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ー 空と芝生と星瞬く夜に見た最高の音楽 ー 阿蘇ロックフェス2023FIRE Day1 現地参戦レポ


長いです。


お久しぶりです、リョと申します。

当初はすいちゃんのステージのレポを書く予定でした。まあ実際に書きました。
ですがあの会場で体験したすべてがあまりに素晴らしかったので、今回は欲張りにあの日見聴きして感じた全てをほんの少しずつではありますが文にしてみました。



勢いで阿蘇へ発ちました

筆者は今年から社会人として石川の片田舎で暮らしている新卒の会社員です。
当然有給もなく、都心を中心に開催される数々のVのイベントを見逃すしかない無力なオタクでした。
ですがすいちゃんが野外フェスに出るというその事実に負けてついた勢いひとつで何も考えずにチケットを取りました。
そこからは早かったです。何とか宿と足を確保し、当日はスーツのまま時間スレスレで最終便に滑り込んで九州に飛びました。

会場に着くまでは全てが他人事に感じるほどの忙しさでした

石川から熊本の直通便はなく、有給も金も無い中で2泊3日〆て9万円近い大金を費やしてでも阿蘇に向かった理由は様々ですが、やはり最も大きかったのは「この機会を逃してはならない」という想いでした。
働きだしてから確実に感じるようになってきた気力と体力の消耗、推し活への熱量の低下、そして行動を起こさねば人生が一瞬でつまらないまま終わってしまうという強迫観念などの諸々に負けそうになりましたが、逆にここでそれに抗って自分の「やりたい、見届けたい」を通さねばどこでオタクするのだという思い切りが頭をもたげてくれたお陰で九州に飛ぶことができました。


いざ、野外劇場アスペクタへ

へとへとな身体をどうにか宿に押し込んで夜を明かし、フェス当日を迎えました。

今回私は博多からのツアーバスを使ったのですが、まず車内を見ただけで今回の阿蘇ロックのオタク参戦率の高さを感じました。
慣れない野外に備えて動きやすさと日焼け対策重視の装備をしていた筆者とは対称に、(すいちゃんが出るイベントのはずなんですが何故か)皆さん様々な推しのグッズや服を身にまとっていましたね。
私も行きでは眠っていましたが帰りはめちゃくちゃに語り合ってしまうほどに熱量の高い星詠みさんが隣に座っていました。こういうイベントでの巡り合いがあるのも嬉しかったです。

そんなこんながありながら、バスは会場に到着。

博多発ということもあり入り時間もやや遅め、グッズ戦争にも当然負けてやや肩を落としながら会場に入りましたが、その瞬間一気にテンションが上がりました。

広い!


解放的!

空が高い!

野外フェスだから、というだけではなかったと思います。
この時期の晴れた南阿蘇の高原だからこその解放的な空気は、家と職場と営業回りの街の中ばかりだった私の目にはあまりにも鮮烈でした。

私も待ちきれずに、一番手を務めるサイプレス上野さんのDJを聴きながらシートを敷き終え、装備を整え、仕上がり始めていた会場の空気に負けないように前に飛び出していきました。


炎の二日間の幕開け


BLUE ENCOUNT

すいちゃんを除く今回の出演アーティストの中では一番良く知っているバンドでした。
アニメタイアップを数多く手がけているのも大きいですが、Vにハマる前から音楽が大好きなオタクをやっていたということもあって全曲ぶちアがっていましたね。初心者にもやさしいブルエンの強い曲と有名な曲とノれる曲のハッピーセットみたいなセトリも最高でしたし、個人的には生音のバッパラで跳べたのがとっても嬉しかったです。

まず朝一でブルエンが出るにも関わらず人が少なかったおかげもあって結構前の方で体を動かせたのがとっても楽しかった。にわかの分際でシティフェスやワンマンでは絶対できない贅沢な体験をさせていただきました。
あとやはりものすごく存在感ある音楽と歌声でした。どれも王道かつとても爽やかで疾走感ある音楽に自然と体が踊りましたし、田邊さんのまっすぐ届く歌声やMCが印象的でした。

