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アメリカ移住記-1-:私がアーティストビザを選んだ理由

1. ビザの種類。

清水の舞台から飛び降りようか迷いながら。

 2015年末、ももクロちゃん、水樹奈々さんと、個人的に当時2大楽曲提供先であったアーティストさん紅白落選のニュースを知って、あまりにショックを受けた私。想定される芸能界的な事情などをぐるぐる考えてはあれこれ腹が立ったり、それまで長年自分自身も、度々大人の事情に翻弄されてきた鬱憤たる鬱憤が一気に大爆発したのでした。

一晩悩みに悩んで、翌日、NYに行くことに決めました。

とは言ってもすぐに移住するのかどうか?まではさすがに怖くて考えられなかったんですけど(笑)子供の頃から周りに、「しほりはアメリカに行った方が成功するんだろうねえ」とよく言われながら育ち、演劇に漫画に邁進しまくった高校時代にはなぜか「英語だけは絶対に私の人生に役に立つ!」と確信していたので他は全放置しても英語だけは独学で猛勉強し、英検2級を自力でゲットしたり、2012年にイベント出演したサンタフェがあまりに素敵すぎて、「やっぱりいつか(40か50歳になったら)アメリカに行こう!」と決意していた、謎の人生の伏線たちが見事にここで回収されるのか、という大岐路の予感ひしひし。

ニューヨークには、行ったこともないし地図上でどこかも知らなかったけれど、当時見ていたドラマ「glee」のイメージがあり、カンで決定

直感が告げる「ここでついに移住ですよ!」のサインにかなりビビりながら、「いやいや、さすがに移住は無理だろう(笑)」という一応常識人ぽい内心との一人コントを繰り広げながら、ネットで調べ始めたのはビザの種類。

・短期商用・観光ビザ(Bビザ)
・学生ビザ(Fビザ・Mビザ)
・研修ビザ(Jビザ)
・専門職・就労ビザ(Hビザ)
・商用・管理職ビザ(Eビザ・Lビザ)
・投資家ビザ(Iビザ)
・永住権(グリーンカード)

そして目に留まったのは・・・

別名アーティストビザとも呼ばれる、O-1ビザ!!

・科学者、教育者、ビジネスパーソン、およびスポーツ選手 もしくは
・芸術家、および、芸能人

特殊技能を持つ人に与えられるビザです。
周りからのアドバイスで、まずは学生ビザ(F-1)を取って滞在しながら実績を作ってアーティストビザ(O-1)を狙うのがいいんじゃないか?というもっともよくある選択肢というのも勿論考えたのですが、各ビザの説明事項を調べるうちに、このフレーズにビビッと来てしまった。

「O-1ビザ取得者はアーティト業以外で稼いではいけない」

 キターーー!!!
これ、最高じゃないですか。

後に引けない感じ、保険をかけない感じが!!
まさに定番の「しほりスタイル」です。
(うちの実家はなんとじいちゃんの代からバキバキの保険屋さんなので、なぜ突然私のような保険をかけないプロが生まれたのか全くもって謎です。)

それでほぼ、O-1ビザを狙うことに決めたのでした。
逆にいうと、学生ビザだと法的にはアメリカではお金を稼いではいけない、ということになるため、自分の人生的にも法律的にも、全方位で逃げ道をなくしてアーティスト業で邁進することのみを目指すというのは私に合ったやり方だと思ったわけです。

2. アメリカ在住の移民弁護士に相談する。

 2016年2月、まずは純粋な旅行としてNYがどんなところか(さすがにいきなり移住を目指すのではなく・・・)いっちょ見てこよう!
という感じで、ESTA(観光ビザ)で20日ほど行って来ました。
 100%友達ゼロ、コネゼロの状態で飛び込み、オープンマイクやらブロードウェイやらフルに満喫したしほりさん。
 単一民族国家日本で、長年個性が合わずに苦労して来た反動で、余計にNYのフリーダムさはあまりにキラキラ喜びと輝きに満ち溢れて見え、「やはりNYに移住しよう!」と決定。

次の渡米は5〜6月に弁護士とビザスポンサーを探索し、ビザ申請の準備を開始、11月頃にビザ取得、という目標を立てました。
よく「弁護士の友達がいるから紹介するよ!」と声をかけられたのですが、アメリカ在住の移民専門弁護士さんじゃないといけないので、お気をつけください。
※しかもトランプ政権になって以降、毎月のように移民法が改正されており、どんどん厳しく難しくなっているので、本当に現地の専門家でないと手に負えません。

