ボロ宿

日本ボロ宿紀行

先日、インスタライブをご覧になって頂けた皆様、ありがとうございました。放送後、自分で観て「これは迷走している」と思いましたが、下手の横好きをモットーに時々やりますので、今後の伸び代に期待してください(笑)

消えゆくものへの郷愁

2月8日金曜日に放送されるテレビ東京「日本ボロ宿紀行」に宿主役で出演させていただきました。深夜0時52分からです。自分で言うのもなんですが、されど自分で言うしかないので言いますが、面白い作品、面白い役をさせていただいたので、是非ご覧になっていただけたらと思います。

著者の上明戸さんは、ボロ宿愛について「消えゆくものへの郷愁」と書かれてましたが、このドラマの登場人物たちも同じ香りが漂っています。

第1話で、今にも崩れそうな昭和の建築物に対して興奮している春子の姿に、言葉には形容し難い感情が芽生えました。「消えゆくもの」という言葉に、桜庭隆二が重なり、桜庭隆二に自分が重なって見えたからなのかもしれません。

監督は、GAKUYA第3話でお世話になって以来の、たかせしゅうほう監督です。たかせ監督は、脚本も書かれています。スタートは俳優さんで、並行して自主映画も撮っていたら、本業になっていたという人です。そして第2話ではしっかり役者として出演されています。また、昨年のヤングシナリオ大賞で佳作を受賞されています。

嶋村とは、2年前に「GAKUYA」というドラマに出演させて頂きました。米ドラマ「24」のごとく、開演前30分間のドタバタをリアルタイムで見せていくというシチュエーションコメディです。

GAKUYAはありがたいことに、昨年末、地上波で再放送してくれました。CSの時より、反響が大きく嬉しかったです。下記のは好きなツイート。小屋主さんに開演30分前に無理難題を言われて、頭に血が上ったあまり、冷凍室の冷気で頭を冷やす演出家役が僕です。

ボロ宿のスタッフさんにたかせ監督の印象を聞いてみたら「ずっと冗談を言ってますねぇ〜」とおかしな褒められ方をされていました。いつも愉快なワードが脳内に溢れている方なのだと思います。作品を通して、僕を面白く弄ってくれるのがありがたいです。

実在のボロ宿からのフィクション

第3話の宿は、そんなたかせさんにぴったりの、おもしろワードへ言語化し放題ののボロ宿でした。現場は終わることのない「リアル間違い探しゲーム」でしたが、考え直せば、それは実在するもので決して誤りではありません。宿を俯瞰すると、散りばめられた違和感が調和をなしています。その宿は「忙しない日々を過ごし、とはいえ決して裕福ではない俳優稼業を送っている僕」にとってもホッと一息つかせてくれる小さな休憩地でもありました。居心地の良さのあまり、甘噛みしたことも、さほど落ち込みませんでした。「僕は大した俳優ではないかもしれないが、一つの間違いのような存在として、ただここいればいいじゃないか」自分に少しだけ優しくなれた気がしました。しかし、これまた考え直せば「甘噛み」は作品として使いどころがなく、スタッフさんに迷惑をかけるだけにとどまらず、僕の信用問題にも関わることですので、帰路、しっかり反省しました。なので、この件に関しましては、皆さんも決して口外しないよう、強くお願いしたいと思います。

今回の脚本を読ませていただいた時、テンポの良い会話や展開に口元を何度も緩めましたが、その全てが実在のボロ宿から産まれたフィクションだと思いますと、やはり冒頭の上明戸さんの言葉がドラマにオーバーラップして、たまらなくなります。私は宿主という役ですが、実際の宿にもいらっしゃるわけです。撮影前に、ご主人とお話しする機会があったのですが、初めて会った方だと思えませんでした。すぐに理由が分かりました。脚本と同じ内容の言葉を話されていたからです。しっかり取材された上での作品なのだなと実感した瞬間でしたし、自分のコミカルな役に対して深い味わい、人生を感じた瞬間でもありました。

主役の深川麻衣さんと高橋和也さんのコンビは、すでに良い雰囲気が出来上がっていました。そこへ飛び込んでいった僕を、温かく混ぜてくれたのが嬉しかったです。

深川さんの女優さんとしての印象は、乃木坂46の「今、話したい誰かがいる」の個人PVのイメージでした。美しい魔性の先生。

ナイロンの吉増さんと、シグナルズの杉山さんが夫婦役で出演していて、個人的にはツボの作品です。なぜCDを購入しなければ観ることのできない作品を僕が観ているかと言いますと、実は僕も同じCDに収録されている能條愛未さんの個人PVに参加させていただいたからです。監督は荒船泰廣さんです。

興味ある方は「今、話したい誰かがいる」type-Cでご覧になってください。どちらの個人PVもご覧になれます。

桜庭隆二が、ボロ宿のような消えゆくものの象徴だとすれば、そのボロ宿で切り盛りしている女将さんが春子さんの様な気もします。「魔性な先生」とは違って、泥臭くCDを手売りしている人情味溢るる深川さんも、とても魅力的で心を動かされました。

髙橋さんの存在感は言うまでもありません。呉美保監督の「そこのみにて光り輝く」「きみはいい子」での対照的な役柄でのお芝居に感激していた僕としては、ご一緒できたことは幸せでした。

金曜日にリアルタイムでご覧になれない方は、TVerで放送後1週間観ることができますので、ぜひこちらで。

今年はnoteを時々書いていこうと思っています。こちらの伸び代にも、ご期待ください。



明日への糧にしますー。