忍殺TRPGソロリプレイ【コモン・シーヴス・ナイト】#3

◇前置き◇

 ドーモ。しかなです。当記事はしかながニンジャスレイヤーTRPGを遊んだ結果を元に書き上げたテキストカラテ(訳注:二次創作小説)となります。気楽に読めるよ。

 そして続き物でもある! 前回のお話はこれです。

 なんだかんだでツクル・マシン・システムズ社を訪れたソウカイニンジャたち。社長ハギモトの態度の急変に訝しみつつ、ネコソギを開始するのだった。

 では続きにいってみよう。よろしくおねがいします。



◇トイレにて◇


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「ネコソギとはいいますが、流石にここになにかあるとは思えませんな」

「声を抑えてくれ、ヘブンリリーフ=サン」

 もっともな意見に眉間のしわを深くしつつも、アベレージは注意だけを送る。今、この二人のソウカイニンジャが立ち入ったのはツクル社のトイレだ。個室の扉は閉じられており、中に人が篭っていることを窺わせる。

 スモトリ部屋からノボリの回収を終えたアベレージらは、改めてハギモトが逃亡したオフィス奥へと足を踏み入れた。そしてまず確認したのがここというわけだ。

 アベレージはメンポの前に人差し指を立て、ヘブンリリーフに黙るようジェスチャーを送る。そしてニンジャ聴力を研ぎ澄ませた。

「ザッケンナコラー……。紙がねぇってどういうことだオラー……。これじゃ手前の尻も拭えねぇぞ」

 個室から聞こえてきた哀れな声に、アベレージは顔をしかめた。

 『尻を拭う』とは古来より『自分の世話は自分でみること』の喩として用いられている。もし紙が無くて尻を拭けなかったという事実が公になればそのヤクザのソンケイは地に墜ち、二度と名を上げることは出来ないだろう。個室ヤクザはそのような人生の瀬戸際に立たされているわけだ。

(ヘブンリリーフ=サン、適当な紙は?)

(流石にそこまでの用意は……見ての通り、頭の方にも事欠いていましてな。ハハハ)

 スキンヘッドをつるりと撫であげ答えるヘブンリリーフに呆れた視線を送りつつも、アベレージは懐から己のサイフを取り出した。そして取り出したのは……万札! 彼は惜しげもなくそれを個室扉の隙間へ突っ込んだ。

 数秒の逡巡の後、万札は中に引き込まれる。そして……水の流れる音。

「ハァーッ……ドーモ、スミマセン! 何処のどなたか存じませんが、お手をかけちまって」

「ああ、いや。捨て置くのも目覚めが悪かったのでな……」

 スッキリとした顔で頭を下げるヤクザに、アベレージは憮然とした顔で答える。ヤクザはスーツのポケットからサイフを取り出して、そこから万札を3枚引き抜くとアベレージの手に握らせた。

「こいつはほんの御礼で。受け取ってくだせえ! では!」

「ああ、ウム」

 意気揚々とトイレを後にするヤクザ。その背を見送ってから、アベレージは思わずヘブンリリーフと顔を見合わせる。ヘブンリリーフは腕組みし、唸った。

「情けは人の為ならず、というのはこういうことなのでしょうなあ」

「……かもな」

 アベレージは万札を自らのサイフに収める。予期せぬ収穫であった。

アベレージ:【万札】1を渡してやる
結果、【万札】3を獲得
【万札】18→17→20

 とりあえず、ここにもう見るものはあるまい。アベレージがトイレを後にしようとしたそのときだ!

「イヤーッ!」「アバーッ!?」

 カラテシャウト! そして悲鳴! どちらも聞き覚えのある声だ。何事か。勢いよく廊下に飛び出したアベレージは唖然とする。

 そこには血を流して倒れたトイレヤクザの姿。その側に屈み込んで懐を漁っているのはライデンキャットだ。アベレージの視線に気づいたコールドブラッドが慌てたように弁解!

