ダイ

逆探知で知り合った冷たいレンズ越しの生活
沈黙をパーカーのフードみたいに目深に被る
聞きかじりの台詞はウェルダンを通り過ぎて
黒い雪のように街を覆い閉じ込めてしまった
このまま爬虫類の体温に蹲っていていいのか
こうして曖昧な言葉を紡ぎ続けていいものか
プラスチックのような可塑性と熱に浮いた心
賽の目の分だけ戻ろう知りすぎた分を繕おう
変容した最終形態としての声が酷似している
この感情の消費期限の短さも忘れたふりして
取り出した心臓にはもう君が根を張っていた
電脳世界で見つけ出せると高を括っていたが
近づくほどに見えなくなる君は蜃気楼のよう
寒空に瞬いたサーチライト編み込んで敷こう
譲り合った話の尻尾がスリッパに逃げ込んだ

2023/10/29

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