◇前置き◇

　ドーモ。シカナです。当記事はシカナがニンジャスレイヤーTRPGのミニシナリオを遊んだ結果を元に書き上げたテキストカラテ（訳注：ニンジャスレイヤーの二次創作小説）となります。一種のリプレイだ。気楽に読めるよ。

　今回挑戦したのは……以下のミニシナリオガイドに沿って作成したミニシナリオです。リンク先は有料記事なのでご注意ください。

　ボス・戦闘１・戦闘２・イベント・舞台はそれぞれ5・1・4・3・4となりました。それぞれが何を指し示すかは記事を読める方は読んでくださればいいし、読めなくてもこのリプレイを見れば大まかに予想はつくのではないだろうか。

　挑戦者はオープニングにて発表します。ではいってみよう。よろしくおねがいします。

◇オープニング◇

　ツチノコ・ストリート、グレアリング・オロチ・ヤクザクラン事務所。偽装のために営業されているオイナリサマ違法オイランパブからの喧騒を他所に、三人のニンジャが顔を突き合わせている。

「……つまり、このストリートの廃ショッピングモール。ここに確実に潜んでる」

　そう言って他の二名を見つめるのは、異常長身の少女ニンジャだ。彼女の名はフィアーレス。このヤクザクランの一員であり、恐るべきソウカイニンジャでもある。

ニンジャ名：フィアーレス
【カラテ】：4   　　　　　　　【体力】：4/4
【ニューロン】：4(-1)　　　　　　　【精神力】：3/3
【ワザマエ】：5(+1) 　　　　　【脚力】：3
【ジツ】：3(ヘンゲヨーカイ）　【万札】：9
近接攻撃ダイス：5
遠隔攻撃ダイス：8
回避ダイス：9

【特筆事項】：
【DKK】：3
【名声】：1

【装備品】：
チャカ・ガン×2

【サイバネ】
▲バイオサイバネヘッド（軽度）+△バイオ複眼

【スキル】：
○キラーマシーン教育

【説明】
アサシン養成機関『アシサノ私塾』の生き残り。
ムカデめいた巨大な長虫の姿にヘンゲし、敵を追い詰める。
私塾を滅ぼしたソウカイヤに反抗することなく、忠実に振る舞う。

「成る程」

　穏やかに頷いたのは、フィアーレスと相対する女ニンジャ。彼女もまた8フィートを超える長身の持ち主だ。その背にはバイオ技術の産物と思しき巨大な翼が折り畳まれ、脚もまた猛禽めいた鉤爪を備えたものへと置換されている。

「そこを根城とするニンジャを討ち果たすというのですね？　わかりました。このカテドラル、微力ながらお手伝いさせていただきます！」

ニンジャ名：カテドラル
【カラテ】：6　　　　　　　　【体力】：15/15
【ニューロン】：5　　　　　　【精神力】：4/4
【ワザマエ】：4　　　　　　　【脚力】：5
【ジツ】：3　　　　　　　　　【万札】：1
近接攻撃ダイス：7
遠隔攻撃ダイス：4
回避ダイス：4

【特筆事項】
　【名声】：4
『薬物依存／バイオインゴット欠乏症(軽度)』

【ジツ】：
　ビッグカラテ

【アイテム】：
　オーガニック・スシ

【装備】：
ヤリ
伝統的ニンジャ装束

【サイバネ】
　▲バイオサイバネ胴体+△バイオ飛行翼
　▲バイオサイバネ脚（鳥人）

【スキル】：
　●頑強なる肉体、●突撃、●薙ぎ払い、●飛行移動
　『滑空攻撃』
　○信心深い

【説明】
　ニンジャとなった折の肉体変化を奇跡と見做され、
　弱小カルト団体の巫女として担ぎ上げられていた。
　隔離した生活を送らされていたため世情には疎い。

「助かる」

　自身の豊満なバストを叩いて見せるカテドラルに、フィアーレスは淡々と礼を言った。そしてその隣の小柄な少女へ視線を送る。

　フィアーレスの側頭部に埋め込まれたバイオ複眼を恐々と見つめていた彼女は、びくりと身を震わせた。カチグミめいたゴシック・ニンジャドレス装束を着込むこの少女の名はチェインドッグという。