ラストのアマリリスも最高でした。
この曲のMVは渡米したBaの辻さんが出てくる中々にエモなやつなのですが、そういう曲の雰囲気と阿蘇の夏がまだ滲む真っ青な空気との相性が素晴らしかった。
北陸から福岡を経由してなんとか飛んできて既にヘロヘロでしたが、朝一からこんな贅沢なステージでノれて本当に良かったです。



SHE’S

SHE’Sは初見、またキュウソを狙い目の一つにしていたのもあってどういうバンドなのかなーとステージから少し離れたレジャーシートで呑気に構えていましたが、このバンドもめっちゃ良かった。完全に不意打ちでした。

曲も全部初見で詳しいことは正直分かりません。ですがメンバーの演奏スキルの高さ、Voの井上さん(ちなみにめちゃくちゃイケメンでびっくりした)の歌唱力、そしてかっこよくて自然と体が揺れだす音楽に乗せられて最後まで聴き入ってしまいました。

特に最後のDance With Meはめちゃくちゃ良かった‼
後ろから見ているとよくわかったのですが、初めまばらだった観覧エリアの人がどんどん増えていって、最後のこの曲では座っている人も楽しそうに腕や体を動かしていく、リアルタイムで会場全体のボルテージが上がっていく様は壮観でした。


ZAZEN BOYS

名前も楽曲も少―しだけ存じ上げていた大御所バンド、ZAZEN。
なんと今回は会場内で行動を共にさせていただいていたFFさんがガチャで特別観覧席を当て、ご厚意で自分もその席に混ぜていただけました。

まずは言葉を選ばずにこう言いましょう。
まぁ――――なんとも濃い。癖が強い。玄人向け極まりない。
だけど味があって死ぬほどかっこいい。そんなバンドでした。
上手く言葉にするのも難しいですが例えるなら眼前に広がる暗闇を楽しむような、鬼の宴のような鋭さと不安定さ、シンプルな欲を形にするような音楽がそこにありました。

音楽性はとにかく独特、ですがこれぞロックといわんばかりの研ぎ澄まされた音を聴かせる演奏スキル、向井さんの渋く強い、深い黒を想起させる声がガツンと突き刺さってきました。
特別観覧席はステージから距離があり一見環境的にはどうかと思いましたが中央に位置取っていることで音の聞こえ方が抜群でした。
初心者の自分ではリズム的にも乗るのが難しかったのもありますが、強い演奏に飲み込まれるように聴き入っていたので結果的に最高のロケーションでZAZENの世界を体感させていただくことができたのではないかと思っています。



スチャダラパー、天月

野外慣れしていないことも考慮しこの時間はシートでゆっくり休んだり食事をとったり軽く睡眠をとったりしていました。


フェス飯のレベルが高かったのも印象的
太陽、芝生、風に音楽がある空間でのビールは最高でした


しかし寝ていてもだらーっとしていても体が反応してしまうもので、軽快なリリックに体を揺らしたり、かと思えば不意に聞こえてきた良く知る曲に跳ね起きたりとこちらも堪能していました。

幕間でしっかりとした昼寝を挟み、寝転がったままで続く天月さんのステージを見ていましたがやっぱりこの方も歌が上手い。(当然)
声質もですがセトリも柔らかな雰囲気のものが多く、途中に挟まった夜明けと蛍、そしてキラキラとした空気感で会場を包むかのようなホシアイと、芝生に寝そべりながら終始心地よく聴き入っていました。
後述するBIGINの時もそうでしたが、私も初めは前に行かず座って聞くのは出演者にはいい気分しないのかな、失礼なのかなとちょっと思っていました。
しかし実際会場にいると前で腕上げるのも、跳んではねて踊るのも、座って心地よく体揺らすのも、また今回であれば阿蘇のどうしようもなく高くて青くて気持ち良い空と響く音を芝生に寝転がりながらたのしむのも、どれも違う魅力があって捨てがたかったです。

この空の高さは格別でした


昼の暑さや疲れの中ではありましたが、頭を空っぽにしてゆったりと音楽と風に聴き入るという楽しみ方ができたのも個人的には物凄くいい経験になりました。


 