「いや、アタシは放っておいていいっつったんだぜ!? お前らがいるのに出てきたってことは無視していい奴ってことだろ? けどこいつが」

「エー……放ってもいい奴なら殺しておいてもよくない? あ、結構持ってる。ラッキー」

 反省の色なくサイフから万札を抜き出すライデンキャット。アベレージは思わず顔を覆った。

トイレから出てきたヤクザを
(1:殺す 2:殺さない)
コールドブラッドは
1d2 → 2 殺さない
ライデンキャットは
1d2 → 1 殺す 【万札】20→23



◇オフィス◇


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 気を取り直して踏み入ったのは、ツクル社の業務オフィスと思しきスペースだ。社員たちが各々のUNIXと向き合い、なんらかの入力を行なっている。その中の一人が不意に伸びをし……その拍子にアベレージらに気づいた。

「アイエッ! ニンジャナンデ!?」

「ドーモ。我々はソウカイヤです。大人しくていれば手出しはしない」

 アベレージはアイサツと同時に抜かりなく釘を刺す。社員たちにだけではない。ライデンキャットにもだ。モータルとは即ち資源である。無駄に消費するべきではない……というのがアベレージの捉え方であった。

 サラリマンたちはデスクに釘付けになったまま、怯えた視線を交わすのみ。他にヤクザやニンジャの影はない。つまり、心置きなく調査ができる。

 KRAAASH! 部屋の隅に設置されていたワータヌキ像を破壊するコールドブラッドを尻目に、アベレージはふと思い立って「どけ」「アイエエエ!?」適当な社員のUNIXを拝借。ハッキングを開始した。

アベレージ:【ハッキング】判定
(1,3,6,6) 成功

 キャバァーン! ツクル社サーバへのハッキング成功! そのデータにアベレージは目を細めた。背後からヘブンリリーフが覗き込む。

「なにか重要な情報でも?」

「……どうやらハギモトの奴、かなり前からオムラの兵器をキョートに横流ししていたらしい。無論、ソウカイヤの許可なく、だ」

「ハハァ。奴さんの態度が急変したのも、そこを踏み抜かれたからと」

「……おそらくはな」

 予備のフロッピーディスクに証拠データを吸い上げつつも、アベレージの顔は険しい。たしかに知られれば不利益となる情報ではあるが……本体UNIXから程遠いここでアクセスできるような情報一つで、果たしてあそこまで取り乱すかどうか?

 考えても始まるまい。その件はハギモトに聞くより他ないだろう。ワータヌキ像残骸の調査を終えたコールドブラッドと、壁に寄りかかって居眠りしているライデンキャットを見やり、アベレージはそう判断した。

コモントレジャー回収
(3) 【万札】23→24



◇社内スシ・バー◇


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 廊下からノーレンを潜った先でアベレージらを出迎えたのは、本格的なスシ・バーだ。ゼンめいたオコトBGMがアトモスフィアを作り出している。

「さっきのスモトリ部屋といいこのスシ・バーといい、ずいぶん稼いでるみてェだなこのカイシャ……おっ」

「アイエエエ!?」

 何気なくカウンターの向こう側を覗き込んだコールドブラッドが見つけ出したのは、蹲って隠れていたイタマエである。本格派スシ・バーなればこのような者もいる。

 それに構わずアベレージは奥の冷蔵庫へ向かい、顔をしかめた。大仰な電子ロックがかけられていたからだ。さらにその上部には謎めいた「タタサタサタタズタタシ」のショドー!

(インタビューするか?)

(……一旦任せてくれ)

 コールドブラッドとの短いアイ・コンタクトを終えたアベレージは、冷蔵庫とハンドベルトUNIXをLAN直結させる……!

アベレージ:ハッキング
(1,3,3,4) ギリギリ成功
オーガニック・スシとトロ粉末獲得

エーラッシェー!