ニンジャ名：チェインドッグ
【カラテ】：2 　　　　　　　【体力】：2/2
【ニューロン】：4　　　　　　【精神力】：4/4
【ワザマエ】：6 　　　　　 【脚力】：3
【ジツ】：3(キネシス）　　　【万札】：17
近接攻撃ダイス：3
遠隔攻撃ダイス：7
回避ダイス：6

【特筆事項】：
【名声】：4

【装備】：
　*ブラッドカタナ*

【サイバネ】：
▲バイオサイバネヘッド（軽度）+▽バイオ散

【スキル】：
◉スリケン急所破壊
○実家のカネ

【説明】
　ニンジャソウル憑依により家族心中を生き残ってしまった少女。
　唯一残された屋敷に引きこもっていたところ、その屋敷ごとソウカイヤにジアゲされる。
　極度の人見知り。イクサにおいてはキネシスでスリケンを操り戦う。

「アイエッ……エト、エット……ど、どうして私まで？」

「暇そうだったから」

「……アッハイ……」

「そうでなくとも、最近は私たちに仕事回ってきてないし。できることは自分たちでやって、ディスグレイス＝サンにアピール重点」

　ディスグレイス。その名が出た途端、チェインドッグが背筋を伸ばした。表情もまた（彼女なり）に真剣なものとなる。ディスグレイスは彼女のメンターであり、このグレアリング・オロチ・ヤクザクランのオヤブンであり……ソウカイヤでも出世頭のニンジャの一人だ。

　カテドラルもうんうんと頷き、同意を示す。

「ディスグレイス＝サンもお忙しいですからね。最近は中国地方に出張とか」

「ウン。シャープキラーのやつもキールバック＝サンと一緒にトヨスだし」

「……トヨスってなにかあるんですか？」

「ダンジョンがあるらしい。そこに潜ってみるんだって」

　チェインドッグの疑問に淡々と答えたフィアーレスは、思い出したように首を横に振る。

「それは今どうでもいい。とにかく、この三人で野良ニンジャ……ツインテイルズ＝サンをどうにかする。いいね」

「ハイヨロコンデー！」

「アイエエエ……」

　タイム・イズ・マネー。フィアーレスとカテドラルはほぼ同時に立ち上がる。そしてその威圧的長身をオロオロと見上げたチェインドッグもまた、諦めたように席を立った。

◇廃ショッピングモール、入り口◇

　ツインテイルズ。その名がソウカイネットに上がるようになったのはごく最近のことだ。ツチノコ・ストリート界隈の小規模ヤクザクランをネコと共に襲いかかり、混乱を招いているのだと言う。

　しかしそのネコ以外に行動をともにするニンジャ存在なし。さらにメガコーポなどの後ろ盾もおそらくはなし。デスパレートな凶行を繰り返すニンジャとしてそのうちソウカイヤに目をつけられるべき存在であった。これまでは被害規模の小ささから捨て置かれていたのだが……今回、フィアーレスがその堰を破る格好となる。

　敵に目立った戦力はない。ニンジャ三人でかかれば問題なく制圧できる……というのが当初の見立てであった、のだが。

「……先客がいますね」

　やや離れた場所から目を細め、カテドラルが報告する。無論のこと、フィアーレスのニンジャ視力もその存在を捉えている。クローンヤクザ複数名を率いるリアルヤクザが二名。

「ほ、他のヤクザ＝サンを雇ったんでしょうか……？」

「たぶん違う。私たちと同じ目的」

　背中にしがみつき、震え声で尋ねてくるチェインドッグへ、フィアーレスはため息混じりの答えを返した。ツインテイルズの被害にあったヤクザクランは多い。大方、そのうちの一つが報復部隊を派遣したのだろう。

