価格差

今世の中で、超『価格ギャップ市場』が形成されてる。

筆者は小売業のコンサルタントであると同時にヘビーなお買い物マニアだと以前にも書いた。そんな僕が最近Amazonで買物をしていて感じる強い傾向をレポートしよう。

それは世の中が強烈な『価格ギャップ市場』になってきた!!ということだ。

どういうことかというと、同じ品種、同じカテゴリーに属する商品、はたまた一つの同じブランドの中であってさえも、極端な価格差のある商品群が形成されて、かつ激安の商品も、激高の商品も「両方売れてる」!という奇妙な現象だ。これ、消費を楽しんでる人間からすると、さほど奇妙ではないのだけど、あまり自分で買物しない人にとってみると、その理由がわからないだろう。

まず事例を見て行こう。
以下は価格コムでの直近の家電のランキングだ。

市場に定着してきた感のある電動歯ブラシのランキング。

一番安いBROWNのオーラルBプラークコントロールやオムロンのメディクリーンが1,000~1,500円程度の値段なのに対して、パナソニックの音波振動ドツルや同じBROWNブランドのオーラルBジーニアスは19,000~20,000円という価格で売れている。もちろんその中間の、4,000円、8,000円、12,000円というラインの価格にも見事に分散して、とても同じ品種の家電のランキングとは思えない。

次いでオーディオ商品であるプリメインアンプ

価格コムのランキングにはAmazonで一番売れているチャイナ製デジタルアンプなどが入ってこないので、このランキングはまだ価格差が弱いくらいだ。それでも一番人気のDENONの11万円台、さらにアップグレードの17万円という価格が売れてるのに対して、二位のONKYOや9位のSONYは15,000円。この辺の大御所メーカーが昔なら決して取り扱わなかった価格帯だね。もちろん内部の部品や基盤や組み立て工場はアジアに大きく依存してきてるからできる価格だ。
でも機能だけ見るとプリメインアンプ(音を増幅する)という単一の機能は共通。音とかサイズ感とかに拘りがない人から見たら『何の差なのか?』わからないかもしれない。
ちなみに僕が大好物(笑)のAmazonの怪しげなチャイナ製デジタルアンプ(価格コムには決して登場しない)は以下のような感じ。

見ての通り2,000円~8,000円位の商品が大量に並ぶ。フルデジタルチップでBluetoothでスマホ接続を想定してるので端子数は少なく、ソース切替機能もないけど、音に関しては中々イケてる!とかつてオーディオマニアだった筆者は感じる。聞き方次第ではあるが、10万円のアンプと2,000円のアンプの間に50倍の価格差は感じない。
…というか使う用途とかライフシーンが違うのだ。

で、マーケターとしての観点で語ると、
この魔訶不思議な価格差とかデザイン形状のバリエーション
が今の時代のプロダクトの“トレンド”だと感じる。

①2000円のデジタルアンプ+2000円のアクティブスピーカーをベッドのマットレスに直置きしてスマホで音楽を楽しむ生活者が居て、

②15万の王道アナログアンプをリビングに鎮座させて20万円のスピーカーで聴く王道ピュアオーディオユーザーも居て、

③デジとアナのハイブリッドした真空管プリアンプで増幅した音をノイキャンで聴く人がいる。

元来、製品価格が持っていた『クラス』という概念が抜け落ちたのだ。

さらに言うと生活の標準パタンというのが無くなったとも言える。2,000円のモノと20万円の“同カテゴリーのモノ”を両方持っている、併用することに躊躇が無くなった。
さらに言うと
クラシックなものと『先進ディスラプション商品』
を併用したり組み合わせて使うことにも躊躇が無くなってる。

例えば…
●キャニスター型の掃除機、お掃除ロボット、サイクロン型のスティック掃除機を三つとも持ってるご家庭、少なくないと思う。

●5,000円のアイリスオーヤマの単機能電子レンジと、50,000円のシャープのヘルシオと、バルミューダの2万円のオーブントースターを使い分けてる人も。

この魔訶不識なマーケットに対して、これからマーケターはどう接触すれば良いのだろう?おそらく、従来のターゲット論とか、ペルソナ論とかは全て捨てるんだろうな……と思う。

さらに言うと『今のヒット商品・人気商品』の延長に次のヒット商品が生まれるはず…という幻想も捨てる。
生活者は、“今有るもの”じゃなくて“今無いもの”!を求めてる からだ。
予測できないことを楽しんで製品開発するしかない。

そんなに難しいことじゃないはずだ…。
だって…無いものを『探せば』、『生み出せば』いいんだもの。
それって、マーケターやプランナーの『本懐』だと思うのだ。