 勇ましい電子イタマエ音声とともにロックが解除。カウンターに腰掛けていたコールドブラッドがふざけた様子で拍手を送る。そして彼女はイタマエに言った。

「よかったなァ、お前? マジメなアベレージ=サンに感謝しろよ……あいつがしくじってたらどんな目に遭ってたか……ケケッ!」

「アイエエエ! アイエエエ!?」

 イタマエ失禁! アベレージは冷蔵庫から取り出したスシとトロ粉末を見やり、先ほど応接間で回収したトロ粉末を吸引。改めて回収した物品を懐に収めるのだった。

アベレージ:手持ちのトロ粉末を使用
【精神力】3→5
改めてアイテム二つ確保



◇オイラン部屋◇


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「アーレエエエエエ!?」

 今回の出迎えは悲鳴を上げるゲイシャであった。わざわざ接待用のオイランを待機させていたのだろうか? 考え込むアベレージに、コールドブラッドが声をかける。

「こいつ以外に目ぼしいモンはなさそうだぜ。どうするよ、アベレージ=サン。ついでにヘブンリリーフ=サン」

 アベレージは反射的に彼女を見返し……その言葉の意味を理解して苦笑した。

「仕事中にそういう楽しみをする趣味はない。ディスグレイス=サンほど熱心ではないからな、俺は」

「……関心がないといえば嘘になるが。いくらなんでもコールドブラッド=サンやライデンキャット=サンの前で楽しむのは少しなあ」

「じゃあ備品として回収だな?」

「それでよかろう」

 淡々と進められるニンジャ・ブリーフィングに、ゲイシャが縋るようにニンジャたちを見上げる。そのときだ。ぐい、と彼女を立たせる者あり。ライデンキャットだ!

「アイエッ!?」

「じゃあさ、じゃあさ。ちょっとやりたいことあるんだけど、いい?」

「アアー? 殺すなよ」

「わかってるってー。じゃあいくよー……」

 そうしてライデンキャットはゲイシャの帯を掴む。そして!

ヨイデハ・ナイカー!

ライデンキャット:ヨイデハ・ナイカ・パッション
(1,3,3,4,6) 17回転! 【DKK】1

 カラテの限り、引く! コマめいて回転するゲイシャ!「アーン!」ゴウランガ! 帯をすべて奪われた彼女の胸がはだける。そのバストは豊満であった!

 ケラケラと笑うライデンキャットに、アベレージは腕組みしてただ一言。

「気は済んだか?」

「ウン。楽しかった!」

「そうか。よかったな。……先を急ぐぞ」

ゲイシャは確保



◇最後の部屋……?◇


 ターン! ツクル社最後の部屋に、ついにアベレージたちは踏み込んだ。ここにハギモトがいるはず……だが、眼前の光景に彼らは驚愕した。

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「「「「バカな……行き止まりとは……!」」」」

 彼らが足を踏み入れたのは、タタミ敷きの四角い小部屋であった。それはシュギ・ジキと呼ばれるパターンで、十二枚のタタミから構成されている。四方は壁であり、それぞれにはライオン、バタフライ、ゲイシャ、イカの見事な墨絵が描かれていた。

 もはや先へ進むためのフスマは見当たらない。では、ハギモト社長はどこへ消えたのか。この謎を解くべく、君たちは右手にスリケンを握り、物音ひとつ立てぬ精緻な足運びで、部屋の中心部へと進んでいった。額の汗を右手の甲で拭った。

 君たちはついに部屋の中央へと達する。……まさにその時であった。後方のライオン壁中央を音もなく回転させ、セントリーガンが姿を現したのは!