「どうします？」

「排除する。獲物を取られるわけにはいかない」

「アイエエエ……」

　震えるチェインドッグを引きずりつつ、フィアーレスとカテドラルは無造作にショッピングモール跡地へエントリー！

「……チェラッ？」「ナンテメッオラー？」

　ヤクザ部隊最後尾のクローンヤクザたちが訝しげに振り返る。当然、それを率いていたリアルヤクザたちも振り返った。タイミングを見計らい、フィアーレスは淡々とアイサツを繰り出す。

「ドーモ。ソウカイヤのフィアーレスです」「カテドラルです」「ち、チェインドッグです……」

「ソウカイヤだとォ……！？」

　リアルヤクザ片割れが泡を食ったようにショットガンを構える。それに呼応し「「「「スッゾコラー！」」」」一糸乱れぬ動作でクローンヤクザたちが射撃姿勢！

　反射的に身を竦ませるチェインドッグを翼で隠しつつ、カテドラルが嗜めるように言った。

「お待ちを。我々はここを根城とするツインテイルズ＝サンを討伐しにやってきたのです。目的が同じであれば……」

「ザッケンナコラー！　ンなことしたらオヤブンのライオンが接収されちまうじゃねえか！　構うこたあねェ！　ヤッチマエー！」

「……スミマセン。フィアーレス＝サン。ヘマしてしまいました……」

「何が？　まだなにもしくじってない。やるよ」

◆クローンヤクザY-10型 （種別：モータル/バイオ生物/ヤクザ）    
カラテ　　　 1　　体力　　 1
ニューロン　 1　　精神力　 1
ワザマエ　　 3　　脚力　　 2
ジツ　　　　 -　　万札　　 0
◇装備や特記事項
　ノーカスタム・チャカガン：『遠隔武器』、『ダメージ１』

◆ショットガンヤクザ （種別：モータル/ヤクザ）
カラテ　　　 2　　体力　　 1
ニューロン　 2　　精神力　 2
ワザマエ　　 3　　脚力　　 2
ジツ　　　　 -　　万札　　 2
◇装備や特記事項
スダチカワフ・ショットガン：遠隔武器、ダメージ２

　無表情で答えるフィアーレスに目を丸くしたカテドラルは……すぐにその顔に決意の色を浮かべる！

「心得ました！　イヤーッ！」

　そして大翼を開き、跳躍！　そのままクローンヤクザたちの頭上を通過し、リアルヤクザ片割れの後方へと着地！

「な」「キエーッ！」「アバーッ！？」

　面食らったリアルヤクザは繰り出されたヤリに喉元を貫かれ死亡！　それだけではない！「「アバーッ！」」遅れて崩れ落ちるクローンヤクザ二体！　ナムサン、何が起こったというのか！？

　ニンジャ動体視力をお持ちの読者であれば捕捉していただろう。カテドラルがクローンヤクザの頭上を滑空する際、その鉤爪で彼らを切り裂いていた瞬間を。なんたる巨体に似合わぬ空中攻撃！

「なんだとアバーッ！？」

　遅れてカテドラルへ銃口を向けかけたリアルヤクザ生き残りが絶叫！　見よ、その無防備股間に突き立つスリケンを！　スリケンはなおも回転し、ブーメランめいて投擲者の元へと舞い戻っていく。

「あ、アイエエエ……」

　投擲者……チェインドッグは難なくそのスリケンをキャッチし、付着した血液をおそるおそるテヌギーで拭いとる。彼女とてグレアリング・オロチの一員であり、当然のごとくイクサの手段を持ち合わせているのだ。

