CanvaでなんとかしてA5同人誌の表紙を作る

この記事は、A5判型・小説同人誌のデザイン表紙を、無料グラフィック編集ソフト「Canva」で作る方法を説明しています。字書きが表紙を自力で作るハードルをどうにか下げて、推しにまつわる小説本をこの世に増やしたいという欲望の元に書きました。

はじめに
このhow toは「誰かに頼む余裕もないけど、表紙を作ったこともない、描画ソフトなんてない、しかしどうにかして書き上げた小説を本にしたい……」というつらい状況の文字書きが、何とかして印刷所に入稿できる表紙を作る、ということを目的としています。正直なところ「Illustrator(adobe社のソフトです)1ヶ月単位で契約したほうが100倍楽では!?」と思う箇所が大量にあるんですが、とにかく初期投資ゼロで表紙作りは可能である、ということをいっぺん試してみたいと思います。

この記事で作るもの
印刷所に入稿できる、A5本のPDFデータ(表・裏表紙、背表紙が全てセットになったもの)を作ります。見開いた状態で、左側が表紙・右側が裏表紙になります。完成イメージは以下の通り。

1.データを作る前に
 1-1.Canvaに登録する
 1-2.印刷所を決める
 1-3.背幅を計算する
 1-4.覚えて欲しい用語
2.基本データを作る
 2-1.画像サイズを指定する
 2-2.ざっくりと中央を把握する
 2-3.写真を配置する
 2-4.タイトルを入れてみる
 2-5.データをダウンロードする
3.入稿データを作る
 3-1.キャンバスを作る
 3-2.元データを配置する

1.データを作る前に

1-1.Canvaに登録する
Canvaへの登録を済ませておいてください。以下リンク先右上の「登録」からユーザー登録できます。PCブラウザでの操作画面を説明に使っていますが、iPad, iPhoneからもアプリで利用できます。
https://support.canva.com/ja_jp

1-2.印刷所を決める
文字書きが本を出す時に悩むことはめちゃくちゃあると思いますが「印刷所どこにすればいいんだ問題」も重要ですよね。今回は「表紙データをPDF入稿できる印刷所」にしてください。コミックモール、ポプルスなどはPDF入稿可能です。他印刷所も、問い合わせるとOKなことが多いです。

1-3.背幅を計算する
表紙周りで作らなくてはいけないものは「表紙(表1)」「裏表紙(表4)」「背表紙」の3点です。表紙・裏表紙にサイズの差はありません。ですが、背表紙のサイズだけは、人によってまちまちです。選んだ本文用紙によっても変わります。印刷所のホームページには、計算方法が載っていますので、各自で計算しておいてください。

1-4.覚えて欲しい用語
2章以降で、特に説明なくぺろっと使う印刷物関係の用語があるので、分からなくなったらここを見てください。印刷所のホームページでも、こうした説明はより細かく掲載されています。(参考:ポプルス


表1:オモテ表紙のことです。ここにタイトルなどが入ります。本の顔ですね。
表4:じゃあウラ表紙は表2?と思われるかもしれませんが、表4です。
表1をめくった裏側が表2、表4の裏が表3になるためです。前から順番に番号がふられています。
断ち落とし(断ち切り):本を作る工程ですが、ざっくり言うと「印刷→製本→断裁」の流れで進みます。はじめから完成品ぴったりのサイズで作るわけではなく、後から余分な端を切り落として、きれいな本に仕上げるんですね。この作業を「断ち落とし(断ち切り)」と呼びます。この工程と、文字書きを悩ませる「3mmぬりたしをつけてください」問題は深く関わっています。とにかく、本を作る時にはそういう工程がある、ということだけ覚えておいてください。

2.基本データを作る

2-1.画像サイズを指定する
Canvaで、作りたい画像サイズを設定します。ここで例の「3mm塗りたしてとか言われるけど訳わかんねえよ」問題が勃発しますが、解決していきましょう。とりあえず、下の図をみてください。

