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四季報写経って結局何?

++こんにちは。四季報写経に取り組み始めて1か月半ほどが経ち、なんとなくはじめた「四季報写経ウーマン」アカウントもフォローしてくださる方が増えてびっくりしております。

「四季報写経するときのポイントを教えてください。」
「実際にどうやってやってるのか教えてほしいです。」
「写経すると本当に解像度あがるんですか?」
という声をDMなどでいただいたので、これを機に私が日々何をしているのかをめっちゃ細かく書いていきたいと思います。

この記事の目的は「財務諸表もよんだことないし、四季報を本屋で見てみたけどこれ読み解けないと思って買わなかった」って思っている方が「四季報写経してみようかな??」って思うようになってくれることです。

最後に実際に今日写経した企業を見ながら、どんなことを考えているのかいくつか紹介します!ので、「写経のやり方は知ってる(または四季報写経やることには興味ない)けど写経してるときどんなことを考えているのか知りたい。」という方は、「写経しながらどんなことを考えるのか(四季報写経実践編)」まで飛ばしてください。


そもそもなんで四季報写経をはじめたのか?

四季報と出会ったのは、East VenturesのVCの平田さんの「四季報奢ります
」企画に参加したのがきっかけです。

この企画に参加したのですがいきなり四季報届いても何をしていいのかよくわかりません。平田さんに「どうしたらいいですか??」と聞いてみたところ、こちらの記事が送られてきました。まずはこの記事を読んでみてください。

平田さんから送られてきた記事の中に、四季報写経の発案者 ビジネスプロデューサーの山川さんの記事が貼られていたので読んでみました。四季報写経に興味持った人は山川さんのこの記事絶対読んで欲しい。この記事読んだらぜったいモチベあがる。

「とりあえず四季報をパソコンに書き写すことで世の中の企業にめっちゃ詳しくなれるらしい!」

見よう見まねでやってみることにしました。

四季報写経をする前にやった方がいいこと

四季報見たことある人ならわかると思いますが、知識がまったくない人が四季報みても多分よくわかりません。暗号がならんでます。なので、これがわかれば四季報が読み解ける!というオススメサイト・書籍をまずは紹介します。

「四季報写経を全社実践するとどんなことが起こるのか!」をまずは知ろう!

四季報写経の提唱者 山川隆義さんの書籍「瞬考」は必ず読みましょう。

四季報写経を全社やりきったこの世界で唯一の方です。
四季報写経をするとどんな世界が見えるようになるのか教えてくれます。
まずはこの本を読んで、写経の先に広がる世界を知りましょう。

財務諸表って何??って人へのオススメ

とりあえず騙されたと思って300円払って「coffee inc」というアプリをダウンロードしてみてください。
このアプリすごいです。
売上高とか人件費とか売上原価とかそういった数字の意味を一瞬で体得できるようになります。
そして、それだけでなく「ある程度赤字掘って先行投資する期間は必要」「様々な機能を内製化するとコスト抑えられる」「M&Aすると一気に規模が拡大できる」「独占禁止法はまじで怖い。」「業績が右肩上がりじゃないと株価落ちる」なんてこともわかるようになってしまいます。300円で。お値打ちすぎますね、一回ダウンロードしましょう。

「coffee inc」をプレイしてみてお金の流れを体感出来たら、次は財務諸表の読み方を学びましょう!

これを進めていけば多分わかるようになります。私も最近教えてもらいましたが、めっちゃわかりやすい。

財務諸表は読めるけど四季報読むのははじめてって人へのおススメ

この本を読んで「四季報すごい!そんなことまでわかるのか!!」となりました。四季報の各項目について詳しく説明してくれています。

読んでおいてよかった本

このツイートで四季報写経を知ってくれた方も多いと思うのですが、この本でなんとなくビジネスモデルを頭にいれておくと、写経しながら「あ!あのビジネスモデルじゃん。」と思いつきやすくなります。

上級編 strainerも併読すると面白い!

月額2178円かかりますが、非常にわかりやすく様々な企業の分析記事を載せてくれています。
strainerを読めば「企業分析をする時(四季報を写経する時)何に着目すればいいのか?」段々とわかるようになります。

四季報写経とは何をやっているのか?