BEGIN


名前は当然曲もいくつが存じ上げていました。
しかし言ってしまえばその程度の知識、軽い気持ちでステージを眺めていましたがこちらもやはりすごかったです。
登場時から「お、見知ったハンチングの方だ」とか思っていましたが楽器を握る姿にやはりオーラがある。誰もが聞いたことのある音楽を作ってきた方たちなんだよなぁということをひしひしと感じました。

そしてこれは現地故というのもあったと思いますが、音がとても良かった。
まずは歌声。このレポの執筆時にどうも脳内で引っ掛かったのでBIGINの曲を聴きなおしてみたのですが、個人的には音源版はだいぶパワーが抑えられている印象がありました。
それもあってか自分の中にぼんやりとあったBIGINの楽曲のイメージよりもくっきりした輪郭とパワーと個性がステージ上から飛んできた感じがあって、それに一気に心を掴まれました。

歌がそれなら生の楽器の音はひとしおでした。加えて三線や見慣れないギロ付き洗濯板みたいな楽器、果てにはエイサー隊まで、普通のロックやフェスではなかなか出てこない音や初めて生で触れる音がいっぱいでめちゃくちゃ楽しかったです。

あとはどう言葉にすべきか難しいですが、とても懐かしい気持ちになりましたね。
島には縁もゆかりもない千葉のベッドタウンで生まれた私ですが、阿蘇のあの空が高くて風が心地よい原っぱに座りながら聴く三線の音色や比嘉さんの歌声、音の構成自体は簡単ながらも耳と体にストンと入ってくる音楽、そのすべてにどこか心を落ち着かせ懐かしい気持ちを滲ませる自分がいました。
オリオンビールの時なんてあの会場の空気が一瞬だけ熊本じゃなくて沖縄になっていましたね。
会場の力もきっとあったと思います。ですがそれ以上にBIGINというバンドの歩みや作り上げてきた音楽の力とそれに身を任せる人たちのパワーが織りなす最高のステージでした。
これも生で経験出来て本当に良かったです。


サンボマスター

すいちゃん目当てではるばる阿蘇の山奥まで飛んできた身ですがあえて言いましょう。

これを目撃できたのが私にとってのこの日一番の爆弾になりました。
最高にかっこいいロックというものをこの身で知りました。

サンボマスターは当然よーく知っています。しんどい時にその音楽に力を貰ったのも一度や二度じゃない、凄いバンドだということは自分の中でもわかっているつもりでした。
しかし甘かった。生のサンボのパワーは本当に凄かったです。

楽曲のよさについてはもう説明不要です。私も大好きな「何を伝えたいかがどうしようもなくはっきりしていて、まっすぐなメッセージにあふれている」タイプの音楽をあの音圧、ロケーションで食らったらひとたまりもありませんでした。
山口さんが歌の中に細かく挟み続ける煽りにあてられて会場全体が全力で踊り腕を振る時間がたまらなく気持ちよかったです。

実は私はここですいちゃんの出番まで持たないと直感して一度お手洗いに抜け、後ろの少し開けた場所で跳んでいたのですが今思うとこれは割と正解だった気もします。最後まで飛んではねて腕上げて、全身で優勝しまくるステージを心行くまで体感することができました。

そんな訳で後ろに移動してから最初のMC。
初めは強い言葉で煽り立てたことに萎縮するかのような語りで会場からも笑いが起こるトークが始まったかと思いましたが、ここからが凄かった。


“なんでこんなにみんなのことを煽ってしまったのか、今までいろんなものに制限されてきたからだ。
制限されて耐えていたがどうだ、戦争まで始まってしまってどうしようもない世の中になってしまった。
どうしようもないこの世界を生きるお前らはどうだ、未来を感じないってか?
自分に価値が無い、クソだってか?“

“違う。そんなことは無いぞ。
それを伝えに来た“
      



書き起こすのもこうやって軽く要約するのも野暮が極まる、熱くまっすぐな言葉でした。
でっかい志や目的や大義とかじゃない、自分たちが歌うのはあの時会場にいた私たちに「お前にしかできないことがある、生きててくれてありがとう」というどうしようもない程にクサくて恥ずかしい、でも死ぬほどかっこいい思いを届けるためだと、それを思い知る言葉と熱量と魂でした。

