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パパ活で脱税?~頂き女子りりちゃん事件を教訓に~


はじめに

こんにちは、島田(@mshimada_tax)です。

最近何かと問題になっている”パパ活”。

麻布の寿司屋の大将ともめた事件がありましたが、直近では「頂き女子りりちゃん」が脱税の疑いで告発されました。

まだ告発段階で刑が確定していないとはいえ、事件性と過去の告発の結末を鑑みるとほぼほぼ有罪になるのではないかと。

で、税は国民全員に関わってくることなので、他人事の事件とはいえません。

なぜりりちゃんは告発されたのか、告発とは何なのか、一般納税者も告発されるのか、ということを深堀りしていきます。

この機会に税法の制裁について知っておいていただければと思います。

脱税・告発とは?

りりちゃんは複数の罪に問われています。

ひとつは詐欺罪です。

男性から現金をだまし取ったとされている罪ですね。

で、今回名古屋国税局から告発された罪は、所得税法違反です。

報道によると、「男性からだまし取ったお金約1億1000万円を申告せず、所得税約4000万円を脱税した疑いある」とされています。

この「脱税」という言葉は、税法のペナルティの種類としては一番重い罪になります。

(※)脱税の定義の詳しい解説はこちらでしているのでご参考までに。

この事件の告発とは、脱税をしているりりちゃんを処罰してください、という名古屋国税局が検察庁に対して行った意思表示です。

行政機関として適切な納税を促すために行う追徴課税とは違い、国自体が犯人を処罰をするように働きかけているのです。

悪質性が強いので、社会的な制裁が必要と判断したのでしょう。

りりちゃんはこのあと起訴されて裁判の結果有罪になれば、罪の重さに応じて懲役や罰金を科されることになります。

りりちゃんの脱税とは?

なぜ所得税法違反なのか

報道にもあるとおり、りりちゃんは所得税法違反で告発されています。

なぜ所得税法違反なのか。

仮にパパ活のお小遣いに対する見返り(デートのようなサービス提供)があるなら、パパ活の稼ぎは所得税法上の事業所得か雑所得になります。

いっぽうで、何か見返りを提供するわけではなく、多額のお小遣いをもらっていただけなのなら贈与税の対象になり相続税法違反の可能性もあったはずです。

この点について、一部報道によるとりりちゃんは恋愛感情を利用した詐欺マニュアル「りりコミット」なるものを販売していたようです。

マニュアル化するくらいなので、おそらく名古屋国税局はりりちゃんのパパ活は一種のサービス提供を行っているとして、所得税法の対象としたのでしょう(あくまで私見です)

ちなみに、所得税を脱税しているということになると、住民税も脱税していることになります。

基本的に住民税は所得税の計算を基礎にしているからです。

なので、りりちゃんは報道にある所得税4000万円に加えて住民税も払わなければいけません。

加えて、無申告加算税(若しくは重加算税)や延滞税も課される可能性はじゅうぶんにあるでしょう。

詐欺の稼ぎも課税対象になる

今回の事件のように、詐欺で稼いだお金も課税対象になります。

というのも、所得税法では、その稼ぎが合法か違法かを問わず、稼ぎがあるなら平等に課税の対象になるからです。

そもそも、合法に稼いだお金だけが課税されて、違法に稼いだお金が課税対象外になるのなら、不公平ですし犯罪が横行してしまいますよね。

誰でも告発されるのか?

告発される可能性

結論からいうと、誰にでも脱税で告発される可能性はあります。

なので、パパ活でお小遣いを受け取っていながら申告をしていない人は申告しましょう。

修正申告は早ければ早いほど制裁が軽くなる可能性はあります(個々の事情にもよりますが)。

ただ、国税局に脱税を疑われて告発まで進むというのは、それなりの悪質性がなけば可能性は低いでしょう。

そもそも、いきなり告発されるということは通常ありません。

まず、税務調査が実施されます。

で、調査官が悪質性が高いと認める場合は、査察部(いわゆるマルサ)に伝えて査察部が調査し、告発が必要ということになれば告発されることになります。

今回のりりちゃん事件は、詐欺行為が行われていて、その上無申告で、かつ脱税額が多額になることが見込まれたため告発に至っているのでしょう。

つまり、誰でも悪いことをすれば、脱税疑いで告発される可能性はありますが、それなりの悪質性が要件になってくるということです。

制裁を受ける可能性はある

ただ、脱税疑いで告発されなかったとしても、税務調査で誤り(申告漏れ)や不正(仮装・隠蔽行為)が発覚すれば、それなりの制裁金を支払わなければいけません。

加算税や延滞税と呼ばれるものです。

脱税犯は最悪の場合、懲役や罰金を払うことになりますが、そこまではいかなくても「誤りや不正をしなければ本来支払わなくてよかったお金」まで払うハメになってしまうことにご注意ください。

おわりに

りりちゃんに限った話ではなく、昨今は個人に対する税務調査の件数や追徴税額は増えてきています。

個人だから大丈夫、スモールビジネスだから大丈夫、ということはないので、不要な制裁を受けないように適切な申告を心がけましょう。

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