けんかのタネ

けんかをしたわけではない。
最近ちょっと考えることがあって、このタイトルにしてみた。

「けんか、したことないよね」
それは、何気ない娘夫婦の会話。

私が相方と電話でけんかしているのを聞いた二人が、私を慰めつつ上のセリフをのたまった。

「うん。そうだね。したことないよね」
とお互いに仲がいいことに満足している様子…。

もちろん、けんかはしない方がいいし、仲はいい方がいい。

思い返してみると子供の父親と結婚をする前けんかをしたことがあったか…。
いろいろ考えてみたが、意見を言ったり困ったことに対して改善のお願いをすることはあってもけんかにまで発展することはほとんどなかった。

暗雲が立ち込め始めたのは結婚式を挙げるにあたってのあれやこれや。

元夫は優しい人で、私にも優しかったけれど自分の身内にも優しかった。
バブル真っただ中の結婚式…シャボン玉を飛ばしディズニーに音楽で統一したファンタスティックなウェディングのムードは、気づくと黒田節を踊るおばさんや、大学校歌を歌う舅の同窓生の親父たちにものの見事にぶち壊された。
何度も打合せを重ね組み上げた式進行はどこへ行ったのか、両家の身内の子供による新郎新婦への花束贈呈はちゃんとやったのに、元夫の双子の姪っ子による2回目の花束贈呈を受けた時には事の成り行きが理解できずに心臓がばくばくしていた。今は関係性が難しい兄とは当時はとても仲が良く、兄のスピーチに身内がハンカチを取り出す傍らで、舅が仲間とどんちゃんやっている。
私の友人や職場の先輩のスピーチは勝手に削られ、最後に舅がマイクを握りスピーチを始め、私を呼び捨てにした時には私側の席がざわついた。

今となっては笑い話で、話のネタにもなる面白い話である。
面白くはあるけれど、その時はちがっていた。
後でビデオを見たら、しおらしくうつむきがちの私の眉が何度もぴりっと上がっている。
幸せの絶頂である花嫁の眉間にしわが寄っている。
隣で新郎は生きた心地もしていないだろうと思いきや、注がれたお酒を足元のバケツに捨てることもなく赤い顔をして気分良さそうに飲んでいる。

今となっては面白い。見返すことはないけれど、今見たら爆笑できると思う。
今となってみれば、あれも「田舎の結婚式」的な感じで、ごちゃごちゃした雑な感じを楽しめばよかった、と思う。

そう「今となっては」…。
当時は違った。
「こんな人たちが身内で…私は結婚してしまっていいのか」
と本気で思った。
身内も結構心配していたし怒っていた。
はい、あなたたちの心配は正しかった。
百人以上の前で永遠の絆を宣言した結婚は、15年ちょっとで幕を下ろしました。

そうなんである。
二人だけで仲良くしている分には、好きになった同士もめる事なんてほとんどないんである。

そこに両家の親親戚が口を出してくる結婚式。
お互いに働いていれば脱衣室にどんどんたまっていく洗濯物。
食事をすればシンクに溜まる洗い物。
子供が産まれれば削られる睡眠時間、自由時間。

夫婦それぞれ応分の負担となるわけではない。
タイミングや環境、人間関係で、どちらかのバランスが崩れどちらかに負担が偏る。それが継続する。

そしてけんかにつながるのだ。

…というわけで、洗濯物がたまるわけでもなく、洗い物がたまるわけではなく、まだ子供もいなくて、結婚式もあげておらず、今どきの親は余計な口をはさまない。骨折すれば駅までの送迎はある。

娘夫婦のハート飛ぶ平和は、私の努力と忍耐の賜物だ。
そこを一つ認識して、言葉に気を付けてもらいたいものだ。

…とこれだけ書き連ねたらすっきりしてきた(笑)

ここまで書いていてなんだけれど、夕べはお婿君に届いた高級牛肉ですき焼き。
お肉以外の材料は事前に私が購入。
私が娘を職場に迎えに行っている間にお婿君が仕込んで、帰ってきたら食べるばっかりになっていた。
昼間はお婿君が掃除機をかけてくれて、生活用品や常備食糧の買い出しもしてくれた。
食後は三人でマージャンタイム(笑)

あれ????
うちの娘なにしてるんだ?
あちゃ~…。
娘夫婦の平和を守っている守護神のつもりになっていたけれど、このままではお婿君に「愛想をつかされる」という最悪のシナリオもあり得るかも💦

結婚が続く意味って10の出来事の中の9つまでが苦労だったりしても、残りの1つがそれを上回る喜びをもたらしてくれることじゃないかな、と当時の私は考えていた。
それは、子供だったり共通の趣味だったり……家庭ごとに形はあるだろう。
ただ、結婚が続かなかった私にはその正解はわからない。
夫婦を続けているカップルのことを純粋に羨ましいと思う。
私だって元オットと二人の関係性を続けたいから結婚したのだ。

娘夫婦もなんとか結婚生活が継続できるよう、私と同じ轍は踏まさせぬよう、少し娘のお尻を叩こうと思う今日このごろなんである。

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