これから作っていく表紙データの、ざっくりとしたラインです。
赤い点線は、私たちが作りたい本(今回はA5)の「仕上がりサイズ」です。
水色の実線は、印刷所が欲しい「3mmぬりたしサイズ」です。
1-4で「断ち落とし」について軽くふれましたが、印刷所では「仕上がりサイズ」である赤い点線部分で断裁をします。ただ、どうしても裁断機の刃が微妙にずれることがあります。すると、どうなるか。
たとえば真っ黒い本を作るとき、赤い点線部分までしか黒インクを載せていなかったとすると、断裁が外にずれた時、フチに白い部分ができてしまいます。大変まぬけです。それを避けるために「多少ずれても平気なデータを作ってくださいね」=「3mmぬりたし作ってね」と印刷所はお願いをしているのです。
そういうわけで「見開き状態の表紙サイズに、上下左右3mmずつ足したサイズを設定すればよい」ということです。もっとわかりやすく丁寧な説明は、各印刷所さんのホームページ見てください。

この仕組みを踏まえて、サイズを計算していきましょう。まずは「幅」から。背幅は10mmと仮定して、計算します。A5本の寸法は148×210mm、です。
横幅の計算式は「左端のぬりたし+表1の横幅+背表紙の横幅+表4の横幅+右端のぬりたし」です。
つまり「3+148+10+148+3」=312mmとなります。計算式でウッとなった方は「302+各自の背幅」で計算してください。
縦はもっと簡単「上のぬりたし+表1の縦+下のぬりたし」です。
つまり「3+210+3」=216mmです。背幅に左右されないので、縦のサイズは、A5本ならみんな一緒です。背幅5mmなら307×216mm、背幅10mmなら312×216mmで作成すればいいということです。他ソフト、wordとかで表紙作る場合も、この計算方法は変わりません。

さて、本来であればこのサイズをCanvaに入力すればいいのです……が、今回の作り方に限っては「2倍サイズ」で作っていきます。上記で出した縦横の数値それぞれを2倍してください。背幅5mmなら614×432mm、背幅10mmなら624×432mmです。ややこしい工程でごめん!
(2倍にする理由はあるんですけども、説明するとそれだけで1記事終わってしまうので「諸事情により、大きいサイズの方が都合がいい」とだけ聞いて、飲みくだしてください。2倍にしないと、ぼやけた表紙になる可能性があります。web上だけで使うデータなら、2倍しなくていいです)

Canvaのホーム画面は、以下の右図のような感じです。右上の「画像サイズを指定」から、サイズを入れましょう。最初に単位をmmにするのをお忘れなく。


2-2.ざっくりと中央を把握する

サイズを指定すると、こんな感じの画面が出てきたかと思います。画面左側がツールボックス、右側が作業場所(キャンバス)、という感覚です。キャンバスに文字や写真を配置して、表紙を作ります。
さて、このままだとどこが背表紙部分にあたるのかよくわからないので、とりあえず真ん中に目印つけましょう。
ツールボックスのタブから、「素材」→「ライン」から、左上の白い細いラインを選択してください。キャンバスに黒い横線が出てきます。

中央あたりにある、丸い矢印で回転できます。縦に直しましょう。これをキャンバス中央に持っていく。短くてもいいです。ただの目印なので。
Canvaのいいところは、自動でガイド線が出てくることです。キャンバスのど真ん中にくると、紫色の点線が出てきます。ここが真ん中ですので、ライン置いておきましょう。この左側が表1、右側が表4です。あまりこのラインに近いと、背表紙に巻き込まれてしまうので、タイトルなど重要な情報を置くときは距離をとりましょう。

Canvaの弱点は「サイズを測ることができない」ことです。定規とか、サイズ指定して四角形を描くとかできない!これはcanva最大の弱点です。一応裏技的なものはあるので、別記事で書きます。

2-3.写真を入れてみる
「素材」→「無料写真」で、写真を配置することができます。上部の検索窓からも、単語で検索ができます。日本語でも探せるけど、英語のほうが精度いいかも。とりあえず、横長のよさげな写真をクリック。
(自分で見つけてきたフリー素材をアップロードすることもできます。やり方は3-2で説明しています)

選んだ写真が、キャンバスに反映されます。でもこのままだと小さいので、拡大しましょう。画像の角をドラッグすると、拡大・縮小できます。キャンバスからはみ出ても大丈夫。あと、画像を選択していると、上の方にツールバーが出てきます。写真を消したいときは、左上のゴミ箱アイコンをクリックしてください。(deleteキーでも消せます)


