見出し画像

一緒に働いていたパートの雅子さんが癌になった話

去年の6月ぐらいに長年働いてくれていたパートさんが体調不良で退職した。原因は胃がんだった。
年齢は酉年なので、79歳ぐらいだと思う。

私が入社した時にはすでに働いていた人で、18年ぐらいは一緒に仕事をした。

私も途中で数年ほど異動もあったりしたけど、それでも長く一緒に働いた人だ。

雅子さんは、それまで病気には無縁の人だった。
といっても病院嫌い検査嫌いで、我流で治そうとしたり、ネットであれこれ調べてはネガティブな情報ばかりを目にして、勝手に凹むタイプの人で、周りにはしんどいしんどいとわめき散らす。
まぁそんな人だから、人間ドックなんて行くわけない。
結果を待っている間に精神がおかしくなるぐらいの心配症で、会社の健診で計る血圧も白衣性とかなんとかで、上が200近くまで上がってた。
ってうちのナース、白衣なんか着てないのに緊張ポイントあるんか?とか思うけど。
かと言って普段から家で血圧なんて計らないし。高血圧って認識するのが嫌だからとか。

それでも大病もせず風邪なんかもひかず、ここまで健康?に過ごしてきて、なんだかんだで長生きするタイプなんだなーって周りの人と言っていた。


でも昨年の3月ぐらいから体調が悪いと言うようになった。特に胃がしんどくて食欲もなかったらしい。

病院に行ったほうが良いですよ、ってどれだけ伝えても本人は「胃がんってわかったら嫌だからいきたくない」とまたまたナゾな意固地っぷりを発揮し、言っても聞かないしもちろん病院へも行かない。

あと耳がほぼ聞こえない人なので、医者とコミュニケーションをとるのが億劫なのも、行きたくない理由だったと思う。

でも今思うとこれがダメだった。

あのしんどいときに病院に行ってたら、そこまで症状が進んでいなくて治療ができてたかもしれないのにと思う。

しんどくて仕事を休むようになった。食欲もなかったらしい。
そして、あまりにしんどくなったのか自分で救急車を呼んで病院に搬送された。
その搬送先の病院で、胃がんとわかった。貧血がひどぬ輸血をしたそうだ。
胃の入り口に癌があったから食べ物がなかなか入りにくかったらしい。

高齢であること、リンパにまで転移しているため手術はできず、抗がん剤治療をするしかなかった。

抗がん剤治療は4回ほど行なって、よくもなく悪くもなく過ごしていたが、年明けに具合が悪くなり自分で救急車を呼んで搬送された。
原因は腎盂炎。

しばらく入院していたが、本人が家に帰りたいと強く訴えて、無理に退院をしたそうだ。
でも状態があまりよくなくて、顔を見た家がお隣りのパートさんが「もうあまり長くないような気がするわ。お友達が3年前に亡くなったんやけど、死の直前の顔と同じ顔色で黄色やってん」と言っていた。

今は家で療養中だ。
食事は流動食になり固形物は食べれない。明後日、たこ焼きを一緒に食べようって言っていたのに、たこ焼きは食べれないし、お隣さんの家にも来れないんじゃないかなと思っている。

ちょうど1年前までは仕事をしていて、早出も一緒に入ってた。

転がるように身体レベルが落ちていく。
病魔は本人の意思なんてお構いなしに、容赦なく雅子さんも襲う。高齢だから癌の進行も緩やかだろうって言っていたけど、そんな話はよそごとで、すごい進行の速さじゃないか。

そして明日は、雅子さんに会いに行きます。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?