たまらなく目頭が熱くなりました。
私は元から自己肯定感など皆無な根暗人間として生きてきましたが、それでもこういうメッセージが真に刺さることはそう多くはなかったと思います。
ですが社会人になり自分の弱さや駄目さ、これから一人で実績を持って戦っていかなければならない不安と向き合う中では、こういう言葉の力を実感するようになった自分を泣かせるにはあの熱い言葉はにはそれはもう十分すぎる力が宿っていました。

そこからはもうそのぐちゃぐちゃの顔のままでいることを許さない、笑えという言葉とそれを叶えてくれる力強い音楽に身を任せるがままの、最高の時間でした。

山口さんは言葉を選ばず言うなら見た目はフツーのおじさんです。でもどうしようもなくかっこよくて、目が離せなくて、間違いなくあの会場で一番のヒーローでした。
ヒーローなんて呼ばれるのもガラじゃなさそうなあの方たちがあの歌と音と言葉を届けることに宿る力を全身で感じる時間でした。

あの瞬間の会場の震えと心の熱の高まりはずっと忘れることは無いと思います。


小泉今日子

サンボの熱いバトンを受けたのは小泉今日子さん。
フェス出演は10年以上ぶりというこちらも大御所アーティストです。

ところでキョンキョン、調べてみたんですが57歳なんですって。

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こんな存在感あって可愛いことあります?

自分も生まれていない時代をスーパースターとして生き、今なお芸能界の一線で活躍している最強のアイドルというのはやはり凄かった。
サンボからの流れをガラッと変えながらも場の熱を落とさず綺麗に自分のステージに繋げていたように感じます。

選曲自体は有名どころでまとまっていたもあってやはり少し昔のものが多く、音楽自体もその時代柄もありどこかゆったりしたテンポのものが多かったです。腕を振る、跳ぶといった形ではなく、観客も手拍子を打ちながら名曲に体を揺らすように応えているように感じました。

かと思えば「なんてったってアイドル」「学園天国」とアップな曲で観客を焚き付け大きなコールの中心になってみたりするものだからたまりません。
すいちゃん目当てで前に詰める若いオタクたちもかなり年季の入ったツアーTシャツを纏った大人たちも、まとめて楽しませて見せるステージは圧巻でした。


そして夜は深まる

星街すいせい

言うまでもありません、最高でした。
どれも良く知っている曲です。
ですがいろんな無茶をしてここまで来てよかったと、心の底から思えるステージでした。


まずは舞台装置の話からしましょう。

一言で纏めるなら「あの環境でできうる最大限を尽くしてくれた阿蘇ロック運営、ありがとう」という一点に尽きます。
もちろん贅沢を言うなら生バンドや複数モニターによる舞台上の移動範囲の拡大、サイドモニターの運用など、望みたいことはありました。
ですがバーチャル存在の出演経験がない運営さんがあの僻地、秘匿が難しく全体の設計も決してやりやすくはないであろうあの会場ですいちゃんのためだけのモニター設置、粋なMC、その場で初めて知る人だけではなく星詠みにも嬉しいムービー演出と、様々な演出を投入して最高の舞台を作ってくれたのではないかと思います。


そしてロケーションが非常に良かった。
初の野外というのもありますが阿蘇の空が深い夜を下ろす会場で煌々と光を受けるステージはとても絵になっていて、夜風や独特の静けさがそれぞれの楽曲に最高のアクセントを与えていたように感じます。
星が見えれば満点でしたが、それでも夜空の下で夜を歌うすいちゃんの姿を見届けられたのは言葉にしがたい嬉しさがありました。

あとなんといっても近い。これがいい。
3年ほどの間に乏しいくじ運を振り切ってなんとか二回だけいい席ですいちゃんを拝んだことのある私ですが、阿蘇での近さはなかなかのものでした。間違いなく SS 席、一桁列目に匹敵する超至近距離で楽しむことができる貴重な機会だったと思います。
今やライブで現地を引き当てるのも困難になってしまったすいちゃんですが、こういった距離感でできるできるライブがまた楽しめようとは思ってもみませんでした。
本当に、無茶して飛んできた甲斐があるというものでした。