【ニューロン】判定
アベレージ
(1,2,3,5) 成功
コールドブラッド
(1,1,2,3) 失敗
ヘブンリリーフ
(4,5,6) 成功
ライデンキャット
(6) 成功

「「「イヤーッ!」」」「ピガガーッ!?」

 だが死の罠が効果を発揮するよりも早く、三つのスリケンがセントリーガンを破壊していた。一拍遅れて気づいたコールドブラッドが、ザンシンする三名をキョロキョロと見渡す。

「アー……悪い」

「気にするな。今の我々はチームだ。結成過程がどうであれな」

「ああ、そう……おッ」

 気まずそうにアベレージから視線を逸らしたコールドブラッドが、不意に壁にかけられたショドーへと向かっていく。そしてそれを乱暴に跳ね除けた。

 ゴウランガ。そこに口を開けていたのは隠し通路である。コールドブラッドは振り返り、バツが悪そうに笑う。アベレージは淡々と拍手を送った。

コモントレジャー回収
(1,2) 【万札】24→26



◇隠し部屋◇


 ショドーの奥に隠された通路を、アベレージらはカラテ警戒とともに突き進む。その先にあったのは鉄扉だ。鍵が掛かっていないことを確認したアベレージは、背後の仲間たちに準備を促す。そして!

イヤーッ!

 ターン! 鉄扉を蹴り開けダイナミックエントリー! コールドブラッドらは素早く室内に侵入、カラテを構える!

 それと同時、強烈な照明が彼らを出迎える。その部屋はまるでレスリング会場めいていた。アベレージはその用途をすぐに見破る。非合法賭け試合を行うための地下ドージョー。当然のごとくソウカイヤには非申請!

 部屋の奥に立つ男と、その隣のUNIXを見やったアベレージは目を細めた。そして改まった様子でアイサツ。

「ドーモ。ハギモト=サン。いよいよもってラット・イナ・バッグといった様子だな」

「チェラッコラー! ソウカイヤはもう少しすりゃオシマイなんだ。貴様らを殺して俺はオキナワにでも逃げさせて貰うぜ。たとえニンジャであろうとこの怪物に勝てるもんかよぉ!」

 罵声とともにハギモトが手元の携帯IRC端末を作動。直後、ZZZZGGGGM! 彼の眼前に落下したのは巨大質量! 鋼鉄のボディを持つモーター兵器……否、ロボニンジャ!

「ドーモ、ハジメマシテ、モーターヤブです」

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ヤ:モーターヤブ (種別:ロボ)	
カラテ      5  	体力	12	
ニューロン    1		精神力	5		
ワザマエ     6 	     脚力	6		
ジツ        0		万札	0		
◇装備や特記事項								
装備:『ライトサスマタ』、スキル『突撃』、『レフト・ガトリングガン』『ヘッド・マシンガン』					
◇ライトサスマタ:近距離武器、ダメージ2

◇『突撃』
 『突撃』を行うと脚力の2倍までの距離を移動できる。
 ただし曲がることも後戻りもできず、一直線の移動しかできない。
 この移動時は一直線でさえあればナナメ方向への移動も可能である。
 『突撃』の使用直後に近接攻撃を行う場合、そのダメージは+1となる。
 ただし、『突撃』を使用したキャラは次の出番まで一切の回避が行えない。
 (モーターヤブはニンジャではない(!?)のでそもそも回避行動は取れない)
 この際、自分と一番離れているキャラ(NPC含む)をターゲットにする。

◇『レフト・ガトリング』(カトン・ジツ一部変更)
遠距離攻撃。自分の手番が回ってきたタイミングで、攻撃の代わりに使用を試みられる。
成功した場合、隣接した3×3マスにいる全ての敵に対しダメージ1を与える。PCは回避判定を行える
NPCにも勿論(?)当たる。
3x3マスの中央にいるPC1体は、1ではなくD3ダメージを受ける。
一番多くキャラ(NPC含む)を巻き込める方向に発射する。

◇『ヘッド・マシンガン』 			
  遠距離攻撃。連射3、ダメージ2

◇『オムラAI』※ハウスルール
 モータヤブは、(1)『突撃』+『ライト・サスマタ』、(2)『レフト・ガトリング』、(3)『ヘッド・ガトリングガン』を順番に繰り返す。
 もし、何らかの原因(例えば『サツバツ!』による部位欠損)」で本来行うべき行動が行えなかった場合、エラーを起こしてそのターンは移動を含め何も出来ない。

