メタモル探偵団

【ゲスト紹介#3】「いつでも、どこでも、誰とでも学び場はつくれる!」|市川 力/探研移動小学校 主宰・ジェネレーター

市川さん「名前は『力(ちから)』っていうんだけど、みんな『りきさん』って呼んでるから、りきさんって呼んでね!」

ということで以下、「りきさん」で書かせてもらいます。


<何に命を燃やしているか>
「野の学び場を作る」

塾の経営、NPOが運営する小学校での校長、認知科学と教育をつなぐ団体ABLEの主宰…と様々な経験をなさってきたりきさん。

そんなりきさんが今、命を燃やしているのは「野の学び場を作る」こと。

逗子での打ち合わせに伺うと、開口一番に「逗子は鎌倉とはまた違うでしょー!」とニコニコ。

>りきさん
「逗子は横須賀に近い関係で軍の関係の人が多かったり、政治家の別荘があったりしたから、観光地ではない大邸宅の痕跡がまだ町中に見られるんだよねー」

「もともと商店街の発展は、余裕のある人たちの生活を支えることとつながっていて、そのせいもあるのかいまだに逗子には大規模店舗が進出していない。美味しくて新鮮な魚が買える地元のお店だったり、個性的な立ち飲み屋やカフェだったりが軒を並べている!」

早速、街の成り立ちを歴史的・地理的・経済的な状況から教えてくれて、筆者は駅について早々、なんだか逗子がとっても思い入れのある場所に感じてしまいました。

=人間は本来、どこでもいつでも学ぶことができる=

この価値観の元、現在りきさんは、学校・家庭・職場といった枠組みにとらわれずに全ての人が、日常に潜む様々な瞬間から学ぶことができるような学び場を作りたいと奮闘しています。

>りきさん
「これからやりたいのは、、、先人から受け継いだ知恵(学び方、探索法、表現法)を自分の生涯を費やしてできる限り磨き、次世代・後世へバトンを渡すこと。」

先人から受け継いだ知恵をいつでも、どこでも、誰とでも学べる「野の学び場づくり」に現在命を燃やしています。



<今、一番脳が痺れていること >
「歩いて俳句を作ること!」

即答してくださったりきさん。

(又平に逢ふや御室の花ざかり -与謝蕪村)

ピンとこない読者の方。ここからが大切です。

今、世の中では「探究」がちょっとしたブームになりつつあります。
教育界隈では、数年前に京都府立堀川高等学校が行っている「探究」の授業が有名になりました。

りきさん自身も「探究する力(知の探究社)」を出版しており(筆者も読みましたがとても面白い本でした。何かしらの形で人の成長に関わる人であれば必読です!)、探究に造詣が深いのですが、

>りきさん
「最近ねえ、探究もいいんだけど、探索に興味があるんだよね!」

とおっしゃっていました。

>りきさん
「探究するにはさ、その前に『こんなことしてみたい!』という衝動があると思うんだよね。」

ふむふむ。

>りきさん
「そこで、俳句。俳句を作るためによく仲間と集まってハイク=歩く(一応、ここ笑うとこね!)んだけど、観察しながら歩くと自然に歩みがすごくゆっくりになっちゃうんだよね。」

「そうなると普段、スマホを持って歩いてると見えない花や草木、ブロック塀のような当たり前の物、隠れている鳥や猫が鮮明に見えてきて、なんてことはないと思っていた日常が鮮やかに見えてきて、あれこれ気になってくるわけ」

「その中で『あっ!』って自分の心が動いたものを十七字で表現する。ただそれだけ。季語だとかどうでもいい。だって、ハイクして俳句するのは、自分がどんなものに興味があって、何に心を動かされるのかを知るためだから。」

(俳句を作っている様子)

ふむふむふむ。(カンのいい読者の方はもうおわかりかもしれません)

>りきさん
「見たまんまを十七字で連ねていけば『自分がなんでこれを美しいと思ったのか』「なぜこれに興味を持ったのか』『私はなんで今立ち止まったんだろう』といった自分の根源に迫ることに繋がっていく。」

「………こうして思いっきり探索することから探究の種が見つかるんだよ!」

…なんと。僕も俳句を作りに行きたい!!!と、本当に思いました。

好きなことをして生きていきたい。でも、好きなことって一体なんだろう。
僕自身、そんなことを考え始めるとキリがなくなってしまうのですが、

>りきさん
「街を歩いて、俳句を作って、それをどんどん残しておいて後から眺めてみれば、自分がどんな人間か、何をしたいのか、自ずと見えてくるんだよ〜」

という言葉を聞いてハッとしました。

探索、そして、探究。

なんだか難しそうな言葉にも思えるこれらの言葉が、毎日歩いている道の中からも浮かび上がることを知り、「野の学び場」とはこういうことなのかと、感動してしましました。

(俳句作りから戻ってきたら、みんなでご飯作り!)