そしてここにも言及しないわけにはいきませんね。 セトリです。
100点満点、あまりにもよくできたセトリだったと思います。
御託は無用、今の星街すいせいを知ってもらう、楽しんでもらうためのありったけがあのステージに詰まっていました。

セットリスト

  1. みちづれ

  2. 灼熱にて純情

  3. MC (guest くまモン、スマイリー原島) 幕間映像

  4. 3時12分

  5. GHOST

  6. Stellar Stellar


1,みちづれ

ライブイベント等ではStellar Stellarを初撃に持ってくることが多いすいちゃんですが、それでもあの会場にマッチしそうな一曲目を錚々たる持ち歌達から選べと問われるとなかなか難しいものがあったと思います。

夜の闇と光の落ちたモニターを引き裂く衝撃と共に流れるみちづれのイントロはそんな問の最強の答えでした。
おどろおどろしさとも軽やかさともその折衷ともどこか違う、妖しくも力の漲るような音楽に乗せて、力強く端々に哀やそれを笑い飛ばす面持ちが滲むような歌詞とすいちゃんの声がやってくるこの曲で会場の空気が一気にすいちゃんのものに染まったことを実感しました。

後の4曲でもいちいち書く必要はないのでここで言ってしまうと、やっぱりこのアイドルは歌がうまい。
初の舞台やバーチャルを知らない人の目もあるというシチュエーションにも難しい曲にも揺らがない圧倒的な歌唱力とパフォーマンスの安定感、そして歌に意思を宿す力の高さを存分にふるって会場を夜空の色に染める様は何年見続けていても何度体感しても、初の野外で遂に聴けた今回でさえも相変わらずの凄さでした。

“ぎらぎら”になってからの在り方を象徴するこの一曲で、阿蘇の舞台まで登ってきた現在の星街すいせいの強さを存分に見せつけていたのではないかと思います。


2,灼熱にて純情

ロックフェスですからね。この曲が来ることは誰しもが予想していたと思います。
今回は生バンドではないため圧力に欠ける部分はありましたが、やはり曲の始まりと共に飛んでくる目まぐるしいカッティングとブラッシングの音には否応なしに興奮してしまいますね。凄まじいステージが続いた阿蘇ロックの勢いにも負けない強烈な熱量を見せられました。

あとはこの部分を書いている時点であったすいちゃんの配信で真相は明らかになりましたが、湯だった頭で見ていても何となく今回のステージングは今までと違うな?という部分が引っ掛かりました。
灼熱では特にサビ前で腕を上下し大きな縦揺れを促す煽りを多用するイメージがありましたが、今回は身体全体を使った動きが多かったように思いました。
ネタが割れればバーチャル恒例の脱臼でしたが挙動のブレが起こって以降もそれを感じさせない立ち回りで歌いきって見せたのは流石でしたね。

一気に上がったボルテージを逃さず最後まで観客を引っ張る最高の時間でした。


3,MC 幕間映像

もう先に言っておきましょう。
「スペシャルゲスト」と聞いてどっかのえりーとや🍜のおじさんを想像した方、いるんじゃないですか?

と疑ってしまうほどに会場が湧きかけましたが出てきたのはまた別方面での大物、くまモンでした。

大舞台でも変わらず迷子エピを披露した直後に可愛い絡みが見られたほか、原島さんの回しが冴える小気味の良いMCでしたね。
一人喋りのMCだと会場の空気感はあれどいつもの配信の姿のような語りになることが多いのですが、(まあそこがMCの魅力でもあるのですが、)こういった二度も無いであろう挑戦的な大舞台でこそ見られるトークがあの場にはあったと思います。

あとは自己紹介の語りで改めて見えたすいちゃんのスタンスがとても嬉しかったです。
「今日もかわいい!!」と叫べることはファンとして当然代えがたい喜びですが、私がすいちゃんを推し始めた2019年だの20年だのあたりから彼女に変わらずある「自分がどう見られているか、どういう存在だと伝えたいか」が感じられる言葉が端々に感じられたのはそれ以上に嬉しかったです。