◇種族:ロボ(以下の情報はPLから提案があるまで開示する必要はない)※ハウスルール
 【種族:ロボ】のキャラに対してハッキングによる攻撃をすることが出来る。

◇ハッキング
 ニューロン判定。【難易度:Normal】(ハードモード・アトモスフィアにより【難易度:Hard】)。
 判定に成功した場合、相手は【精神】にダメージ1。
 防御側も【回避判定】に【ニューロン】しか使う事が出来ないこと、【連続側転】によるデメリットがあること以外、【近接攻撃】のルールを準用する。
 たとえハッキングで精神を0にしてもAIが破壊されるだけで操れるようになるわけではない。


G:キョート・グレーターヤクザの『ハギモト』 (種別:モータル/重サイバネ/ヤクザ)
カラテ		3	体力		5
ニューロン    	3	精神力		3
ワザマエ		3	脚力		3
ジツ		ー	万札		5
							
◇装備や特記事項
 チャカ・ガン:遠隔武器、ダメージ1
 ヒートカタナ:近接武器、ダメージ2
 テッコ:近接攻撃ダイス+1個、回避ダイス+1個
スキル:『突撃』
 『突撃』を行うと脚力の2倍までの距離を移動できる。
 ただし曲がることも後戻りもできず、一直線の移動しかできない。
 この移動時は一直線でさえあればナナメ方向への移動も可能である。
 『突撃』の使用直後に近接攻撃を行う場合、そのダメージは+1となる。
 ただし、『突撃』を使用したキャラは次の出番まで一切の回避が行えない。

「モーターヤブか」

 アベレージは低く呟く。実際オムラのロボ・ニンジャは厄介だ。抜きんでたカラテを持たぬ自分であれば、打ち破れぬ相手かもしれぬ。

 ……それは一対一の話だ。

「あのデカブツをスクラップに変えてハギモト=サンをケジメするぞ。異論は!」

「ねェよ! さっさとぶっ殺すぞ!」

「壊しがいのある相手だ。滾りますな!」

「とりあえず全員潰せばいいんでしょ? ラクショー、ラクショー!」

 コールドブラッドが、ヘブンリリーフが、ライデンキャットが。戦意も露わにロボニンジャを睨む。アベレージはメンポの奥で獰猛に笑い、彼らと共にカラテを構えた!


◇決戦:1ターン目◇


アトモスフィア:ハードモードな

「イヤーッ!」

 先んじて動いたのはアベレージだ。サーチライトを灯す頭部に向けスリケン投擲!「ピガッ」命中するも、致命傷にはほど遠い。だが数秒の余地を生むには充分だ。

 彼の横でコールドブラッドが身を屈める。その身体が肥大化し、バイオ包帯が剥がれ……強靭な鱗が露わとなる! ヘンゲヨーカイ・ジツ!

「ゴウオオオーン!」「ピガーッ!?」

 オオトカゲめいた姿に変貌したコールドブラッドは、猛然とロボニンジャに飛びかかり容赦なく牙を突き立てる。バランスを崩しかけるモーターヤブ! その機体から火花が散る!

「これは大したものだ! 私も出し惜しみできませんな! イヤーッ!」

 KRASH! ヘブンリリーフが鉄槌を地面に打ちつける。蜘蛛の巣めいた亀裂が光り輝き、そこから泡めいて赤熱する光弾が浮き上がった。

 ヘブンリリーフはそれを「キエーッ!」ティーバッティングめいて鉄槌で撃ち放つ! 赤熱光弾は軌道途中で三つに分裂、そのままモーターヤブへと着弾、小爆発を引き起こした。「ピガガーッ!?」

ヘブンリリーフ:カラテミサイル→全弾ヤブ
【精神力】3→2
(1,2,2,4,5) 成功 モーターヤブ【体力】10→7

「う、ウオオーッ!? スッゾコラー!」

 BLAM! ハギモトがロボニンジャから払い落とされたコールドブラッドへ銃撃! だがコールドブラッドは避けもしない。わずかに身体を傾け、弾丸を受けた。虚しく火花が散る。弾いたのだ。無力化!

