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「きっかけは、江ノ電」〜暮らしを意識するようになった話〜

「旅行」「旅」「外出」「出かける」など、この言葉は【外に出て行く】ことに共通している。「がっつり、旅をしてきます!」と時間をとれたらいいのですが、日々生活していると、中々、簡単に時間やお金をかけれない。

ふと、空いた時間は、ふらっと行きたい所に行って、なんとなく過ごしてみるのはどうでしょうか?


今回は、僕が地方での暮らしを意識するように(原体験)になった江ノ島電鉄のある町のお話。

僕は、小さい頃から、姉が見ているドラマを横で見ていた。年を重ねるにつれて、ドラマの内容を理解し、自分の好きなものを見るようになった。

僕にとって、ドラマのロケ地は遠い世界だった。大きくなるにつれて、旅行には行くけど、いつも誰かと一緒で、一人で行くことはなかった。

そんな僕が初めて、一人で向かったのは、鎌倉の長谷寺だった。


きっかけは、突如できた空白の時間

看護師になるために看護学校の入学試験を受けていた。大阪と別に、関東の看護学校も受験し、1次試験を通過したら、2次試験も関東で試験がある。1次を通過する気、満々で予定を組んで、試験前日に東京の友人宅に泊まった。今思えば、残酷で、試験前日に1次試験の合格通知が届く。

そう、不合格。2泊3日で2校受験の予定が。

そう、2校とも不合格。

「えっ、なんのために来たん。」って言葉を失い、
僕の2泊3日の予定が白紙になった。

横で見守いた、友人が口を開いた。

「はせの名前のお寺があるで。長谷寺って所。
ドラマのロケ地もあるし。行ってみたら」と。

なんの予定もない。今後の進路を長谷寺にお参りしてみようか。
友人は仕事があるため、一人、長谷寺へ向かうことになった。

*苗字が長谷川なので、「はせ」の相性


ドラマで見ていた世界が広がる

東京から電車に揺られ、辿り着いたのは、鎌倉駅。不合格、受験シーズンの1月。心も体も寒いはずなのに、鎌倉駅の看板を見たら、ドラマで見たことのある風景。

江ノ島電鉄の車体の緑を見た時、「あードラマの世界は現実にあるんだと。」

そこから、江ノ電に乗って、長谷寺へ。

訪れた長谷寺で、3回の凶

志望校に見事、不合格の烙印を押されて、これからどうしましょうか、神様仏様の気持ちで、おみくじを引いた。

まさかの凶、もう一度だけと願い、引いたそのおみくじも、凶

最後は、なぜか長谷寺の英語のおみくじを引いた。そのおみくじも、凶を意味する内容だった。

ここまでくると、そういう時期なんかと。心が少し冷静になった。長谷寺の階段を登り、なんの目的もなく登ったそこにあったのが、湘南の海と山と民家だった。

大阪では、見れない、自然の中にある暮らし

何も考えず、その道は、梅雨になると紫陽花の名所になるのだとか。もちろんその時は、咲いておらず、ただ遠くが見えるだけ。凶が出た時に、ここより下にはいかないから、運が上がる一方、とはよく言ったもので、2月末の後期入試で滑り込み合格を果たし、無事に学校を入学、卒業し、看護師になった。そんな今でも、この景色は忘れずに、時々思い出すことがある。

ほんと、ただ、家と海、山と空が見えるだけなのに。

節目のたびに、訪れる場所へ 

凶を3回も引いたご縁なのか、それから、毎年、この場所へ訪れるようになった。自然の中にある暮らし風景に魅了され、江ノ電沿いを歩くのが、この旅のマイルールとなった。

電車が目の前に、突如みえる
数々の名作に映った風景
どこまでも、伸びる竹
続く道
青春を過ごした、この子たちは、今どうしてるだろうか
そして、江ノ島に住むことに

大阪で勤め、その後、自分に見つめ直す時間をくれた江ノ島に住んだ。

しかし、土日の恐ろしさを知る由もなかった。

ゆったりするはずが

休日の観光客の多さに、心が疲弊して行くのが、日に日にわかったのだ。海沿いや江ノ電を見ながら、散歩し、旅で訪れ時のように、心が落ち着くと思っていた。

大好きだった場所が。
居たくない場所になってしまった。

運転免許書更新のタイミングで、移り住み、住所が「江ノ島」と印字された喜びは今でも覚えている。でも、ここから離れて暮らすことにした。

僕にとって、この町並みは、旅する場所で、暮らす場所ではないのだと。

江ノ電の街並みが、僕に、暮らしと旅の違いを教えてくれたのだ。


#空白の時間 、#ドラマのロケ地、というご縁がなければ、あのタイミングで、この場所には訪れていなかった。心が落ち込んでいる時に、癒してくれたあの風景には、感謝している。

でも、あの気持ちで、あの景を見ることができないのだろう。

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