椎名

26歳で社会人を辞めました。

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最近の記事

はじめての御朱印旅 伊勢神宮②

自慢ではないが、私は晴れ女だと思う。 旅に限らず外出するタイミングで、雨に降られることが極端に少ない。 天気予報が数日前まで雨だったとしても、当日にはギリギリ降らずに曇りで留まることが本当に多い。 伊勢に参ったこの日も、そんな具合で、降りそうで降らない曇り空だった。 外宮への参拝を終え、自販機で小銭を作り、バスに揺られて内宮へ。 ずっと「ないぐう」だと思っていたが、「ないくう」が正しい読みらしい。 なんとなく可愛らしい響きだなぁと思う。 内宮は、外宮より人が多かっ

    • はじめての御朱印旅 伊勢神宮①

      元号が変わって令和になった。 変わってすぐはなにかと騒がれていたけれど、気がつくとそんな話題はどこかに流されてしまったような気がした。 なんとなく、新しい時代になったから、というふわっとした理由で、新しい趣味を始めてみようと思った。 先日のイタリアひとり旅を経験して、ひとりで旅する楽しさを知った。 でも、そんなほいほい海外に渡れるほどの余裕はない。 そこで思いついたのが、「御朱印集め」だった。 もともと神社仏閣の雰囲気は好きだったし、日帰りでも、仕事の合間にでも、あ

      • イタリアひとり旅 最終回 おわりと、それから。

        生まれて初めて、異国の地を訪れて、 生まれて初めて、一人で空を飛んで、 10日間とは思えないほどたくさんの経験をして、たくさんの人と出会った。 楽しいことも、辛いこともあった。 誰かと旅をすると、共有できるものが多いと思うが、一人旅だと、感情がより一層凝縮されるような気がした。 嬉しいも、楽しいも、もちろん辛いも、一段と色濃く自分の中に落ちてくる。 初めての経験に、戸惑いながらも、進み続けた旅だったと思う。 イタリアという国は、決して優しくはなかったかもしれない。

        • イタリアひとり旅12 最後の日。

          いよいよこの旅の終わりが見えてきた。 丸一日自由に使えるのは、9日目のこの日が最後だ。 どこに行こうか、何をしようかと迷ったが、ローマ初日に見た遺跡が忘れられなかった。 だから、もう一度見に行こうと、フォロ・ロマーノを目指す。 中に入れなくてもいいから、と思いながら遺跡の外側をぐるっと回る。 すると、偶然にも、誰も並んでいないチケット売り場にたどり着いた。 コロッセオ前の売り場は人でごった返していたが、フォロ・ロマーノの裏側に近い売店にはほとんど人がいなかった。

        はじめての御朱印旅 伊勢神宮②

          イタリアひとり旅12 旅の形。

          旅にも色々な形があって、楽しみ方も色々あるのだと思う。 ローマ2日目は旅行社で手配した日本語ツアーに参加した。 待ち合わせ場所に集合して、30人を超えるグループでの市内観光となった。 ちなみに一人で参加していたのは私だけであった。当然といえば当然である。 団体さんやカップルが多く、なんとなく疎外感を感じながらも観光を楽しんでいると、団体参加していたグループの女性が声をかけてくださった。 その方たちのおかげで、楽しく市内観光ができたので、感謝である。 ローマ市内観光ツア

          イタリアひとり旅12 旅の形。

          イタリアひとり旅11 パスタと出会い。

          私の座右の銘は「幸せはカロリー」である。 萎えた心が回復してきたので、決意新たに立ち上がり、とりあえずホテルへ戻ろうと歩きはじめる。 フォロ・ロマーノの横を通り抜け、コロッセオを横目に歩く。ローマを代表する観光地ゆえに人が多かった。 観光客が多い、ということは、観光客相手に水や帽子やその他諸々を売ろうと声をかけてくる立ち売りの人も多い。 かろうじて立ち直った心に、降り注ぐ客引きの声は負担がかなり大きかった。 ホテルへ戻り、チェックインを済ませ、部屋に入って安心した拍

          イタリアひとり旅11 パスタと出会い。

          イタリアひとり旅⑩ 全ての街が通じる街、ローマ。

          「素敵な靴は、素敵な場所に導いてくれる」 という言葉を、実体験する日が来るとは夢にも思っていなかった。 フィレンツェでお茶をした翌日。 朝早い電車に乗り込み、次の都市を目指す。次なる目的地は、首都ローマ。 ヴェネツィア、フィレンツェ間の移動と同様に列車に乗り込み移動する。 ローマ、テルミニ駅は、広くて都会の雰囲気が漂っていた。 スーツケースを引き、ホテルを目指す。 グーグルマップを頼りに歩くのだが一向にたどり着けない。案の定迷子である。いつものことなので仕方ない。

          イタリアひとり旅⑩ 全ての街が通じる街、ローマ。

          イタリアひとり旅⑨ 世界最古の薬局を目指して。

          薬局という概念を、捨てることから始めた方がいいこともある。 昼食のソウルフードに衝撃を受けながらも、ジェラテリアをいくつかはしごしつつフィレンツェの街歩きを堪能する。 フィレンツェには、世界で最も古いといわれる薬局、サンタ・マリア・ノヴェッラ薬局がある。 何百年も続く超ロングセラー商品も取り扱う、老舗の中の老舗であるらしい。 せっかくなのでと、その薬局を目指す。 この日は日曜だったのため、人通りもかなり多く、建物は見つかったのだが薬局の入り口をなかなか見つけられず、ぐ

