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夏休み子ども科学電話相談7月27日ピックアップ・変化アサガオの分子生物学

今回は先生の自己紹介のところから。

東京大学大学院理学系研究科教授・同附属植物園園長の塚谷先生が、これから植物園の見物は「変化アサガオ」と言っていました。

変化アサガオとは、江戸時代に作られたアサガオの変異体のことです。塚谷先生いわく、「変わった形のアサガオ。花とは思えない形」とのこと。

それでは僕の変化アサガオコレクションをごらんください。

下になればなるほどわけわからなくなりますね。中でも、花びらが多いものがよくあります。なぜこのようになるのでしょうか。

3つの遺伝子で4つのパーツを作る

前提条件として、アサガオは5枚の花びらでできています。

紫が5枚、白いところで区切られていると見なすことができます。この区切りが物理的な切れ目となると、最初の写真のようになります。

また、がくも5枚、雄しべも5本です。中央にある雌しべは1本です。

さて、真っ先に知っておきたいことがあります。それは、「がく、花びら、雄しべ、雌しべという4つのパーツを、3つの遺伝子で作っている」ということです。

3つの遺伝子をA、B、Cとして、アサガオの断面のうち左側を模式的に書くとこうなります。

4つのブロックに分け、左2つのブロックでは遺伝子Aが、真ん中2つのブロックでは遺伝子Bが、右2つのブロックでは遺伝子Cがはたらいているとします。そして、一番外側の①では遺伝子Aだけがはたらいていて、ここではがくになると設定します。同じように、②のA+Bでは花びら、③のB+Cでは雄しべ、④のCだけでは雌しべになると設定します。

ここで、遺伝子Cがなくなったとします。

そして、空いたところで遺伝子Aがはたらくとします。

さて、このアサガオはどうなるでしょうか。ちょっと考えてみてください。

* * *

葉の形が大きく変わる変化アサガオもあります。

* * *

答えは、こうなります。

③では、②と同じように遺伝子AとBがはたらいているため、花びらになります。つまり、雄しべになるべきところが花びらになります。雄しべは本来5本なので、花びらは合計10枚になります。これが、花びらが増える理由です。ただ、写真のアサガオは花びらが10枚以上あるので、もうちょっと複雑な背景がありそうです。

このアイデアは「ABCモデル」といわれています。アサガオだけでなく、多くの植物で共通のしくみと考えられています。

植物の世界は深いです。塚谷先生が園長を務めている植物園では8月から見頃らしいので、お近くの人は行ってみてはいかがでしょうか。

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