アイドルでもVtuberでもなく「バーチャルアイドル」を名乗ったことも、自分の姿にびっくりするであろう人たちにも「そこにいるのは一人のアーティストですよ」というバーチャルがその世界の外に出る時に欠かせないスタンスを感じさせる語り口であったことも、会場の誰もを楽しませたいという意思の表示も、その壁を超えようと一線を走り続けその在り方に向き合ってきたすいちゃんだからこそのものだったと思います。
こういうところが好きで長いこと推しているんだったなと、再認識させられました。


そして何より言及すべくは幕間として流れたあの映像だったと思います。

何度でも言いましょう。
阿蘇ロック運営さん、本当にありがとう。

初めて迎えるバーチャルな存在に対して、そのファンに対してあそこまで需要を捉えた粋な演出をぶち込んでくれるイベント運営はそうそういないと思います。
進む年のカウントと共に流れるすいちゃんの代表曲たち、二枚のアルバム、二度のライブの様子とそこに込めたコンセプトを余すことなく表現するカットと、映像もバックで流れる楽曲アレンジも織り交ぜられたBGMも、そのすべてが星街すいせいとその歩みを象徴するかのような最高の作品でした。

ファンのボルテージを上げ、自己紹介としてもこの上ないこの映像。
その始まりにあった2018からすいちゃんを追いかけていたわけではない、この手のものも話も実体験もたくさん見せてもらってきた私でしたが、それでもその歩みの多くをリアルタイムで観測できていた喜びを深く噛みしめていました。

そして映像は最後青い時計が夜と朝の空気が混ざり合い始める、あの時刻をを示します。

4,3時12分

あのロケーションに応える最強の一曲がなんとも粋な演出に繋がれてやってきました。

個人的にすいちゃんを知らない、けど音楽が好きという人にいの一番に紹介すべきと思っている推し曲、3時12分ですが、各々が自由に体と腕を振ることができる夜の会場においてその魅力は間違いなく最強でした。
制作した我らがイノタクもインタビュー等で「クラブ賛歌」と銘打っていたこの曲ですが、興奮冷めやらぬ夜と内臓まで響くどうしようもない音響、そしてそれまでの二曲でアツアツに盛り上がっていた会場を静かに押し返すような空気感の乱高下はそのテーマを汲みながらもあの場あの夜だけの音楽を形づくっていたと思います。

上手く言葉にすることもできません。本当に最高でした。

その音楽性とテーマ性から個人的にミドグラが大好きな私としてはいつかイノタクとも夜風当たる舞台に立つ姿を見てみたいですね‥


5,GHOST

相変わらず凄い曲ですよね。
この曲のイントロで起こるどよめきとそれを一気に鎮める様を目の当たりにすると今でも鳥肌が立ちますし、この曲に宿る力の強さをひしと感じます。

皆様も制作秘話はもう諳んじられるほどに良く知っていると思います。
あの思いを込めた曲、当時でも今でもVの命題としてそこにある「存在証明」と自分の負の感情とを重ねたこの曲を大舞台で歌うことも増えたすいちゃんですが、阿蘇まで飛んでしまうどうしようもない星詠みも自分を知らない人もいて、様々な面から注目されるあの舞台の夜空の下に響くGHOSTにはまた新たな感慨を見出してしまわずにはいられませんでした。

その姿もその声も、まっすぐに鮮烈に届いてきました。夜に浮かぶ姿は良く見えましたし、その声は会場中に力強く響き渡っていました。
本当に、その声が次元を超えて世界へ響かんとする一幕を見届けられた私は幸せ者だったと思います。


6,Stellar Stellar

続くMCもあっと言う間に終わってしまい、最後の曲です。


すみません今までだいぶ無理して書いていました。

勿論全てあの夜感じたことで偽りはありませんが、言葉をうまく振り絞ることを辞めてめちゃくちゃに忌憚なくいってしまうと「現地が良すぎて本当にマシな語彙力での感想が出てこない。良すぎるという感想以外がうまく出てこない。てか記憶ない。」というのが正直なところでした。

