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“Design Sprint”をやる前に意識すべき新規事業企画のTips その1

自分の仕事歴で言うと25年以上になると思う。
企業の新規事業企画の支援とか企画者の育成をやってきた。
いわゆるシリコンバレー型の“リーンスタートアップ”の経験値というわけではないのだが、大企業や中堅企業の新規事業立ち上げを手伝ってきて、やるたびに再認識する事がある。
それは、ある程度経験を積んだビジネスパーソンであっても皆、驚くほど“企画”発想の技術がない…ということ。むしろ下手に社会や業界事情に巻き込まれ過ぎているため『思考の派生的な延伸』ができない…ということだ。

これって資質とかセンスとかの問題じゃなくてトレーニングの問題だ。
新サービスを市場に投入すべく企画する際には必ず必要となるスキル。
既存事業の運営とは全く異なるスキルだ。新規事業でなくても既存事業の新メディア/新チャネル展開とかでも適用できるのだが、見事にそれが欠落してる。なぜなのか?何が足りないのか?
該当パーソンは皆一流大学を出た優秀な(優秀だった?)人材ばかり。
なぜ企業内に、新しい企画と推進を教えられる人や制度ができて行かないのか?ちょっと考察してみたい。

『新規事業開発』『サービス企画』…
と聞いた時に人がイメージするもの。

ここからまず、事業会社の中で“誤解されたイメージ”が形成されてる気がする。例えば以下のようなイメージだ。

●新しいアイディアを形にする部署
●新しいことをやってる部署
●とにかくやってみる部署
●何か変わったことをやってる部署

下の方になってくると、だんだん“悪意がこもってる”感じ(笑)
この中の『新しい』という言葉と『アイディア』という言葉、
の二つが結構曲者なのだ。
『新しさ』とは何だ?『アイディア』とは何だ? …という話…。
大方のビジネスマンが発想しがちなのは
『今既にあるものの順列組み合わせ』とか『顕在ニーズに対応する何か便利なもの』的な発想が強いと感じる。
以下の図式を見てもらいたい。
これが企画発想が不足している(と思われる)ビジネスパーソンの頭の中のイメージ。

今の地形や道路が変わらない前提での『見渡せる範囲での空き家探し』に似てる。これ皆、鵜の目鷹の目で狙ってるよね。新規事業としては向いてる対象じゃない。既に自社が“優位領域”を保持してる既存事業発想だ。

アイディアって実は事業とかサービス発想の前に枠組みの置き換えが必要なのだと思う。最近の流行言葉で言えば『ゲームチェンジ』(ゲーム盤の置き換え)だ。それが無いと『勝ち(=価値)が見えない、具現化シナリオが描けない』そんな企画が量産されてしまう。

【イケてない企画発想】
◆世の中の“枠組みの変化を考えない。
◆今現在の地図の中で考える。座標体系(メジャー)の変化を考えない。
◆今居る場所と繋がっている延長先として考える。

大抵はこの辺が問題なんだと思う。
これだと考え続けても“ゲームチェンジ”できないばかりか、
現時点で強いプレイヤーをひっくり返せる施策は出てこない。

じゃあゲームチェンジャーに必要な能力って何だ。おそらく以下。

大前提として、今の社会や業界事情や収益モデル等は、いったん取っ払って考えるべきだ。でもきっと、そのやり方をすると、上司から『お前、何夢みたいなこと考えてるんだ!これ仕事だぞ!』とか言われちゃうんだよな。

大企業の中で検討されるアイディアは、まさに既存業界や社会の枠組みの中での『極端に矮小化された思い付き』でしかない。会話していても“残念な感じ”の話題(苦笑)が多い。
なぜそうなるかというと、①『思考を掘って行く方法論』を身に着けてない、②自分が育ってきた業界とか職種、過去のやり方が『経済原則の全て』だと思い込んでる……という二点に集約されると思う。まあ言ってみれば経験の幅が狭いのだ。企画の当事者もその上司や経営者も…。

企業が新規事業をスタートさせる動機は様々だ。
入口の動機は、
①お金儲けのため、②余った遊休資産の使い道、③投資家に対するパフォーマンス、④余った人員の配属先……などの下世話な理由が背景にあったとしてもまあ仕方ないと思う。
しかし、事業開発担当がその下世話な発想で考えようとしても、企画として中々成立しなくなる。事業を推進してメンバーや外部を巻き込んでいくには、ゲームチェンジを伴う明快なコンセプトが必須だからだ。
もうひとつ、当初の既定プランが暗礁に乗り上げた場合に代替案が全く出てこなくなる。それはアイディアの“メタ化”をしてないがために、大儀(コンセプトやミッション)を達成する『別案への横展開ができないからだ。

以下、弊社で企画のプロセスで使ってるフォーマットを引用しよう。
最近トレンドのドミトリー型の宿泊サービスをテーマに据えて、その可能性やそこからの派生、あるいは逆にアンチなサービスを検討するためのシートだ。

昨今流行の“デザイン思考”にも通じる発想⇒具現化プロセスだが、『極論を考える』というプロセスをかなり大事にしてる。このプロセスを経ることで、既存のスキームへの思い込みを一度破壊するのだ。現実とのギャップはもちろん後から考慮してゆく。しかし、企画最初の段階では『世の中はこういうもの』という既成概念ほど邪魔なものはない。

その2に続きます。

大吉!
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Susumu Higuchi

株式会社シンクエージェント(https://www.think-agent.co.jp/ )というコンサルティング会社を経営。小売業に対してマーケティング、売場開発、デジタル化のを支援と指導。▶会社のNOTE:https://note.mu/thinkagent

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