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好きこそものの上手なれ

こんにちは。しかないかよこです。先日、松戸で開催されている薮内正幸氏の原画展に行ってきました。
子ども達が幼いころ、何度も何度も楽しんだ絵本の原画を見ることができるなんて、こんな貴重な機会をのがしては!!ということで、片道1時間半をかけていってまいりました。

原画展の会場で思わず歓声をあげそうになりました。並んでいた絵は、子ども達と最初に楽しんだ絵本『どうぶつのおかあさん』でした。薮内さんの絵は、とても生き生きしていて、何より目が優しいのです。我が子を大切に慈しむ動物の母親たちの愛情と、母親に全幅の信頼を置いて身を委ねる動物の子ども達の安心感が絵本以上に原画から感じられました。原画を見ていると、子どもたちを膝に乗せて絵本を開いて、絵をみながら色々と話しをした豊かな時間が戻ってきました。

原画を見ることも楽しみでしたが、今回の最大の目的は、薮内竜太氏の講演会です。薮内竜太氏は、薮内正幸氏の御子息であり、薮内正幸美術館の館長でいらっしゃいます。この講演会のことも美術館のホームページで紹介されていました。

講演会のテーマは『 好きこそものの上手なれ 〜動物画家 薮内正幸について 』
薮内正幸氏がどのように動物画家として歩んでいらっしゃったかについて幼少期からお話しくださいました。驚いたことに、正幸氏は美大の出身でもなければ、美術を専門に学んだわけでもありませんでした。ただ、ひたすらにご自分の興味関心を大切にして、歩んでいらっしゃったそうです。

そして、正幸氏の興味関心をサポートする周りの大人の度量が半端ないと思いました。特に、正幸氏が高校卒業間近に東京へ行こうかどうしようか進路に揺れるあたりは、結果を知っているのに、ハラハラドキドキでした。

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1959年当時、東京在住の福音館書店編集長の松居氏と大阪の高校生だった正幸氏は、手紙だけのやりとりでお互いの考えや思いを伝え、会うとなると新幹線もなく日帰りは無理でした。ラインやメールで時間をおかずに連絡を取り合い、面談はオンラインでという現代とは比べようもないぐらい、重みがあると思いました。

そして、美術を専攻したわけでもない高校生に白羽の矢をあて、会社の社運をかけた図鑑の動物画家に抜擢する大胆さや、その高校生を育てようという器の大きさは、さすが福音館の松居直さんだと思いました。

私は、もちろん、正幸氏の愚直なまでに動物を愛し、その絵を描くことを楽しんだことにも圧倒されましたが、それと同時に、正幸氏を取り巻く大人たちが幼い子どもの興味関心をそぐことなく大いに奨励し、尊重した度量の大きさにも感動しました。

正幸氏の動物画家としての歩みとともに、動物の絵を描く時に大切にしていた姿勢も伺い、なぜ親子で絵本に魅了されたのか、その理由を垣間見た気持ちになりました。松居直氏と共に「本物を子どもたちへ届けたい」という熱い思いに感動するとともに、子どもたちと楽しんだ絵本の制作秘話は格別でした。

2時間超の講演会でしたが、本当にあっという間でした。まさに「好きこそものの上手なれ」で2時間もお話を伺っていたとは思えませんでした。

余談ですが、正幸氏は偶然にも私と同じ大阪市港区のご出身で、私が幼い時から幾度となく家族で訪れた天王寺動物園に通っていらっしゃったことを伺い、より親近感がわきました。動物園で買ったこのどうぶつえあわせカードは子どもたちのお気に入りで、何度も何度も遊びました。

子ども達の興味関心って何かなぁと思いを巡らしつつ、帰路につきました。今日の感動を忘れないように、カレンダーを購入しました。一年間、私の心のアカウンタビリティーです。

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