現地夜野外Stellar Stellarなんてその最たるものでした。


本当に良かった。

私は会場にいるとサビ前半の歌詞に合わせて観客が「その手を伸ばす」光景がが大好きなのですが、あの空気の夜で伸ばす手の先にすいちゃんがいる幸せは大変なものでした。

あの名だたる出演アーティストの中でなぜすいちゃんがトリになったのか、理由は明白には分かりませんしそこに迫ろうとすると野暮な部分もいくつか思い当たります。

ですがやはりあの曇りが明けても星は見えなかった夜を満点の星空に染め上げんばかりの圧巻の歌唱を見て、やはり夜を歌うすいちゃんが最高だ、誰が何と言おうとナンバーワンだと思わずにはいられませんでした。



後日公開されたインタビューによって判明しましたが、今回のフェス出演は阿蘇ロック運営からの熱烈なオファーだったようです。ロックフェスを謡いながらも様々な曲調を持つアーティスト、披露される楽曲が特徴的なフェスであることは毎年の参加アーティストを見ても明白な阿蘇ロックフェスですが、今年はかなり挑戦の側面が強かったのではないかと思います。

少し悪い言い方にもなりますが実際に会場にいてもオタクの別質さを感じる面(服装やノり方の違い、Vのライブの会場なら気にも留めない、集まってグッズを突き出し合うノリや折角来ているのにスマホに夢中な人などなど)もちらほらと感じられましたし、もっと言えばバーチャルからの参戦をVに疎い人はどう思っていたのか、そんなものは考えても分かりませんし結局は個人の感覚です。

ジャンルの幅への懐が深い阿蘇ロックにおいても、同じ穴の狢たる星詠みから見てもそう感じてしまうのであれば、もっとデカいロックフェス、音楽フェス、ライブイベントではVとそのリスナーがどれだけ異質・異分子に見えるのか?
Vに限らずオタクコンテンツの進出とその際に起きていた色々を少なからず見てきた民として、時代の変化もありますがこの辺は正直分からないと同時に無視できない問いにもなると思います。


かくいう私も実際にそういうジャンルの違う畑に乗り込むときの、こっちの世界ばかりを見過ぎて忘れていた感覚を突き付けられる出来事がありました。

すいちゃんの阿蘇ロック参戦が発表されチケットを獲った直後、某有名バンドが好きでフェス、ライブにも良く行く会社の同期に今回のフェスとそこへの参戦を話しました。
当然私は初めての快挙に、これから何が起こるのか、初めてのロックフェスはどんな景色なのかという興奮にずいぶん嬉しそうに話していたことだと思いますが、その際に


「なぜ野外のロックフェスにVが?」
「多分タイムテーブルもサブステージかメインの早めが関の山じゃない?」
「というか出演者なんだこれ。ロックフェスとか言ってるけどなんちゃってじゃないか。最近こういうの増えたよなぁ。」
「このメンツと比べると集められる客も知れてるだろ。メインステージとかありえない。」
「夜モチーフの子?だとしてもトリになることだけは無いでしょ」(なったが?)

なんならタイテ発表後も
「なんでこの人がトリなん?」
「てか○○が出ないならどうでもいいや」


などなど…


まーーーーーーーーーぁ好き勝手言われてしまいました。

正直結構カチンと来ました。(激憤)

19年代、Vが絵だのキャバだの言われ散らかしている時代からオタクやってきてある程度精神が一巡りしていなければ「何言うてくれてもええけど人の好きなものや好きかもしれないものをそこまでこき下ろす必要あるんか?」という言葉を枕にその場で感情全てを捲し立てて反論していたと思います。
(ちなみにその同僚は私がVのオタクであること自体は普通に思ってるので、無条件にVを攻撃するアホとは全く違います。)

しかし同時にそこにあるのは口が悪いというパーソナリティは確かにあっても、別にその同期の感覚が悪い訳でも古い訳でもないという事実だと、私はそう考えます。

ファン層が違うとはいえSNSでの人気も楽曲売り上げも経済効果を巻き起こす力もすいちゃんは抜群にあります。
そして何よりその歌唱力や曲のクオリティの高さ、在り方のかっこ良さだって十分です。