2度目のNY滞在中に、ネット、紹介・・・様々な方向から弁護士を探し、何人かの弁護士さんと実際に合ってお話をしました。

それでわかったのは、(当時オバマ政権下)どの弁護士さんからしてみても、私のキャリアではO-1ビザはほぼ100%、最初からグリーンカード(永住権)も狙える、とのことでした。ありがたき、日本でのキャリア。。(涙)

先行き明るそうな結果を胸にワクワクしながら、故郷が一緒で話が盛り上がった日本人の弁護士さんに依頼することにしました。
(それが地獄への切符になるとは思いもせず・・・。)

3. ビザスポンサーを探す

 移民弁護士と共に、O-1ビザ取得に絶対必要となるのがビザスポンサーです。アメリカからしてみたら、夢だけ目指されて裸一貫で来られても国の利益になってもらえないと困りますし、国に来た後に「この会社が在米中の仕事をサポートしますよ、収入を保証しますよ」というバックアップが付いてます、という証明がないといけません。まあ平たくいうと保証人ですね。

 厳密には会社ではなくても、正式なアメリカ市民であれば、一個人でもビザスポンサーとして認められるそうです。が、個人の経歴や移民局の判断、その時点での法律などにより、一概には言えないのでやはり結果的には移民専門弁護士に個々で相談する以外に確実な方法はなかなかありません。
(が、移住して知り合いが増えてくると、長年ずっと弁護士を使わずにO-1やグリーンを取得してるよ、という強者にも時々出会います。そういう人のアドバイスがもらえるとかなり最強だと思います。くうっ・・・私も早くに出会っていたかった・・・!涙)

 こちらは運よく、たまたま適当に出演したオープンマイクに出ていた、ジャズトランペッターの方が、「君いいね」と声をかけてださり、O-1ビザを狙っていることを話したら、

「僕の友達が音楽系のマネジメント事務所やってるけど紹介しようか?」

と言ってくださり、ポンポンと話が進んで翌日には面談をし、ビザスポンサーになっていただけることになりました。
 こういう出会いや、ときにはもっと桁違いのビッグチャンスがゴロゴロとすぐ隣に転がっている、というのはNYの面白いところだと思います。
「アメリカン・ドリーム」というと、日本では口にするのも憚られるくらい現実離れした、遠いおとぎ話のように聞こえたものですが、本場NYではごくそこらへんに落ちてる話だったりします。
(実際に自分が掴もうと思うと、やはりかなり飛び抜けた運やら行動力やマインドセットが必要な訳ですが、「ああ、グラミー賞ノミネートされてるからライブ行けないごめんね」って4、5人に立て続けに言われたりするこの感じ。笑)

4. NYの弁護士探し問題

というわけで、ビザ選び、弁護士選び、ビザスポンサー探しまでは、いたって簡単にスイスイと進んだのでした。
ここからが長い地獄の始まりだったので、また改めて書いていこうと思いますが、弁護士問題は本当に誰に聞いても苦労話の宝庫!!

「いい弁護士がいたら紹介して!」という話もよく回ってたりしますが、「この人すごくよかったから」と紹介された先でひどい目に遭ったり、というのもよく聞く話で、みんなが苦労しているというのが実情のようです。

文化的に日本の常識と全くもって違うのは、「高額を払ったからいい仕事をしてくれるだろう」とか、「私のケース楽なんだったらそんなに高くは請求されないだろう」みたいな日本人の感覚がまるで通じない、ということ。
「お金が取れればラッキー!」とそのまま仕事をしてもらえないなんて最悪のケースも・・・。本当に自分でかなりの知識と知恵を持って賢く毅然とした態度で臨んでいかないといけません。

日本で良きとされていた「謙虚に、相手を立てて」式は思いやりとしてすら意味も通じないので、完全にアメリカ式にバージョンアップしなければならない。

もしかしたらそれがアメリカ移住への第一歩なのかもしれません。

しほり。

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◆SHIHORI アメリカ移住第一弾シングル「Let me go」9月よりリリース!
世界中のプラットフォームでデジタル配信中!!

◆しほり日本ツアー2019 With Shenna のお知らせ!
1年ぶりにしほりが日本に帰って来る!
2019年グラミー賞招待アーティストのShenna(シェーナ)との共同日本ツアー、どうぞお楽しみに!
・11月2日(土昼)名古屋 栄DOXY しほり/Shenna
・11月3日(日昼)イオンモール春日部  しほり/Shena
・11月4日(月祝)新宿Live Salon Petit MOA
  にかもとりか/CooRie /しほり (ゲスト:Shenna)
・11月10日(日昼)新宿グラムシュタイン   しほり/Shenna



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