「イヤーッ!」「ピガーッ!」

 そこへ風めいて舞い込んだのはライデンキャット! 連続側転から大きく跳躍、ロボニンジャの頭部に飛び乗りバイオ牙を突き立てた。暴れるモーターヤブから、ライデンキャットは身軽に飛び降りる。

ハギモト:集中射撃
(1:アベレージ 2:コールドブラッド 3:ヘブンリリーフ)
1d3 → 2
コールドブラッド回避
(1,2,6)

ライデンキャット:連続側転
(1,3,3,6) 成功
ライデンキャット:移動後バイオサイバネ
(3,3,3,4,5) モーターヤブ【体力】7→5

「ピガッ、投稿を受け付けています。ドーモ」

 その間にモーターヤブは右のサスマタを構え……急激に加速! ザンシンしていたヘブンリリーフへと強烈な突きを放つ!

「舐めるなァーッ! キエーッ!」

 ヘブンリリーフはそれを……避けぬ! 逆に鉄槌を振るいサスマタを迎撃! その肩に縄めいた筋肉が浮かぶ!

「イィィィ……ヤァァァァーッ!」「ピガーッ!?」

 鉄槌がサスマタを押し返し、モーターヤブがたたらを踏んだ。

モーターヤブ:突撃
モーターヤブ:ライトサスマタ
(1:アベレージ 2:ヘブンリリーフ)1d2 → 2
(1,2,3,4,6)
ヘブンリリーフ回避
(1,2,4,4,5) 



◇決戦:2ターン目◇


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 アベレージはカラテを構え直し、眼前のロボニンジャを見やる。頭部サーチライトを忙しなく回転させ、次の標的を選択しているのだろう。

 故に。「イヤーッ!」「ピガーッ!?

アベレージ:移動後カラテ
(4,5,6,6)
サツバツ! 3「急所破壊!」
モーターヤブ【体力】5→3 【精神力】5→3
残虐ボーナス1d3 → 2
【万札】26→28

 こちらもまた最適なカラテを考える時間がある。アベレージは跳躍し、模範的とも言えるカラテ割りをモーターヤブ頭部に叩き込んだ。サーチライトが破損し、火花が散る。

「コールドブラッド=サン! ライデンキャット=サン! ハギモト=サンをやれ! このポンコツは俺とヘブンリリーフ=サンで充分だ!」

ゴウオオオーン!

 モーターヤブ横手に着地したアベレージ。その指示に答えたのはコールドブラッドの咆哮だ。彼女はそのままチャカ・ガンを構えるハギモトに……飛びつく!

コールドブラッド:移動後ヘンゲ→ハギモト
(1,3,3,4.4,5,5,6,6)
ハギモト回避
(2,3)
サツバツ! 1「吹き飛ばし」
ハギモト【体力】5→3
衝突ダメージ回避
(3) 【体力】3→2
残虐ボーナス1d3 → 3 【万札】28→31

「ゴボーッ!?」

 おお、ナムアミダブツ。シベリア横断バッファロー殺戮武装鉄道めいた速度のオオトカゲ突進をモータルが避けることなどできようか? 強烈な頭突きを叩き込まれたハギモトは背後の壁に叩きつけられ吐血! そのスーツの奥のサイバネが嫌な軋みをあげた。

 ハギモトが血走った目を見開く。その眼前で「キエーッ!」「ピガガガーッ!?

ヘブンリリーフ:集中鉄槌→モーターヤブ
(2,5) モーターヤブ【体力】3 → 0 爆発!

 カラテシャウトとともに叩きこまれたヘブンリリーフの鉄槌が、モーターヤブの頭部をボディ半ばまでめり込ませた。モーターヤブは抵抗するように左ガトリングガンの砲口を回転させ……そのまま力尽き、爆発!