しかしそれでもまだ世間や音楽という広大な業界全体で見ればすいちゃんほどの歌姫でもそういう立場である、ここ数年で人口に膾炙してきたと言えどまだまだ真ん中に切り込んでいくのは簡単ではない。

これがVの立ち位置だと思います。

きっとすいちゃんが切り拓こうとしている道はまだまだこんな感じだと思いますし、それを好きで追っている我々には見えないものがこれからもたくさん表れてくると思います。
すいちゃんをはじめとした業界の方々だけでなく、もしかしたら我々ファンの側にも何かしらが問われてくる時だって訪れるやもしれません。

どれだけ好きでも信じていてもこんなことを考えてしまう不甲斐ない星詠みの私でしたが、それでも感じていたことがあの会場で、大好きなStellar Stellarを聴いて確信に変わりました。

大丈夫。バーチャルの世界の音楽にはすいちゃんがいる。
次元の壁を飛び越えようと本気で前に進まんとして、ここまでやってきた凄いひとがいる。

すいちゃんの歌はきっとこれからもたくさんの人に届くし、目標が叶っていくその時まで変わらず応援し続ければいい。


阿蘇ロックフェスがすいちゃんという時代の変化の中心・最前線を選び招いてくれたこと、異分子たるオタク含めてそこにいる音楽を愛するみんなが楽しめる時間を変わらずあの会場につくってくれていたこと、そして推しがそこで躍動していたこと。
自分で言えば今までできなかった貴重な経験をたくさんできたことも併せて、同期に言われたあの言葉に対する答えが生まれました。

バーチャルだろうが関係ない、俺達にはすいちゃんがいるし、それを愛する俺たちもいるし、そんなちっぽけな見方をしなくても、音楽をあれだけ愛する人がたくさんいて、みんなが音楽で繋がれるなら、すいちゃんが望む未来のバーチャル、音楽、二次元と三次元はきっとやってくる。


そんなことを感じさせてくれた、思わせてくれたあの一幕はきっと忘れません。
私は本当に、最高のアイドルに出逢って最高のものを見せ続けてもらっているのだと、満点の星を見せてくれるすいちゃんにそんな思いを改めて馳せながら、その時間を過ごしていました。

本当に、最高の夜でした。


あとがき

ずいぶん長ったらしく書いてしまいました。
ですがこれだけ長く書いても足りない程に、同時にそんな言葉は必要ないほどに、素晴らしい1日を経験出来ました。

冒頭でも述べたように筆者は新卒、今回の行軍は主に経済面でかなり勇気のいる決断でした。
初の野外フェスも緊張しましたし、自社の年度初めが重なる超ハードな時期に休みを潰すことにも少なからず不安と抵抗はありました。

でもゴチャゴチャ考える必要はありませんでした。
私は音楽が好きで、すいちゃんが好きです。
行って楽しくないはずもなく、本当に満喫できました。
大好きな音楽も初めて知るかっこいい音楽も常に流れていて、ここ数年やった試しのなかった芝生に腰を下ろすなんていう贅沢ができて、空も綺麗でご飯も美味しくて、趣味の合う方とも出会えて、なにより最高の舞台も目撃出来て
人生において間違いなく大きな思い出になってくれる1日でした。

忙しいだけでなく、諸々の変化や一部であっても良くない言動が絶えなくなった界隈の人たちを見るようになって、働きだしてそれがいかにばかばかしいかを知ってしまって、熱を前のように持てなくなっていたこの世界における推し活でしたが、大切なことをたくさんあの場で思い出し、見せてもらうことができました。


すいちゃんのことです。
年内もライブはたくさんありますし、そのうちもっと大きな舞台を見せてくれることでしょう。

その日までいい星詠み、楽しく生きられる星詠みたれるよう、私もちょっぴり頑張ってみたいと、そんな思いをあの夜に託せればという思いで執筆しました。


あの日を作り上げてくださった沢山の方、出演アーティストの皆さま、当日関わってくれたひと、そして何よりこんな最高の舞台に足を踏み入れるきっかけを作ってくれたすいちゃんに最大限の感謝を送って、締めとさせていただきます。

本当に、ありがとうございました!!!!








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