>りきさん
「しかもね、歩いてるといろんな偶然が起こるでしょ?なんか気になる先人のお墓に巡りあったり、やめちゃった会社の上司にばったりあっちゃったり、興味をそそる場や思わぬ人に出会ってしまう。」

「そういうことがあると、『なーんだ、まっすぐ進まないといけないって思ってたけど、たまに脇道にそれてみたら、思わぬことが繋がって面白いことが生まれるんだな』って、経験的にわかっちゃったりするの。これが本当に面白いんだよね〜(ニコニコ)」

歩いて俳句を作る。

始めようと思ったら今すぐ始められることに、これだけ深い学びがある。

スティーブ・ジョブズがスタンフォードの学生に語った伝説のスピーチで、あらかじめ追い求めるものが決まっているんではなくて、後から振り返ってみたら点がつながって全体が見えた。そんな「コネクティングドッツ」の考え方。つまり、とりあえずやってみて続けるから目標が生まれるという感覚を、俳句を作るというだけの「野の学び場」から体験的に学びとることができるんですね!

ちなみに、シゴトカイギ参加者の中に希望者がいた場合、後日俳句を作りに行くことを考えているとのことでした!



<シゴトカイギ・参加者に期待すること>
以下、りきさんのお話を書かせていただきます。

>りきさん
最近の若者に対して言いたいこと。それは、周りの大人が悪かったことは重々承知しているけど、僕のところに来てくれるなら、一切かっこつけなくてよくて、「自分、なんにもできない」「迷いまくり」「ブレまくり」ということを素直に出していい。そんな人と一緒に話して思わぬ何かを発見する瞬間を楽しみたいと思ってる。

僕の人生はかっこいいことなんてまるでなくて、回り道ばっかりで、誇れる人生じゃないけど、それでも今、そんな全てが繋がって、すっごく面白い仕事が舞い込んできたりして、いきいきと生きることができている。

だから、変にカッコつけちゃって自己主張をし合うよりも、

「とりあえず何かやってみて、それを続けて、振り返ってみると、自分が出来上がっているんだよ」

って話ができたらいいな。みなさんと一緒に面白い場が作れたらと思っています。



<なぜ引き受けてくださったのか>
以下、りきさんのお話を書かせていただきます。

>りきさん
僕は40代はじめ、人生に迷い、プライベートも悲惨で本当に辛かった。

でもそこから立ち上がることができたのは、20代のころに大学の仲間や友達とどっぷりどんな風に人生を歩みたいか、何に人生をかけたいかなんていうちょっと青臭い話をしたり、認知心理学をベースに「人はどう知識をつくってゆくのか」ということへの好奇心があったりしたから。

損得抜きで、面白がりたい!ということに価値を置く仲間に会えた人は、人生紆余曲折あっても面白く歩むことができる。でも出会える機会がな買ったら人生を切り拓いて行くのはとても難しい。だからこそ「そんなのアリなんだ」と思わせてくれる人と出会えない現状は、なんとかしたいという思いがある。

今回のシゴトカイギは、そういう仲間と会える機会としてとらえているし、自分もそこに貢献したいと思う。後世・次世代へバトンを受け継具のがもはや自分の使命だからね。

会の趣旨にとても共感するし、自分が役に立てたら本当に嬉しい。

(俳句を作った後に行われる面白句会!)



<この人をゲストに推した私の想い>
今回のシゴトカイギのゲストを選定するにあたり、この人しかいないと思ったのが市川力さんでした。

東京コミュニティスクールで校長をされていた時に授業を見させていただいたのがもう3年前になりますが、教室で起こる全てを素材に子どもたちを学びの渦の中に巻き込んでいく、そんな体験をさせてもらったことを覚えています。(印象的すぎて気づいたらメモ帳が真っ黒になっていました。)

今回のシゴトカイギでキーとなるのが「対話」であり、市川さんほど対話の中から学びを作り、対話を通して深い気づきのある時間を作れる人はいないと思っています。

今回のインタビューを通しても、何度も「なぜこの人はここまで自分の人生を包み隠さず語ってくれて、ここまで僕たちに見せてくれるのでだろうか」という瞬間があり、思わず自分も丸裸で話してみたいという気持ちにさせられました。

それと同時に、今回のシゴトカイギでの市川さんのテーブルが最高にいい場になることを確信しました。

少人数で、市川さんの話を聞ける最高の機会になると思います。心からオススメです!

(インタビューは海辺のカフェで行いました。海に向かう道がなんだか素敵でした!)

市川さんとお話ししてみたい!と思った方はこちらから

(お申込みサイトへ移動します)


インタビュアー:向敦史、佐々木喬志/記事:向敦史

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