ツールバーに並んでいるのは、左から順に「フィルター」「反転」「透明度」「ゴミ箱」です。特に左2つは、写真加工にとても便利。
「フィルター」は、インスタっぽい加工が簡単にできます。
「反転」は、写真の上下左右を回転できます。

フィルターを使って、紫がかった写真に加工してみました。自由に加工して構わないのですが、あまり鮮やかすぎる青や、蛍光色のような色は、印刷物では再現しにくいので、注意が必要です。

2-4.タイトルを入れてみる

「テキスト」→「見出しを追加」でテキストボックスを追加できます。単に文字サイズが違うだけなので、「小見出し」でも「本文」でも何でもいいです。下の方には、英語のみですが、デザインが組まれたテキストボックスもあります。英語タイトルなら、このまま利用しても良いかと思います。
テキストを選択していると、上のツールバーの内容も変わります。フォントやサイズ、色など自由に変更できます。特に便利なのは「間隔」、文字間・行間を非常にわかりやすく調整できます。
さらに、Canvaはイラストも使えます。あまり種類はないのですが、色が自由に変えられるのが大変便利。

こんな感じになりました。文字情報を置く時に注意して欲しいことは
①フチに近づけ過ぎない
端は、製本の後に断ち切られます。わざと文字がはみ出たデザインならいいのですが、大事な情報が途切れないように注意しましょう。
②真ん中配置はちょっと寄せる
上記の表4に置いたイラストと文字ですが、ちょっとだけ左に寄せています。右側が断ち切られるので、この段階で表4の真ん中に置いてしまうと、完成した本では右側に寄りすぎてしまうためです。

断ち落としラインのことは、作業中につい忘れがちですが、少しだけ意識しておきましょう。
それから、作業が終わったら、目印に置いていた黒いラインを消すことをお忘れなく。

2-5.データをダウンロードする

右上の「ダウンロード」で「PNG」を選択してください。「JPG」や「PDF」になっている場合は、変更します。「PNG」にしたら、ダウンロード。これで、表紙はほぼ完成です!あと少し!


3.入稿データを作る

3-1.入稿用のキャンバスを作る

ここからは、今までの応用です。Canvaのホーム画面に戻り、もう一度「画像サイズを指定」で、新しいキャンバスを作ります。
ここで入力する数値は2-1で計算した数値です。2倍にしてないやつ。
幅は302+各自の背幅mm、縦は216mm。背幅5mmなら307×216mm、背幅10mmなら312×216mm。本来の入稿サイズでキャンバスを作ります。

3-2.表紙データを配置する
新しいキャンバスに、さっき作った表紙データを配置します。
ツールボックスの「アップロード」→「画像をアップロード」で、表紙データを選択してください。

さっきまで作ってた表紙画像が、配置されました。これをキャンバスに合わせて、拡大してください。はみ出さないように、ガイドを見ながら。

これを再びダウンロードします。今度は「PDF(印刷)」を選択してください。このPDFデータが、印刷所に入稿できる表紙データです。「トリムマークと塗り足し」にはチェックを入れないように。もう塗り足し部分込みで作ってますよね。

これで入稿できる表紙データ完成です!おつかれさまでした!!
この世にどんどん小説本があふれ出ますように!!

おまけ
文字書きが直面する「なんだそりゃ訳わかんねえ」問題のひとつ、解像度について。すげえ雑な判別方法の話をすると、DLしたPDFを400%ズームしてみたときに、文字や写真がモザイク状になってなければ、まあ大丈夫です。

上の画像でいうと、左はちょっと厳しい。右は大丈夫。
左の状態でも、印刷所によって対応が変わってきますので、まずは相談してみましょう。

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清水

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デザイン系の記事を収集してまとめるマガジン。ハッシュタグ #デザイン のついた記事などをチェックしています。広告プロモーションがメインのものは、基本的にはNGの方向で運用します。
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コメント3件

自分も、今後自作本や同人誌を出そうと思った時、表紙をどうしたらいいか悩んでいたので、それを丁寧に説明してくださって、感激しました。大きめにデータを作ってから小さくすれば、ギザギザが出にくくなるんですね。わたしもキャンバ愛用者なので参考になります
YU-Uさん コメントありがとうございます。表紙は悩みの種ですよね……私も手探りですが、役立てていただけたら幸いです!
すごくわかりやすいです。 スクリーンショットが上手です
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