「イヤーッ！」「アバーッ！」

　そして今フィアーレスが無造作にクローンヤクザを蹴り殺し「イヤーッ！」「イヤーッ！」咄嗟に殴りかかってきたラストクローンヤクザのカラテをほとんどノールックで捌く。

「キエーッ！」「アバーッ！？」

　そのクローンヤクザの胸から鋭い穂先が覗いた。カテドラルは軽々とヤクザ死体を持ち上げると、無造作にそれを打ち払う。

「アイエエエ……い、いいんですか……？」

「こいつらはソウカイヤ傘下のヤクザクランじゃない。問題ない」

　涙目のチェインドッグに、ザンシンを終えたフィアーレスが肩を竦めて見せた。

○１ターン目
カテドラル：移行移動+滑空攻撃
クローンヤクザ二体を撃破
カテドラル：ショットガンヤクザにヤリ
6d6>=4[=6] = (3,2,6,3,2,2 ：成功数：1 , サツバツ！[=6]：1) = 2
ショットガンヤクザ死亡！

チェインドッグ：もう片方のショットガンヤクザへスリケン
7d6>=3[=6] = (6,2,6,1,2,1,2 ：成功数：2 , サツバツ！[=6]：2) = 4
急所破壊発動。ショットガンヤクザもう一人死亡
残虐ボーナス：1d3 = (1) = 1

フィアーレス：移動後カラテ
4d6>=4[=6] = (6,4,5,4 ：成功数：4 , サツバツ！[=6]：1) = 5
クローンヤクザ三体め死亡

クローンヤクザ：移動後フィアーレスへカラテ
1d6>=4 = (4 ：成功数：1) = 1
フィアーレス回避
9d6>=4 = (5,3,2,3,2,2,3,2,2 ：成功数：1) = 1

○２ターン目
カテドラル：移動後ヤリ
7d6>=4[=6] = (6,1,1,2,1,3,4 ：成功数：2 , サツバツ！[=6]：1) = 3

ヤクザ小隊全滅！
万札1→5

　再び静寂を取り戻した廃ショッピングモールの一角を、フィアーレスは油断なく見渡す。銃を撃たせず処理できたのはよし。しかし今の騒ぎをツインテイルズに聞き取られていないか。それが気がかりであった。

　一方、チェインドッグはといえば物珍しげにモール内を見渡している。ニンジャとなる前の彼女の世界は自宅であった屋敷の中で閉じられており、こうした場所に来ることはほとんどなかったのだ。

　と。

「……アッ。あの、エット、フィアーレス＝サンッ」

「どうかした？」

「あそこ！　あそこの棚だけ明かりがついてます」

　思わず見やると、チェインドッグの報告通り。そこだけ電気系統が生きていたのか、冷蔵棚に明かりが灯っている。覗き込むと、そこにはパックド・スシが二つ。

　フィアーレスは状況判断し、そのスシを回収した。もしものときには役に立つだろう。そして不安げにこちらを見上げていたチェインドッグの頭を、やや躊躇いつつも撫でてやった。

オーガニック・スシ×2を回収

◇巡回◇

　フィアーレスらはカラテ警戒しつつモール奥へと進む。そして見出したのは二つの扉だ。片方の奥からは微かにニンジャソウルの気配を感じる。

「ツインテイルズ＝サンはこちらでしょうね。踏み込みますか？」

「待って」

　ドアノブに手をかけるカテドラルを制しつつ、フィアーレスはもう片方の扉に耳をつける。奥からはなにか大型の生き物が蠢く微かな物音。

「こっちから先にクリアリングする。イクサ途中で中のやつにインターラプトされるのは面倒」

「な、中になにかいるんですか……！？」

「ニンジャではなさそうだけど。行くよ」

「アイエッ、待ってください！　まだ心の準備が、」

　チェインドッグの言葉が聞き届けられることはなかった。フィアーレスは勢いよく扉を開き、風めいて中へ侵入！　その後を追うカテドラル！

　取り残されたチェインドッグは、薄暗いモール内を見渡した。そして半ば諦めたように彼女らの後を追い、

「シュシューッ！」「アイエエエエエエ！？」

　中で待ち構えていた巨大バイオズワイガニに悲鳴をあげたのである！

【バード、ドッグ、ワーム、アンド・キャット】前編終わり。後編へ続く。