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専門家も大切ですが、身近な課長・係長こそ一番のキャリアの支援者に


キャリアコンサルタント界隈でここ数年、話題のキーワードとして「セリフキャリアドック」の実施や「社内キャリア相談室」の設置といった、働く人のためのキャリア支援の仕組みや機構の組織による整備。

1年半前に私が養成講座を受講した際にもこれらのキーワードは強調されていました。キャリアコンサルタントの立場からすれば、仕事が増えて認知度も向上するから、取り組む企業が増えるのは歓迎、といった事情もあるのでしょう。

私も個人的にとても興味のある分野で、本を読んで勉強したり、勉強会でそういった仕組みをつくったひとのお話も聴かせていただいたことがあります。

もちろん、私自身も役所の中にそういった仕組みや機構ができたらいいなと思っています。(思うように組織に働きかけることができていませんが)


でも、そういった専門家を使った仕組みや機構云々の前に、忘れてはいけないことがあります。


それは、私たちサラリーマンの職場では、直属の上司(課長や係長などの管理職・監督職)こそ身近で重要なキャリア形成の支援者だということ。


管理監督職の仕事は、業務とひとのマネジメントです。

このうちひとのマネジメントでは、そのスタッフの動機付けを中心に、業務の負荷のバランスを調整したり、成長のために任せる業務を調整したりします。それらの調整のために、スタッフ一人ひとりの様子を見て、聴いて、感じ取ることも欠かせません。

その観察と調整がうまく機能すれば、スタッフはちゃんと成果を出し、成長するのです(理想論に聴こえるかもしれませんが、原理はこのとおりだと思います)。

ひとのマネジメントの中で、仕事を活用してスタッフの成長を支援している、と言うこともできます。


中長期的な視点で捉えればそれは組織人としての発達支援であり、そこにはキャリア形成支援との関わりを無視できません

中長期的な視点で捉えるためには、目の前の業務のバランスとスタッフの成長を意識するだけではなく、将来的にそのスタッフがどうなりたいと思っているのかを知り、そのために必要な業務を長い目で見て、経験してもらう必要があります。

例えば、中堅クラスで一つひとつのタスクは質・速さともにしっかり取り組める職員。そろそろチームで取り組んでいる事業の進捗管理や、他部署だったり外部の企業だったりとの協議もリードしてもらえるようになってほしい。

そのために、一つの事業を任せ、補助として若手をつけて進め方は任せる。上司は見守りながら定期的に状況を確認し、必要なフィードバックをする。マネジメントとしては、ごく普通のやり方だと思います。

ここにキャリア支援の観点を加えるなら、例えば本人の「will(やりたいこと)、can(できること・強み)、must(求められていること)」を1 on 1ですり合わせて、任せる事業について一緒に意味付けを確認したり、将来的に全庁の事業を俯瞰する企画系の仕事をやってみたいという希望を聴き取って、事業の中でも特に部局横断で進める事業や企画や財政部門との協議が肝になる事業を任せるといったこともできるかもしれません。

もし、ご家族の介護や育児などの関係で、勤務時間を調整する必要があるなら、そういった時期のキャリアとしての価値を一緒に考えることも大切なことですよね。

自身のキャリアとの向き合い方について、プランが必要なのか/方角を示す北極星が必要なのか偶然の機会を活かすのか/自分で機会をつくるのか、といったことも一緒に考えるのもいいですよね。


同じ職場にいて、近しい環境の中でいくらか先を歩く職業人として、身近な上司によるキャリア支援が十分に機能している職場はどのくらいあるのでしょうか?

日ごろ係長としてスタッフと向き合っている私自身も、どこまでできているか自信はなく、大いなるブーメランで流血沙汰必至なのですが(痛)

もし、課長でも係長でもグループリーダーでも、管理監督職一人ひとりが、スタッフの動機付けや成長だけでなく目の前の一人ひとりのキャリア形成にまで意識を向けることができたら、伝統的な文化の大企業や役所の人材像も変わるかもしれません。

必要なのはほんの少しの知識と技術、そして意志。

それが簡単ではないのですが。


本当は、「セリフキャリアドック」の実施や「社内キャリア相談室」の設置が実現する方がキャリアコンサルタントの仕事が増えるはずです(汗)が、みんながイキイキと働ける職場が増えるなら、そんなの小さな問題ですよね。



スタッフのキャリア形成支援や成長支援、動機付けなどのお悩みについては、キャリアコンサルティングでお聴きしますので、よろしければご連絡ください。



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