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思考実験のススメ その1

弊社の社内でこんな話をした。

●顧客、見込客、ターゲット生活者のオンライン行動データとか、アンケート調査データを分析するだけだと、今(現行)の消費者の心理や行動はわかるけど、未来の行動やこれから欲しくなるもの(Wants)はわからない。

●世の中のデータ志向=データ依存(?!)が行き過ぎたため、
分析で言えることだけしか言わない人が増えた。
市場の今後や生活者の今後への想像力=クリエイティブな企画力が失われた。

ならばどうすれば良いか?
データは無い状態でも、自分の頭の中で、具体的な実際のケースを設定した『思考実験』をして、あたかもその場で被験者が行動したかのような結果データを得るようにしよう!
AIに学習させるサンプルデータが足りないとき、思考実験によってサンプルを作り出して教え込むように。

どういうことか?具体例を挙げよう。

お題①
コンビニエンスストアが24時間営業じゃなくなった場合、生活者が求めるサービスの思考実験。ベンリさって24時間じゃなくてイケるんじゃない?

お題➁
天候不順・酷暑や冷夏、ゲリラ豪雨、気温の激しい上下動。カラダやメンタルに悪影響を与える天候や天気・気温・湿度変化に対しての問題解決

お題③
ローコストでエキサイティングなコト体験を得られるしくみ作りの思考実験

今回はまずは お題①のコンビニエンスストア問題について
『思考実験メモ』を書いて見よう!

①コンビニエンスストア(CVS)の存在意義ってなんだったのか?

●深夜や早朝、ランチタイムなどの多様な時間(他業態の閉店時刻)
●クイックに商品を探せてすぐ買える小規模売場
立ち寄りが楽な最寄ロケーションで
●取扱い商品(Merchandising)が明快
●食ではPB(オリジナル商品)が充実・差別化していて
●最近は生鮮三品も最低限は置いていて
●単身者に向いた少量パッケージ
イートインまで併設されてたりして
●最近はドラッグ等との競合で価格もかなり安く
大手小売流通のお墨付き・ブランドがある安心(?)商品
が手に入る。

これが大方の生活者ベネフィットだろう。
良く考えるとここまでベネフィットが確立された業態って珍しい。
それを追っかける他業態も出てきてはいるが……。

で、➁時短化されて困ること。

●あてにして行ったのに閉まってる。
●夜中に吸い寄せられるように立ち寄ってしまう『都市のオアシスパワー(笑)
が削がれる。
●生活が無計画でも最後の砦として在ったはずの機能が無くなる。
(冷蔵庫代わりだったのが、『夜中に使える巨大冷蔵庫
が無くなる。)
●眠れないときや、
嫁と喧嘩した時に行く場所が無くなる。
●子供や年寄りやペットが夜中に何かやらかした時の対処ができなくなる。
●遅くなった帰り道が、暗くなって寂しくなる。
●ストレス発散ができなくなる。
…………etc.

こうして書き出してみると、CVSの存在って実は単なる店じゃなくて、
もっとエモーショナルな存在、心の拠り所?だったんじゃないか?
と思えてきた。これはちょっとした発見。
コンビニのバイト君には別に愛着はないけど、コンビニそのものが
パーソナルキャラ・ビジネスなのかもしれない……。

では、
③どうしたらCVSが時短してもその魅力を維持できる、または別のモノで代替できるのか?

【時短後CVSの価値を高める・維持する方法論やサービス

●オンラインでリアルタイムに本日の営業時間情報を共有
●全てのCVSがこれを実施、スマホアプリベンダーがこれをタイムカレンダー化して、今居る場所(GPS判定)の近くで開いてるCVSをクイックに探せるようにする。
●例えば23時閉店、7時開店とかの通り一片なやり方ではなく、バイトのローテーション状況によって、その日の営業時間を変えるとかも、上記のアプリがあれば実施して良いはずだ。
●場合によっては、平日の月水木+土日という限定営業もあるかもしれない。 

●閉店1時間前の値下げ情報や在庫情報、廃棄(食品ロス)情報をやはりオンラインで共有。これによって、ロス撲滅にお客さんが協力してくれる。
●開店時の購入予約の受付
●完全閉店にせずに、レジは閉めるが会員登録済みでモバイル決済のお客様については、無人の状況でもスマホキーでドアが開いて明かりがつき、商品が買えるようにする。
…………etc.

ついでもう一つの方法論

【24時間営業CVSの代替サービス

●タクシーにクーラーボックスを積んで超コンパクトな移動店舗。
●クーラー宅配ボックスや設置型Boxに一定量の商品を蓄積。
●近くの誰かのお宅の大型冷蔵庫をCVS代わりに開放(夜中だと迷惑…)。
●個配物流の最終配送センター
●AmazonやLohacoに24時間・3時間以内配送をやってもらう。
●暇な夜型人間がバイクで遠くの開いてる24時間スーパーに買いに行ってくれるサービス
●飲み屋内CVS、吉ギュー内CVS、ファミレス内CVSを設置

…………etc.

こうしてみると、この手のアイディアはかなり吟味が必要そうだ。
というのは、そもそもCVSが時短化する理由は、スタッフ調達ができない=労働力不足 であって、ならば配送スタッフ等もおいそれと調達できるはずがないからだ。
それを考慮すると、人手に頼らない機械化、または、そんな時刻でも④明らかに人が居る職業やCVS閉店後にも動いている労働者のワークシェア を狙うしかない。

で、それ(夜の労働力)を洗い出し。

●タクシー運転手
●夜の道路工事スタッフ
●新聞配達員
●シティホテルのスタッフ
●救急病院のスタッフやナース
●夜通しゲームやってるヒッキー(!)
…………etc.

こりゃ、難易度高そうだが…やり方次第。
でも、そこまでして人を使うくらいなら、結局無人店舗が一番良いのでは?と思えてくる。
それならば、➄無人店舗のやり方のレベル感 を脳内シミュレーション!

●懐かしの『ここに勝手にお金を入れてください』貯金箱方式(自己申請)
●完全セルフレジ(お客さんにカゴ商品をスキャンしてもらう)
●商品スキャン手法バリエ
(重量スキャン、カメラスキャン、RFIDスキャン、バーコードスキャン)
●部分無人店舗
(100円、200円均一商品コーナーを作り、そこだけ無人)
…………etc.

以上、一連の思考実験の流れをやってみた。

別にビッグデータ解析とか3000件のアンケートデータを取らなくても、
考えに考えて可能性(不可能性?)を洗い出してゆけば、
結構、ビジネスとマーケティングのポイントが見えてくる。

逆にデータに依存してると、こういう発想は出てこないよね?読者はどう思っただろうか?
Big Dataも、Marketing Automationも、
実は『あなたの頭の中』に有るんじゃないでしょうか?