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母性と父性

あたしには「男の父性本能を刺激する」という妙な才能がある。

あたしとつき合った男たちは、なぜか親しくなるにつれ「お父さん」っぽい振る舞いをするようになる。つまり、あたしを「娘」のように扱うようになるのだ。

そのことをハッキリと自覚したのは、初めて年下の男が彼氏になったときだ。

年上の男が彼女を(愛情を持って)小馬鹿にしたり「しょーがねぇなぁ」と言いながら助けてくれたりするのはよくあることだが、同じことを年下からやられると違和感を覚える。

だが、自分の男に「弱くて頼りない生き物」扱いされるのは、不思議とイヤじゃない。
これが会社の同僚とかだったらムカつくであろう。
でも恋人だけは「しょーがねぇから俺が守ってやるよ」的な意志を感じるせいか、ダメな奴扱いされても腹が立たない。

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