見出し画像

コンバース

彼女は黒いハイカットのコンバースを履いて、写真を投稿した。

私は彼女に憧れている。
相手の本心を見透かす瞳と自信に満ちたアイラインと禁断の果実のように色付けた唇、”親しい”への病みストーリーと普遍的に愛されるスニーカー。
私の天使。私の神様。私のアイドル。偶像。な彼女。
私は彼女を見て、涙を流す。私が優しさと引き換えに失ったものを想う。
個性とか唯一無二とかカリスマ性とか、自信とか。

週末、私は黒いハイカットのコンバースを買った。
「24cmはディスプレイのしか残ってませんね」と言われて、さらに特別になった。残り一個の憧憬を思わずその場で手に入れたくなった。
優柔不断な私には珍しい迷いなき買い物。私のブレない指針は、いつだって可愛い女の子が示してくれる。
憧れの断片を血肉として、私は今日も生きてる。

この記事が参加している募集

スキしてみて

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?