかかわらず、いざとなると「恵んでやる」というお上目線で、緊縮病のケチケチ根性丸出しなのだ。~そもそも、消費増税を昨年10月にやらなければ、ここまで経済は低迷しなかった。それに安倍首相は「リーマンショック級のことが起こらなければ消費増税」するといったが、実際にリーマンショック級、それ以上のことがコロナショックで起こったのだ。であれば、消費減税をする大義名分がある。安倍首相には思い切った休業補償と消費減税を、次の「ちゃぶ台返し」で打ち出してほしい。』

一国民一律給付と休業補償の仕組みが整えば国民や国内企業の選択肢がきとんと整備される。非常に単純だが今のヒノモトを「より良き道」に導ける光となるだろう。

「10万円」だけでは弱い…安倍政権はなぜ「休業補償」をしないのか
コロナショック「これで終わり」ではない
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/71998

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