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『神さまを待っている』読了後に感じた現実世界の不思議 初めての確定申告とAmazonの法人税対策


ルールってのはお前等のためじゃなく、"作ったヤツ"のためにある。
 (引用:東毅『電波教師』1巻、小学館、2012年、p.99)

畑野 智美『神さまを待っている』を読みました。

本書は若い女性が貧困へと嵌まっていく様子が描かれたエッセイ。
「若者」、「女性」という相対的弱者の立場に置かれた人間の苦しみが、文章を通して、まるで読んでる自分の体にまとわりついてくるみたいで。

女性はいざとなったら"ウリ"をすればいい、そんなことを思っていないか。
自分自身に問いかけるきっかけになった一冊でした。

『神さまを待っている』


この本が伝えたいこと、それは、

どうして"弱者"になってしまうのか?


"弱者"自身のせいなのか?自己責任なのか?
そうとも限らないんじゃないか?

だと思いです。
本の中でこんな話がでてきます。

生活保護受給のために役所に行って手続きしようとしても、小難しい話をあーだこーだ言われて訳がわからなくなってしまい、結局は生活保護を申請できずに帰ってしまった。

貧困から抜け出したくても、
抜け出すやり方が分からない、理解できない。

弱者は弱者の状態から抜け出す術がわからない、理解ができない
故に弱者は弱者のままで、一度弱者になるとそこから抜け出すことは困難である、と。


でも、考えてみたらおかしなはなしです。

生活保護は、最低限の生活ができない人のための制度なのに、その肝心の最低限の生活ができない人が制度が理解できず、利用できていないんです。

誰のための制度なのか。

ルールってのはお前等のためじゃなく、"作ったヤツ"のためにある。
 (引用:東毅『電波教師』1巻、小学館、2012年、p.99)

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確定申告をしました。
新卒でやりはじめた地域おこし協力隊、僕の活動している市では"個人事業主扱い"になるため、確定申告をする必要があるからです。

前年度の所得が0だから経費を一律で計算できる特例が利用できたおかげで、あまり難しい計算も必要なく、確定申告する人の中でも比較的楽に申告できました。

申告して、納付書をいただいて、その分を支払えばok。
納付書に書かれたNitendo Switchが一台分くらいの金額を支払えば、一連の作業は完了です。

そんなとき、「Amazonが昨年に続き今年も法人税をまったく支払わなかった」というニュースが目に映りました。

まあ、あの大企業のAmazonですから、それはもうプロフェッショナルの中のプロフェッショナルが法人税の対策をしているのでしょう。


でもなんかなー、と。

仕組みが理解できている人・企業(強者)はそれを利用することで恩恵が得られるけど、仕組みをいまいち理解できていない人(弱者)はその仕組みにいいように操られてしまう。

『神様を待っている』を読んだ後の自分には、そんな風に見えてしまいました。

『神様を待っている』で出てきたエピソード同じように、弱者は弱者の立場から抜け出す方法が理解できないし、なんならそんな方法があることを知ってもいないのです。

アメリカの税申告制度や日本の確定申告は、もしかすると弱者には優しくないのかもしれません。

ルールってのはお前等のためじゃなく、"作ったヤツ"のためにある。
 (引用:東毅『電波教師』1巻、小学館、2012年、p.99)

難儀なものです。


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