見出し画像

フリーランスとモンスタークライアントとの見積もり攻防。

フリーランサーの志穂です。先日のこと。レギュラーの仕事の隙間時間を埋めようと、クラウドソーシングの仕事でゆるーく探してみたところ、経歴がぴったんこの仕事に出会った。元より、最近のモットーは「楽しくない仕事はしない」「安すぎる仕事は受けない」と決めていたので、被害を受けることはなかった。ただ、大体の場合、被害を受けるのは事前交渉の甘さが原因であることが多いのは、学習済みである。それを避けるべくして、価格交渉した会話の流れを、是非お楽しみいただこう。

* * * * * * * * * 

志:ご返信ありがとうございます。当方の翻訳レートは、13~15円/ワードです。(初回なので、交渉次第で11円まで落とすつもり)

客:初回5円でお願いしたく。

志:(え)…そうですか。納期は?

客:2.5日間です。

志:そうですか(向こう1.5日忙しいんだけど)。他の仕事との兼ね合いがありますので、5営業日未満でしたら特急料金x1.5になります。

客:3.5日ではどうですか?12,385円で。

志:(だから5営業日未満特急料金だってば)すみません、特急料金加算して18,578円です。

客:申し訳ございません。初回のため、こちらの金額でご対応いただけませんでしょうか。他案件については、ご提示の条件でご提案させて頂きますが、本件は厳しいためご理解頂けますと幸いです。

志:すみません、通常料金ですと、初回の方であっても、2447x13円/ワード x1.5で、47,716円なのです。ちょっと単価感があまりに合わないと、次回以降もお受けするのが難しくなる可能性が高いです。。大変申し訳ございません。(←あなたの仕事は受けたくありません。)

客:15,000円で調整しました。お願いします。

志:(人の話聞いてた?)…最大限の譲歩案をご提案させていただきましたが、今回のお仕事は、単価が合わなそうなのでお断りさせてください。大変申し訳ございません。
次回以降のご依頼も、7~9円ということで、私の料金設定13~15円を大きく下回ることから、お互いに気持ちよくお仕事していくのが難しいかなと判断しました。8年前くらいの私でしたらそのくらいの料金だったのですが、そこから経験を積んでおりますので、レートが上がっております。すみません。
交渉にお付き合い頂き、大変ありがとうございました。心から感謝いたします。単価の合う翻訳家さんに出会われることをお祈りしております。ありがとうございました。

以上。返信なし。

47,716円の仕事を12,385円で依頼してきて、こちらのかなりの大譲歩を考慮せず、15,000円で調整しましたとは!?!?!?!?

* * * * * * * * * 

こういう無茶(もはや非人道的)な依頼を、無理やり押し切られて受けてしまう人がいることによって、モンスタークライアントがのさばることにつながる。目の前のちょぼちょぼの利益にとらわれて仕事を引き受けると、結局回り回って、業界全体のレートをどんどんさげていって、結局自分の首を絞めてしまうのだ。一人ひとりが立ち上がり、不当な要求に、NOと言えるようになることが大事だ。モンスターペアレントも、モンスタークライアントも、力で押し切れば自分の要求が通ると分かっているから、つけあがる。要求が通らないことを何度も経験すれば学習するはずだ。勇気をもって、バクバクする心臓を抑えて、「1万円あれば美味しいご飯が食べれるじゃーん」という闇セルフの声を飲み込み、NOと言うのだ!自分の能力はそんなに低くない!自分が自分を大事にしないで誰がするというのだ。自分の今までの努力と経験の積み重ねは、自分にしか分からない。

「ならぬものはならぬのです。」

(Photo Credit: Juan Pablo Arenas / Pexels.com)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?