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フリクションを消すだけでなく浮かび上がらせてみる

(2015年1月9日作成)

フリクションといえば「消えるボールペン」として有名な文房具です。僕も、校正のときの朱入れや、打ち合わせのメモのときに使っています。このフリクション、なぜ消せるのかという原理が特設Webサイトに紹介されています。

こすると消えるフリクション | PILOT - パイロット

これによると、摩擦熱で60℃以上になると成分の組み合わせが変化して透明になりるとのこと。そしておもしろいことに、-20℃以下では元の成分の組み合わせとなって色が復活するらしい。

ならば! 熱して文字を浮かび上がらせる「あぶり出し」とは逆の、冷やして文字を浮かび上がらせる「逆あぶり出し」ができるのではないか。「よくある質問」にも、できそうなことが書いてあるので、さっそく試してみました。

フリクションで書いたものを高温下に放置していたところ、書いた文字が消えてしまいました。もとに戻す方法はありますか?

実験してみた

まずは、普通の紙に書きます。

次に、書いた文字を消します。ラバーでこすってもいいのですが、要は60℃以上に加熱すればいいので、今回はドライヤーをあてています。加熱、冷却による色の差も検証するために、一部は残しておきます。

これで家庭用冷凍庫に入れます。ちなみに使用した冷蔵庫はシャープ製の137L。入れてから30分後に取り出すと。

おお、復活している! 青は加熱、冷却を経ても、元の色との違いは見られませんでしたが、赤はやや薄くなっています。これは赤の性質なのか、冷凍庫の温度が高かったのかはわかりません。

家庭用冷凍庫は-18℃設定ですが、実際には扉の開け閉めがあったりして-10℃~-15℃といったところです。-20℃以下で復活するフリクションにとっては、ちょっとだけ温かかったのかもしれません。

ちなみに、ここからもう一度、加熱、冷却しても復活しました。

逆あぶり出しを使ったサプライズ

通常のあぶり出しは火を使うので、子どもだけでやらせるのは少々危険です。これに対して、フリクションを使った逆あぶり出しは、加熱も冷却も安全なのが大きなメリット。ただ、文字が浮かび上がる過程をリアルタイムで観察できないので、少し面白味に欠けるかもしれません(透明な冷凍庫があれば別ですが)。

さて、これで何かおもしろいことができないでしょうか。「冷凍庫で冷やしてね」と書いた手紙とかどうでしょう。あとは、消しゴムに見えるドライアイスを使って「こすると文字が浮かぶ消しゴム」とかどうでしょう。うまく使えば、ちょっとしたサプライズに使えるのかもしれません。

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