準備するもの

・パソコン 
・東洋経済(会社四季報)
 (最新号がいいと思います。株価が結構動いてます)

・「会社四季報」業界地図2024年度

はじめは持ってなかったのですが、この本を手に入れてから、解像度があがるスピードが100倍くらいになりました。

・ブックスタンド
めっちゃ便利!

まずは業界別展望を見てみよう

いきなり個別の企業の写経に入る前に、まずは6-7ページの業界展望を写経します。ここで業界ごとの特徴をざっくりとつかみます。

写経してみよう

写経する会社を決めるために業界地図で気になる業界を開いてみます。説明文などをざっくりと読み、その業界のトレンド・主要なプレーヤー・構造などを頭にいれます。

企業を決めたら写経しましょう。

四季報写経とは四季報の内容をパソコンのexcelなどに書き写していく作業です。どの項目を書き写すかは自分で決めていいと思うのですが、私が書き写している項目とどんなことを考えながら写経しているのかについて書いていきます。

こんな感じの項目について書き写しています。(会社四季報2024年2集から)

各項目について説明していくと
A コメント
   後ほど書きますが写経すると決めた時間は基本的に写経しかしません。IR資料とかに飛び始めると写経がすすまないので、写経すると決めた時間は写経に専念し、気になったことはコメントしておきます。(普段はあとで見返しやすいように、気になった会社は行に色を付けてぬりつぶしてます。)
B 日付
 今日の日付
C 番号
 何社写経したかわかるように
D 証券コード
 証券コードの欄に「同じ証券コードが入力されたら色が塗られる」設定をしておくと後々スムーズになります。何度も同じ会社を写経せずに済みます。

E会社名
F創業年
 いつ創業した会社なのかはわりと面白い項目。電子コミックの会社の創業年がだいぶ昔だとしたら、その会社はどこかで事業転換したことがわかります。
G上場年
 創業してから上場までに何年かかったのかなども見ておくと事業の拡大スピードが想像できます
H業種 
I時価総額ランキング
 その会社が業界大手なのかニッチな領域で戦っているのかがわかります
J 特色
K 連結事業
 どんな分野の事業をやっているのか、一見関連がなさそうな事業を同時にやっている会社は「その事業を一緒にやることでどんなシナジーがありそうか」も考えます。それぞれの分野の営利率もかいてあるので、どの分野がもうけの柱になっていて、どの分野を成長させようとしているのかもわかります。
L 海外比率
 3561「力の源 ホールディングス」(一風堂)と3399「丸千代山岡家」はどちらもラーメンの会社ですが、海外比率は全く違います。今後国内で伸ばしていこうと思っているのか、海外を伸ばそうと思っているのか、想像します。各会社の海外進出のとらえ方を知ると「国内での拡大の余地がどれほどあるのか」もなんとなく想像できます。

で、ここまで写経したら一瞬(2秒)ストップ。数字を写経する前にここまでの特色を踏まえてどのくらいの営利率の会社だろうか?となんとなく推定して、数字を見てみます。

M 売上高
 とりあえず売上高が伸びていないと何も生まれませんね。代表的な会社(パナソニックとか)は大体の会社の規模感もなんとなく頭にいれようとがんばります(忘れるけど)
N 営業利益
O 営業利益率
 営業利益率は四季報には載っていないので、MとNを入力すると自動で算出されるように自分で設定します。その業界の営業利益率を把握するのも大事だし、営業利益率が業界平均に加えて高い会社があれば「なんでだろう?」と考えます。付加価値が高い製品を生み出すことができているか(キーエンス)、費用の削減に成功しているのか(ニトリ)などと想像します。
P純利益
 営業利益と純利益の差が大きかったら、何があったんだろう??と考えます。イレギュラーな出来事(投資に失敗、飛行機が一台燃えた)があったのだなぁと頭に止めておきます、
Q純利益率
 Oと同じようにexcelの設定で自動で算出されるようにします。
R PER
 株式市場の期待値がわかります。
S1人当たり営業利益
 どれだけ効率的に会社を運用しているかの1つの指標になります。KDDIとドコモを比べると、KDDIはドコモの4倍近い1人当たり営業利益をたたきだしています
T業績記事
U材料記事
このふたつが一番大事。なにか気になることがあれば、コメントしてあとで調べます。

