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「本物のロジカルシンキング」はできているか?論理的思考力を高める3つのSTEP

プロジェクトマネージャー(PM)にとって欠かせない能力の一つ「ロジカルシンキング(論理的思考)」。この能力がなければ、プロジェクトを円滑に進めるのは非常に困難です。

PMでなくとも、ビジネススキルにおいてロジカルシンキングは重要だとよく言われています。中には、「もっとロジカルに説明してくれ」「論理的思考能力が足りない」と言われた経験があり、ロジカルシンキングの力を向上させたいと考えている人も多いはずです。

ではそもそも、ロジカルシンキングができているとはどういう状態なのでしょうか。そして、どのように鍛えれば良いのでしょうか。

今回は、そのロジカルシンキングの3つのポイントとその能力を鍛える3ステップをご紹介します。

ロジカルシンキングができているとは?

私たちPMは、会議のファシリーテーション、資料の作成、顧客との会話など、あらゆるシーンで気を付けていることが3つあります。これがロジカルシンキングの真髄であり、この3つができていれば、おおよそロジカルシンキングができていると言っても問題ないでしょう。

--- 【ロジカルシンキング3つのポイント】--------------------------
①網羅的に構造化できているか(MECE)
②要するにどういうことか、正しく説明できるか(So What? / Why So?)
③具体化と抽象化で確度の高い認識合わせができているか
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①網羅的に構造化できているか(MECE)

ロジカルシンキングの基本は「MECE(ミーシー)」にあります。抜け漏れはプロジェクトの進行を阻害する要因ですから、対象となる事象をMECEで網羅的に把握することが重要です。

そして、それらを構造化できるかどうかも大事なポイントです。たとえ網羅された資料があったとしても、文章が何十行、何百行と連なっていたのでは、正しく認識してもらうことは難しいです。読みやすく、理解しやすくしてもらうためには、まず大きく分けるとこうなる、さらにブレイクダウンするとこうなるというように、段階的・構造的に整理されている必要があります。

②要するにどういうことか、正しく説明できるか(So What? / Why So?)

MECEと並んでもう一つ重要な考え方が、「So What?」「Why So?」です。「So What?」は「だから何なのか?」、「Why So?」は「それはなぜなのか?」ということですが、この2つを問うことで、「要するにどういうことか?」を正しく導き出すことができます。この作業によって内容がより具体化され、思考も深掘りされていくので、正しい理解と説明ができるようになります。

私たちPMが入るミーティングの場では、常に「だから、どうしたいのか?(So What?)」「なぜそう決まったのか?(Why So?)」などと、細かく質問や確認を繰り返します。そうすることで全体の理解を深め、プロジェクトに関わる人の間で認識の相違が生まれないようにしていくのです。

また、Why So?においてファクトは非常に重要です。思い込みや勘違いしている情報で意思決定することがないよう、常にファクトとなる資料(議事録も含む)を前提に、Why So?を確認する必要があります。

③「具体化と抽象化」で、確度の高い認識合わせができているか

「So What?」「Why So?」と同じように、この「具体化と抽象化」も理解を深めるために行います。「具体的に言うと、それはどういうことか?」と内容を具体化し、「まとめると、こういうことか?」と内容を抽象化する作業が、この具体化と抽象化です。

例えば打ち合わせをしていると、すごく曖昧なまま話が進んでしまうことがあります。その時に「これは、例えばこういうことですか?」と少し具体化してあげるとイメージが擦り合ってきます。逆に細かい話をしているときは、「要するに、こういうことですか?」と話をまとめてあげると、全体像が掴めるようになります。この具体化と抽象化を繰り返すことで確度の高い認識合わせができ、議論が前に進んでいくのです。

ロジカルシンキング向上3つのSTEP

この3つのポイントを掴んだロジカルシンキングができるようになるためには、どうすれば良いのでしょうか。ここからは、ロジカルシンキングを向上させる3つのSTEPをご紹介します。

この3つのSTEPは、私たちがプロジェクトマネジメントをする際にいつも実践しているSTEPです。これを繰り返すことで、プロジェクトを正しい方向前進させると同時にロジカルシンキングの力を自然と向上させているのです。

--- 【ロジカルシンキング向上3つのSTEP】-------------------------
①フレームワークを知る
②アウトプットする
③整理する
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①フレームワークを知る

先ほどMECEについて言及しましたが、MECEにするためにまずフレームワークを知ることから始めるといいです。そうすることで網羅的に抜け漏れのない状態にすることができます。

例えば、「5W1H」は基本中の基本です。PMは資料作成時に抜け漏れが発生しないよう、必ず5W1Hを意識しています。これ以外にも、プロジェクトや目的によって使うフレームワークは様々です。時と場合応じてどんなフレームワークが必要なのか、判断できるようになることも重要です。

②アウトプットする

ロジカルシンキング力を向上する上でとにかく重要なのがこのアウトプットです。よく「頭の中で考えている」という人がいますが、それはただ「悩んでいる」だけに過ぎません。アウトプットしてはじめて、考えられる状態になります。書き出すことからロジカルシンキングが始まると言ってもいいです。

なぜ議事録を極めることが成長につながるのか?フリーターを一人前のPMOに育てた人材育成術」の記事でアウトプットの重要性について触れたように、アウトプットは、ロジカルシンキングの向上だけでなく、ビジネス文書表現・日本語表現の学習、様々なコミュニケーションを読み取る能力の向上にも繋がります。

頭で考えるのをやめて、まずは書き出しましょう。

③整理する

アウトプットができたら、それを整理しましょう。なぜなら、ただアウトプットするだけではアウトプットのレベル感にばらつきが生じ、わかりにくいままになってしまいます。

ロジカルシンキングのポイント①の例で挙げたように、上から下まで文章を羅列してあったのでは、その資料は機能しません。きちんと整理し、構造化する必要があります。構造化するということは、アウトプットの粒度を揃える必要があります。粒度を粗くするなら粗いもので揃える、細かくするなら細かくして分類しましょう。

また、整理する際にはできるだけフレームワークを使うといいです。私たちPMはこのアウトプットの整理作業によって、「このピースが漏れている」「このアウトプットが合わない」などを見極め、場合によってはフレームワークの変更や追加をし、アウトプットの精度を上げていきます。

このように整理をすることで、理解が深まり、考える力や伝える力が向上し、ロジカルシンキングが上達していくのです。

ロジカルシンキングを鍛えるオススメの本

タイトル:ロジカル・ライティング
著者:照屋華子
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ロジカルシンキングを人に教えるにあたって、何かいい本がないだろうか?と色々と探したときに見つけた本です。こちらの本は論理的なライティングをするためのノウハウを教えてくれる本ですが、ロジカルシンキングを実に的確に説明してくれている本でもあります。ロジカルシンキングを身に付けたい方は、ぜひこれを読んで実践してみてください。

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