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ファッション店舗の『売場作り』を変えよう! その1

苦言を呈してみる
僕はファッション業界に特化したコンサルティング会社からキャリアをスタートした。それから30年近く経つけど……
ファッションショップって実は栄枯盛衰の歴史で……専門店⇒DCブランド⇒百貨店⇒インポートブランド⇒セレクトショップ⇒SPA⇒ファストファッション⇒オンラインモール……を長らく見届けてきた。
まさに歩く業界年表(笑)かしら。ちなみに以下はその実年表を絵にしてみたものだ。

で最近、
Eコマースに対して旗色が悪そうな実店舗の活性化を促進するために
実店舗VR動画をサービスとして撮り始めたのだが、その過程で売場作りとか商品構成とかの課題が改めて見えてきてしまった。
これは数多くの経営コンサルタントが指摘しているような、組織や出店戦略や物流&在庫戦略、デジタル戦略の問題等ではない。
それ以前の
顧客(生活者)ニーズと売場開発のアンマッチ の問題だ。

その課題を販促やコミュニケーション手法で解決できれば良いが、
元々のマーチャンダイジング(商品構成)や売場作りに起因する問題については、補完しようにも限界がある。
なので、ファッション小売業の経営陣を鼓舞して改善してもらわなければならない。その指摘のために本稿を書くことにした。

①服って何を買えば良いのか?そもそもわからないもの。
生活必需品とか機能が明快なデジタルガジェットとか家電とかと異なるのは
そもそも服って何の価値を求める対象なのか?わからない…というのがポイントだ。

●ある人にとっては、友達や職場の同僚受けを狙って商品を選ぶが、
ある人にとっては彼氏や彼女受けが最大課題。

社会的地位の高い人は自分の価値を外見的に高めて、ブランドが自分の格にマッチしてるか?が大切だったり、

ミュージシャンやアーチストにとってみるとオリジナルな自分を演出する自己表現の一つの手段だったりする。

だから…来店者の生活目的(見栄、モテ、受け等も含めて)の実現に向けての解決提案が必要。例えばコーディネート提案したとしても、それはどんなシーンを想定してるのか?誰を想定してるのか?前提が必要だ。

➁ルールが曖昧化したので「拘らない人」にとっては何でも有りになった。
男性のビジネスシーンのドレスコードを見ると、スーツじゃなくてOK、ネクタイなしでもOK、ジャケットにポロシャツでもOK…など規範は非常に緩んでいる。逆に自由過ぎるから、自分を対外的に良く見せるには外見のセルフプロデュース力が必要だ。
女性はこの辺の関心が高くて鍛えられているが、男性では仕事ができる人でもこの能力やトレーニングが欠落してる人が多い。男性にスティーブ・ジョブズ譲りのような“ミニマリスト風ファッションがそこかしこに発生するのはこんな理由による。
彼らは単に服を選ぶのが面倒くさいし楽しくないのだ。ジョブズのようにクリエイティブなわけでもなく(失礼?)、もしかしたら人に会わないなら(会っても?)オールUNIQLOで済ませてしまう人も居るに違いない。

さて、話を「最近のファッション店舗課題」の方に引き戻す。
簡単に結論から言うと、

●昔ながらのファッション業界の思惑
(⇒トレンドを仕掛けて売れ筋を作りたい)、
●商業施設運営者とテナント店舗でマッチしてない思惑や会社都合
(⇒多店舗を回遊&購入させたい VS 自分の店だけで買わせたい)
……の二つが生活者視点を欠いた業界の悪癖だ。

それに対して『検索ツールの提供』と『価格破壊』で変革を促したのがZOZOTOWNなどのオンラインモールだけど、今度はその低価格と検索ツールに足を取られ、ホントのファッション好きやライフスタイル上昇志向層は離れてしまっている。
複雑なやり方で生活者を『躍らせて』市場を維持してきたファッション業界。
でも時代の趨勢はもはや後戻りできない。相当熟慮して市場全体の活性化策を練らないともう「生活者は踊らないよ!」って話なのだ。
ファッション業界は残念ながらこの30年くらいお客(=生活者)の育成やコトニーズへの対応を怠ってきた
その隙間に、デジタル業界やインターネット業界に入り込まれて…消費支出の生活時間のシェアを奪われてしまったというのが背景にあると思う。

長くなったので、その2に続きます。