          イタリアひとり旅⑨ 世界最古の薬局を目指して。

          イタリアひとり旅⑧ ソウルフードを求めて。

          魂に刻み込まれるようなおいしさだから、ソウルフードと呼ばれるのだろうか。 フィレンツェ2日目の朝。ツアーの集合場所へ向けて、準備中のマーケットの合間を縫って歩く。中央市場前は、朝から活気で満ちていた。 露店の店主は観光客の私にも、おはよう!と笑顔で手を振り挨拶をくれる。なんだかとても清々しい気分になり、挨拶を返しながら駅へ向かう。 ハロー、モーニン、ボンジョルノ! 挨拶はいいものだ。 にこやかに手を振られて嫌な気はしない。 集合場所に集まると、私を含め数人の日本人が集

          イタリアひとり旅⑧ ソウルフードを求めて。

          イタリアひとり旅⑦ フィレンツェと、まちあるき。

          絵本のページをめくる瞬間は、大人になってもわくわくするものである。 フィレンツェに到着したのはちょうど昼ごろであった。ホテルへチェックインを済ませ、中央市場を目指す。 前日、頭に入れた地図を思い出しながら歩みをすすめる。この街の道は、碁盤の目のように十字に走っているので、比較的地図は覚えやすかった。 ホテル近くの所狭しと露店が並ぶ道を抜けるとそこは中央市場であった。 一つの建物に様々な店がおもちゃ箱の中のようにぎっしり詰め込まれた市場だった。 昼食を求めてイートインスペ

          イタリアひとり旅⑦ フィレンツェと、まちあるき。

          イタリアひとり旅⑥ イタリアの車窓から。

          袖触れ合っていなくとも、なにかの縁はあるらしい。 ホテルで簡単に朝食を済ませ、万全に下調べをした水上バスへ乗り込む。他の島へ行く勇気は最後まで出なかったが、最寄りの駅までは頑張ってみようと思えるのである。 水上バスの切符は意外にもタッチ感応式であった。近代的だ。 朝の街並みを眺めながら、心の中でこの海街にさよならを告げる。この輝く水面と波の音を忘れることは、きっとないだろう。 ヴェネツィア、サンタルチア駅は、広々とした駅だった。驚くことに改札がない。 なぜだ。日本育ちには

          イタリアひとり旅⑥ イタリアの車窓から。

          イタリアひとり旅⑤ 海と、ゴンドラと、私。

          波音はいつも、懐かしさと寂しさを運んでくるような気がする。 ヴェネツィア2日目。 午前中は町中を歩き回って過ごした。サン・マルコ広場の鐘楼にも登ったし、いくつかの教会にも入った。もちろんジェラートも食べた。 鐘楼からは街が一望することができ、遠くの島まで見渡す事が出来た。本当は別の島にも行ってみたかったのだが、水上バスに乗れる気がしなかったため諦めたのである。 歩き疲れるとサン・マルコ広場へ足を運んだ。 日陰を見つけて腰掛けながら、ジェラートを食べ、波音やカフェの演奏に

          イタリアひとり旅⑤ 海と、ゴンドラと、私。

          イタリアひとり旅④ ヴェネツィアと初めての夜。

          人間は道に迷うと左に進もうとする、らしい。 ヴェネツィアで一番有名な場所、それはきっとサン・マルコ広場とリアルト橋だと思う。 名所だし、街角のいたるところに落書きのような矢印や看板が描かれているので簡単にたどり着ける。 そう思っていた。 現実はそんなに甘くはないのである。 歩けど歩けどそれらしいものは何も見えてこない。人は迷ったら左折してしまう。某有名漫画に出てくる理論である。ヴェネツィアの路地は迷路のようなのだ。左折し放題だった。 到着初日、ホテルの位置もあやふやな方

          イタリアひとり旅④ ヴェネツィアと初めての夜。

          イタリアひとり旅③ ジェラートをください。

          初めて降り立ったヴェネツィアは、オリーブとほんのすこしオレンジの匂いがした。 空港に着いた私は、とりあえずスーツケースを受け取り、送迎サービスの添乗員さんと合流し、タクシーでホテルへと向かった。 途中までは車で、本島に入ってからは水上タクシーでの移動であった。 ヴェネツィアは水の都である。 車が通行禁止なので、つまり船が主な移動手段である。 警官も、宅配便も、普通のおじさんも、みんながみんな船で水路を往くのである。なんという優雅さ。 青い空、輝く水面。 目に映る全てのもの

          イタリアひとり旅③ ジェラートをください。

          イタリアひとり旅② トランジットは、ドバイにて。

          飛行機事故における生存率を私は知らない。 詳しい数字は知らないが、事故発生率が低い代わりに生存率も低いことはなんとなく認識している。 初めての長距離飛行で、そんな不安に押し潰されて出立前日は号泣した。 しかしそんなことで挫けている場合ではないのである。だから、手紙をしたためた。宛先は「帰国した私へ」。自分が不安に思ってることを全部並べて、帰って来た時に心配しすぎだったと笑って欲しいと締めくくった、未来の自分に託した手紙。 書き終えるとスッキリして、なんだか胸が軽くなったこと

          イタリアひとり旅② トランジットは、ドバイにて。

          イタリアひとり旅① そうだ、イタリアに行こう。

          26歳の春、社会人を辞めた。 正確に言うと3月の時点で5月末で仕事を辞めることが決まったのである。ふと、その後のことを考えた時に真っ先に思い浮かんだのは「今までできなかったことがしたい」「海外とか行ってみたいけど怖い気もする」という漠然とした思いだった。 そんな時にとある本と出会った。 祥伝社文庫『スーツケースの半分は』(著 近藤史恵)だ。 妙齢の女性たちが様々な思いを胸に、1人海外へと旅立つ物語が詰まった短編集であった。特に感銘を受けたのは第一話、30歳を目前にした主人

          イタリアひとり旅① そうだ、イタリアに行こう。