<他にもチェックしていること>
・売上高・純利益の推移 
 本当は打ち込むのが一番なのですがさすがに大変なので私は四季報に直接+、-と最近の傾向を赤ペンで書きこんでいます。

・競合会社
 競合会社の欄は結構面白い。
 たとえばメルカリ(4385)の競合会社にはZOZO(3092)が載っています。「メルカリ使おうかな?ZOZO使おうかな?」とは私はならないのですが(メルカリで洋服の取引を個人的にあまりしない)、確かに洋服ほしいな!ってなれば、ZOZO見てからメルカリで安いのないかな?って探す人も絶対いますね。

・株価の推移
 株価の推移の理由をひとつひとつ探すのは難しいのですが、何年から注目されているんだなぁとかはなんとなく頭にいれます

・自己資本比率
 赤字続きの会社などは「あと何年もつんだ?」とかを考え、チェックします。

他にもPBR、ROEとかも使える指標らしいので確認したりしますが、私はまだまだパッと理解できる段階に達していません。

PBR、PERについてはこの記事読むと理解できて「おぉ!」となります。

https://www.buffett-code.com/articles/5930

各自の目的にあわせてカスタマイズするといい感じだと思います。

写経を続けるコツ

「どうやったら毎日写経できるんですか?」とよく聞かれるんですが、「どんどん頭の中でいろんなことがつながっていくのが楽しいから!」というのが一番の理由です。
ですがいくつかポイントはあると思うので紹介します

作業にしない

四季報写経のコツは「いかに作業にしないか」だと思います。ただ数字を書き写すのではなく、書き写していくなかでいかに思いをめぐらせられるかが鍵だと思います。

ポモドーロ法を活用する

私はいつも25分写経 5分休憩のセットでやっています。
25分は写経以外しない。(基本的に!製品名がわからなかったりしたら、なんの会社かわからないのでさすがにサクっとぐぐります。)
気になったことはまとめてあとで調べます。IR資料とかに一回飛び始めるともうかえってこれません。

その日興味がある会社を写経する

ニュースで見た、その会社の人にあった、など興味をもてるきっかけがあればチャンスです。興味をもった会社から写経しましょう。

1社でも写経できたら超えらい!

さきほどと矛盾してしまいますが、とりあえず写経してるだけで超えらいです。私も今は毎日写経できるようになったのですが、最初の1か月くらいはできたりできなかったりでした。が写経するにつれ「昨日より1社多く知っている(=昨日より確実に進歩している)」感が癖になってきました。生きてたら毎日進歩を感じるのって難しいとおもうのですが、写経が習慣になれば毎日すくなくとも1社分ずつは進歩してるのを実感できます。

1社写経するのには5分かかる

1社写経するのには5分かかるので、10分とか時間があれば「お、2社いける!」みたいな感じでやってます。

起きたらすぐ写経

「帰ってきたら写経しよう!」は結構難しいので、起きたらうがいだけして2分後にはとりあえず写経です。15分あれば毎日3社写経できます。

写経しながらどんなことを考えるのか(四季報写経実践編)

では最後に一緒に写経してみましょう!(笑)
朝起きてまずはどこの業界を写経しようかな??と考えます。
昨日のイベントで印刷業界についての話があったので、印刷業界にします。

業界地図 208ページを開きます。
まずは説明を読んで頭にいれたいところにぐちゃぐちゃ線を引きます。
(チェックしてあるのは写経しおわった企業です)

東洋経済社 会社四季報業界地図2024年度 208ページ

1社目 7912 大日本印刷
印刷業界っていうと紙のイメージだったけれど、電池の包装材なども作っているんだ!と驚き。競合の凸版印刷(7911)を昨日写経していたのでサクッと比べて、営利率はほとんど一緒なんだなぁと思います。同じ印刷業界でも連結事業は結構違うので営利も変わってくる気がしていたけど同じなんだ!たまたまかな?とか想像します

