センター試験「生物基礎」を解いてみよう——新・大学入学共通テストへの布石か
週末はセンター試験が開催されました。生物系のサイエンスライターだし、せっかくなので生物科目の問題を解いてみることにしました。果たしてサイエンスライターと名乗るにふさわしい点数を獲得することができるのか!?(8年連続使っている文章のコピペ)
文系志望が解く生物基礎
この記事では、まず生物基礎にチャレンジします。この科目を選択するのは、文系志望の受験生です。文系学部を志望する場合、「物理基礎」「化学基礎」「生物基礎」「地学基礎」から2科目選択しますが、多くの受験生は「化学基礎」と「生物基礎」の組み合わせを選択します。
つまり、生物基礎という科目は、文系のほとんどが解く問題と考えてください。
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生物基礎の場合、教科書に書いてある知識を解くものが多く、たまに計算問題や実験の考察問題があります。今年は、少し厄介な計算問題と考察問題が多かったように感じました。3問見てみましょう。
どんな実験をすれば仮説を検証できるか
解答番号3の問題。
(問題文には続きがあって、可能性[1]を検証できる実験はa, b, cのどれか、可能性[2]を検証できる実験はd, e, fのどれかを選ぶ)
実験結果から考える問題ですが、単に「どの試薬を使えばいいか」「どんな気体が発生するか」の知識を問うのではなく、他に考えられる仮説を棄却するためにはどんな実験をすればいいのか考えさせる問題。当たり前となっている前提条件をあえて疑うスタイルのため、高校生にはかなり難しめ。
可能性[1]は、「過酸化水素に何らかの物質を加えたからといって酸素が発生発生しない場合がある」かどうかを示せばいいので、正解はb。落ち着いて注釈を読みましょう。
可能性[2]は、「肝臓片自体から酸素が発生しない場合がある」かどうかを示せばいいので、dの実験を行って、水に入れて酸素が発生するかどうか確かめればいいわけです。
数字だけでなく漢字も読もう
解答番号6の問題。
アデニンとチミンが同じ量、グアニンとシトシンが同じ量だと考えれば、シトシンの量は(100-(20×2))/2=30%だとわかります。なので300×30%=90で答えは1……とやると出題者のミスリードにハマります。
問題文には300塩基「対」となるので、塩基は全部で倍の600あることになります。なので正解は600×30%=180で4が正解。
解答番号7は簡単で、3塩基で1つのアミノ酸を指定するので300/3=100。
もしこうなったらどうなるか
解答番号9の問題。
心臓の2心房2心室の機能は基礎的な知識ですが、もし左心室と右心室を区切る壁に穴があったらどうなるか、という問題。心臓の各区画の機能と肺をつなぐ血管の名称と流れを抑え、かつ論理的に答えを導かないといけません。
正解は1。肺静脈から左心房(正確にはさらに次の左心室)に送られた血液は、穴によって一部が右心室に入ってしまい、また肺に送り出される、という事態になります。
ちなみにこれは心室中隔欠損(VSD)と呼ばれているもので、新生児の0.3%で見られます。半数は自然治癒しますが、穴の大きさによっては手術が必要になります。
「もしこうなったらどうなるか」を考える
例年だと教科書に書いてある知識を問うものが中心ですが、今年は計算問題や考察問題が多く、文章を読みこなすだけでなく、「もしこうなったらどうなるか」というロジックを積み上げる練習が必要になりそうです。特に、ここで取り上げた問題の1番目と3番目は、そういう考え方をして解答する必要があります。
実はこの手の問題は、2021年からセンター試験に代わる「新・大学入学共通テスト」によくあるテイストです。もしかしたら過渡期と見なして新趣向の問題を少しだけ忍び込ませたのかも。布石ですね。
ということで、文系志望でも、計算問題や考察問題をしっかりおさえることが高得点につながります。今の高校2年生、がんばってください。
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