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【ゲスト紹介#2】「”親切のリレー”で日本を繋ぐ、車椅子ヒッチハイカー」|寺田 ユースケ/HELPUSH代表


<何に命を燃やしているか>

「全ての人がもっと気軽に「助けて」と言えて、もっと気軽に「後押し」できる世の中にできたら。」

そんな思いから始まった、車椅子ヒッチハイクの旅。
寺田さん自ら声をかけることで現地の人と繫がり、車椅子を押してもらうことから旅はスタートする。

「僕の車椅子を押すことを通じて、障害を持った人だけでなく、べビーカーを押した人やLGBTQなどマイノリティーと呼ばれる人のことを考えるきっかけになったらなって。」


そう語る寺田さんからは芯の強さと同時に、温かさを感じる。

“車椅子を押す”
一見単純そうに見えるこの行為は、近い距離で互いを感じることで、温かな繫がりを生む。
そして、そこで生まれた繫がりは多くの人に変化をもたらしてきた。

寺田さんと繋がり、車椅子を押す。
これまで遠いと感じたり、知らず知らずのうちに壁を作ってきた互いの世界が交わり、近くなる。

ちょっとしたことから意識が変わり、新しく出会う世界に、多くの人が心動かされてきた。



<今、一番脳が痺れていること >

「車椅子を通して僕の人生は180度変わったんです。」

それまで、障害者みたいだと車椅子に乗ることを拒んでいた寺田さん。
現在では、夢の世界へ連れて行ってくれるかぼちゃの馬車を手にしたかのごとく、自由に日本全国を旅している。

あるきっかけから、彼の人生が劇的に変化したのだ。

小学5年生の頃から始めた野球。みんなのように自由に体は動かせなくても、自分に出来ることを考えて懸命に練習を続けた。

その影にはいつも、「ユースケには出来ないことが多いですが、頑張ると思うのでよろしくお願いします。」と監督に頭を下げてくれた母がいた。

高校3年時には、野球を続ける為に両足の手術を行うことを決意。

「僕は、どんなに辛いリハビリにも耐える。それは今まで健常者に混じってキツい野球の練習を乗り越えてきたから。だから特別メニューを作ってください。」
そう懇願し、通常の脳性まひ患者のリハビリ時間は1日50分と決められている中、術後、彼は1日12時間にも及ぶリハビリに耐えた。

そのメニューは、彼の思いを汲んだ医師が、特別に組んでくれたものだった。

マニュアル通りやりなさい!と怒る看護師長さんと何度もぶつかりながらもリハビリを続け、彼の足が劇的に良くなっていった。

退院後には、母親を誘い、人生初のバッティングセンターへ。
鍛えた足で踏み込み、今までで一度も当たったことのないホームランボードに打球が当たった時には親子で涙を流したという。

胸を弾ませて大学へ進学し、キャンパスライフを満喫しよう!そう思っていた矢先、彼は現実の厳しさに直面する。

「足は奇跡的な回復を見せたものの、健常者の”足”には遠く及びませんでした。 」
また、長年、力一杯送球を繰り返していたことも重なり、肩を痛め、野球ができなくなってしまったのだ。

野球が唯一のコミュニケーション手段だったのに。

懸命に努力をして、やっと手に入れた自由。
それが儚く彼の前から消えていった。
現実を受け入れられず、ふさぎこんだ。

授業もろくに行かず、パチンコに通い、屍のようだったという。

そんな姿を見かねた母からの一言が、彼を救った。

「車椅子に、乗ってみたら?」

車椅子に乗ったら、もっとみんなと違う世界の住民になってしまうのではないか。
そんな思いから拒否し続けてきた。

そんな思いを乗り越え、母の言葉から始まった車椅子生活。
彼の人生は劇的に変化し始め、現在では車椅子ヒッチハイカーとして全国をかけ回る。


「ちょっと押してもらってもいいですか?」
そんな言葉から始まる彼の旅は、人の心と心がリレーのように繋がっていく。

車椅子「押し手」を探して一人でいるように見える旅も、実は彼は一人ではない。
生配信を通して、今の活動を伝え続けているのだ。

「全国の人と繋がれる感覚は、すごく面白いですね。」

生配信を通して視聴者から発信されるコメントから、画面を通じて多くの人が彼と一緒に旅をし、その姿に勇気付けられていることが伺える。


<シゴトカイギ・参加者に期待すること>
働き方は多種多様で、自分のやりたいことが仕事にできる時代です。シゴトカイギに参加して、自分の可能性を広げていってください。変わった経歴を持っている僕ですが、お話させていただく少しの時間で、何か1つでも感じてもらって、これからの選択の参考にしてもらえたら嬉しいです。当日は、皆さんとお話できることを楽しみにしています。


<なぜ引き受けてくださったのか>
私の経験を話すことにより、誰かの役に立つのであれば、嬉しい限りです。私自身、ヘルプッシュを始めるにあたって、たくさんの人生の先輩からアドバイスを頂きました。私も自分と同世代、若い世代に"恩送り"をしていきたいと思っております。
当日は、よろしくお願い致します。


<この人をゲストに推した私の想い>
壁があったとしても、自分がそれを壁と思わなければ、軽々と超えていける。そんなことを体現されてきた方だと思います。毎日トライしてもエラーエラーエラー。でも、そんな落ち込みも笑いに変えていけばいいじゃない、と弱さを強さに変えていく力を持った寺田さんに勇気をもらいます。
(ちなみに座右の銘は「人生を振りにしてボケろ。」です。笑)
寺田さんとお話をした後から、不思議と「どんなことも視点を変えればマイナスじゃない。」と捉える自分がいます。笑顔が人と人の繋がりを生み、気づけば互いを支える力になる。”怖い”という感情の先にある喜びを知っている人は強いなと思います。

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インタビュアー:弘重裕子、宮地優奈/記事:弘重裕子

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