2社目 9278 ブックオフ
まずは印刷会社がブックオフや文教堂などの株主であることにびっくりです。確かに言われてみれば、印刷した紙は本屋が使いますね。「富裕層向けの拠点を設置。」⇒「ブックオフってリユース商品扱ってるのに富裕層向けのリユース商品??ってこと。どんななんだろう?」と思いメモ。写経していてやたら出てくるトレカ。トレカにまったく縁のない生活を送っているけれど、トップカルチャー(7640)もトレカの専門店出してたし、利益率も高いらしい。誰かまわりでトレカ好きな人いたら魅力を聞いてみようと思います。

3社目 8056 BIPROGY
SIの会社。なんで大日本印刷がSIの会社の株をもっているんだろう??半導体とかのフィルムも印刷しているからかな?

4社目 文教堂グループHD
「雑誌買い切り対象誌広がり粗利改善」⇒なんで買い切ると粗利があがるんだろう?ZOZOとかは在庫を抱えずに、売れた分だけ仕入れで計上してかなり粗利があがっていました。出版業界の買い切りってもしかして意味違う?売れた分だけ仕入れで計上するのではなく、最初に全部買い取るって意味であってる?あ、買い切りにする方が仕入れの単価を安くしてもらえるってこと?それとも返品する分の物流費・人件費かからなくなるからコストが減るってことかな??

この辺から出版業界について知りたい気持ちが高まってきてしまったので、出版業界に移動します。

業界地図 206ページの出版業界に移動。
このページに載っているプレーヤーは全部写経したのですがたくさんありすぎるのでいくつか抜粋。

まずは業界地図を眺めてどんなプレーヤーがいるのかそれぞれのプレーヤーの利益率はどのくらいになるのかを考えます。
出版業界のプレーヤーは出版社(コンテンツ制作)⇒取次(卸売り)⇒書店(小売り)の3つですね。出版社が一番儲かりそう、取次が一番儲からなさそうとざっくり予想します。

7640 トップカルチャー
 蔦屋書店ってイケてるイメージがあったので赤字なことにびっくり。「文具含め商品搬入先をトーハン倉庫に一本化」⇒昨日写経した4384 ラクスルと同じ作戦だ。複数の印刷所に印刷を頼むと物流費が高くなるので、数か所の印刷所に大量に発注することによって物流のコストをさげる作戦と同じだ!
「ダイソー等導入など業務転換」⇒薬局と同じ戦略だ。「安いものを置くことで人を集めて、高利益率のものをついでに買ってもらう」作戦じゃん。

3641 パピレス
「集客施策が効きユーザー数堅調も、課金額が減少」⇒電子コミック最近めっちゃはやってるイメージだったけど、ライトなユーザーばっかり集めても業績につながらないのか。お金を使わないユーザーへの認知度があがっても、コストばかりかかって逆に赤字になる話を思い出す。

最後に、鉄鋼とか電力とかの業界って一生関わらないのに知ってて意味あるの?みたいなことを聞かれるので、産業機器業界を写経していて考えたことの例をひとつ

6273 SMC
空気圧の自動制御機器の会社。部品を作っている会社なので、メーカーの下請け会社。下請け会社は親会社からの値下げ交渉が激しい&一部の会社に依存していることが多いので値下げ圧力をなかなか跳ね返せない ことから利益率が低くなりがちだよなぁと思いながら写経してみると営利率31%。え、高い。あ、これはTSMCと同じパターンの会社か、TSMCは半導体の製造会社(ファウンドリー)ですが、TSMCしか作れない高度な半導体を作る技術を持っているので発注先の会社(ファブレス)に対して強気の価格を付けられる構造になっています。多分この会社も特許か高度な技術で他の部品メーカーに対する圧倒的な優位性を誇っているのだろうなぁとか考えてみます。

全上場企業コンプリート目指して頑張ります。

四季報を写経し続けると人がどのように変わっていくのかを見れる結構希少なアカウントだと思うので、ぜひフォローしてください!

https://x.com/shikiho_shakyo?s=21


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