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『別冊/モノリシックで活かす! ジルコニア・レストレーションの現在』より―「序文」

『別冊/モノリシックで活かす! ジルコニア・レストレーションの現在』を5月12日に発刊しました! まだご覧になっていない方々のために「序文」をウェブ版として公開します(編集部)

ジルコニアの登場は,それまでの歯科用セラミックスのイメージを一変させ,デジタル歯科の普及とともに,世界の歯科医療に大きなインパクトを与えました.わが国では,2005年に承認された当時は,高強度・高靱性を生かしてポーセレンを焼き付けるフレーム材料として使用されました.その後,臨床家からの要望に応えて,透光性を改良したジルコニアが続々と開発され,現在ではモノリシック(単体)でクラウンやブリッジなどの審美補綴装置の作製にも利用されています.

本書では,モノリシックジルコニアに焦点をあてて,オールセラミック修復の変遷と各種ジルコニアの特徴を整理するとともに,多様な用途に対するジルコニアの選択と臨床応用のポイントを紹介しました.

また,現在急速に,CAD/CAMをはじめとするデジタル歯科技術の応用が進められています.それに伴い,支台歯形成から印象採得,補綴装置の製作工程,接着による装着,メインテナンスまでのワークフローが大きく変わってきました.補綴装置の作製に絞ると,材料と成形加工技術は密接に関係しています.これまでの手作業中心の成形加工技術では,最終補綴装置の品質にばらつきが生じていましたが,デジタル技術の導入により均質化と品質保証が可能になります.したがって,CAD/CAMによって作製されるジルコニアはこの新しいワークフローにふさわしい材料といえます.

一方,新しいワークフローにおいては,術者による診察・検査に基づいた診断と治療方針の決定,そして材料の選択がより重要となります.その基準になっているのが国際規格になります.歯科用セラミックスに関しても国際規格が整備され,その中でジルコニアの位置づけも明確になっています.今後もジルコニアの改良が進むと思いますが,臨床家の先生方におかれましては,材料の特性をよく理解して正しい選択をされるようにお願いいたします.

また,支台歯形成や印象採得,接着などの臨床操作のポイントをおさえることが,モノリシックジルコニア・レストレーションの長期の成功につながることをご理解いただき,本書を活用して,国民の健康回復に貢献していただきたいと思います.

2021年5月

編者 宮﨑 隆 近藤尚知


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