「ち……チクショオオオオーッ!

 ハギモトは吼えた。そして腰のヒートカタナを起動させ、ネコめいたニンジャの少女へヤバレカバレに斬りかかる。

 モーターヤブの爆発を眺めていたその少女は、ノールックで身を傾けた。それだけで致命的カタナ斬撃を回避したのだ。彼女が振り返り、肉食獣めいてギラついた瞳でハギモトを睨む。

「ア……」「GRRRR!」「アバーッ!?」

 鮮血が舞った。薄汚いマネーに汚れた、薄汚い血が。ナムアミダブツ。おお、ナムアミダブツ。

ハギモト:ヒートカタナ
(1:コールドブラッド 2:ライデンキャット)
1d2 → 2
(3,5,5,6)
ライデンキャット回避
(1,2,3,5,6)

ライデンキャット:集中バイオサイバネ
(1,1,2,3,4,5)
ハギモト回避
(2) 【体力】2→0 死亡!
敵全滅!
ドロップ【万札】31 → 36
アンコモン・ランダム回収
(3,6) 【万札】36→41
別表判定
(2) ウイルス入りフロッピー


 静寂を取り戻した地下ドージョーにて、ニンジャたちはザンシンしていた。ハギモトの喉元を食い違ったライデンキャットはその肉片を吐き出し、長い舌で口まわりの血を舐めとった上でネコめいて顔を拭っている。

「コールドブラッド=サン。これを」

「アン? ……おお」

 アベレージから投げつけられたものに、ヘンゲを解いたコールドブラッドは自身の状況を思い出した。硬く目を瞑るヘブンリリーフと渋面を作るアベレージへニヤニヤと笑いかける。

「別にもう少し役得しててもよかったんだぜ? アタシだってオボコじゃないんだからさ……」

「お前のジツには助けられた。礼を言う。それはそれとして、そのままだと俺たちが反応に困る」

「マジメだねェ……自分で言うのもなんだが、いい身体してると思うんだがな」

「それは認めてやる。だから、服を、着ろ」

「ケケケ! アイ、アイ!」

 ひとしきり笑ってから、コールドブラッドは手慣れた手つきで己の裸体にバイオ包帯を巻きつけ直し、PVCレインコートを羽織った。彼女のヘンゲヨーカイ・ジツは変化が大きいため、普通の衣服では役目を果たさないのだ。

 普段の様相に戻ったコールドブラッドへ露骨な溜息をついて見せてから、アベレージはヘブンリリーフを肘で突いた。彼がようやく目を開けるのを確認し、再度溜息。

「まったく……あとはこのフロッピーディスクだけか。UNIXに破損はないな、ライデンキャット=サン?」

「フアア……ン? 壊れてないよ、ダイジョブ。ところでさ」

「なんだ」

「アベレージ=サン、女の人に興味なかったりするワケ?」

「公私を分けているだけだ」

 心底不思議そうに聞いてくるライデンキャットに律儀に答えつつ、アベレージはUNIXへ。ニヤニヤと見下ろしてくるコールドブラッドへ軽く裏拳を放ちつつ(当然のように避けられた)、ツクル社本体UNIXへ件のフロッピーディスクを挿入。一息ついた。

 ……そのときだ。

ワースゴーイ! アベレージ=サン、やっぱりやればできるんじゃない!

「何ッ!?」

 入り口からの声に、アベレージは慌てて立ち上がる。コールドブラッドらも同時にカラテを構え……怪訝な顔を浮かべた。

 いつのまにそこにいたのか。佇んでいるのはセーラー服姿の少女。その背に背負う巨大なノダチ・ケン・カタナと、剥き出しのサイバネ脚だけが只者でないことを知らしめている。

 彼女はぐるりと一同を見渡し、朗らかな笑みを浮かべてからアイサツを繰り出した。

「ドーモ。シャープキラーです」


【コモン・シーヴス・ナイト】#3終わり。エピローグに続く

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