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「"メンズ"って結局どんなセクシャリティなの?」


こんにちは。シモです。

いよいよ、今日、なでしこリーグが開幕しました〜!ってことで、試合のWeb配信を見終わったところ@ドイツ。やっぱり日本の選手って選手全員の技術が揃って高いよなあ…

そんな話はさておき、今回は、2回目のnoteにしてちょいと堅苦しくなってしまうかもだけど…カミングアウト記事を@すてっぴぃさんに出してもらってからというもの、書かなきゃいけないな…と思いつめていたこちらをテーマに。

”メンズ”って結局どんなセクシャリティなの?


カミングアウト後にちょっぴり悩んだという話。

自身のセクシャリティをカミングアウトする上で、どうしても欠かせなかった話題の1つが女子サッカーに存在する”メンズ”というセクシャリティ。

今回、カミングアウト記事を想像以上の人に読んでいただいたのは、きっと「女子サッカー界には"メンズ"ってセクシャリティがあるの!?」という「へ〜」がそこにあったからだと思っていて。

いろんな方からTwitterやら個人メッセージやらで、「女子サッカー界の"メンズ"ってセクシャリティいいね!」「自分も"メンズ"だったら生きやすいかも」なんてポジティブな意見をもらえたりして、一般の方からもそんな風に思ってもらえるのかとなんだか安心してしまった…

一方で、物凄く気になってしまったのが、メンズというセクシャリティが世に出たのが初めてだったこともあり、"下山田志帆から見たメンズ"の情報だけが一人歩きしているんじゃないかということ。

カミングアウト記事にも書いたように、メンズというセクシャリティは人それぞれ定義が違うもの。(だと自分は思っている。)だからこそ、”下山田志帆から見たメンズ”の定義に対して違和感を持つ人(特に女子サッカー関係者&メンズの方々)がいるんじゃないかなあと思っていて。

意外と周りの目を気にするタイプの私は思ったわけです。女子サッカー関係者はこの記事をどんな風に思っているのだろうかと。

そんなタイミングで、とある女子サッカー選手数名と最近ご飯に行ったのだけれど。そこで、カミングアウト記事の話&メンズの話になり、みんなが話していたメンズ論に物凄く考えさせられたので今日はその話を交えながら"メンズ"のセクシャリティについて書いていきます。

(前振り長くてごめんなさい。)

メンズ、明確に定義しなきゃダメですか問題

まず初めに、くどいようだけど話をさせて。下山田志帆が考えるメンズについて。

自分自身、大学でメンズを含むLGBTアスリートについて研究していたこともあって、メンズ当事者・メンズ彼女・指導者・なでしこリーグの選手などなど、様々な人に話を聞いて自分の中でメンズとは何ぞやの部分を突き詰めてきたつもりではある。自分自身もそうだったし。

最初、研究を始めた頃は「メンズって一体なんなんだろう」と、メンズのセクシャリティ明らかにしてやるぜスタンスから入っていったのも事実。けれど、突き詰めれば突き詰めるほどセクシャリティはやっぱり未知数で。グラデーションのように色んな人がいて色んな恋愛の形があって、だからメンズという言葉を完璧に表現するのは難しいということに気がついてしまった。

そうやって、色んな人と話をして自分のセクシャリティと向き合って。周りに周り、考えに考えて至った結論、それが

「メンズという一言でとにかく女性と付き合うことが受け入れられるメンズ凄くね???女子サッカー界、メンズに寛容すぎ凄くね???」

だったわけ。つまるところ「メンズのセクシャリティって定義しなきゃいけないんですか。定義せずとも同性を好きになる事実が受け入れられていることがステキなんじゃ無いんですか。」って感じに至ったわけです。



メンズ、セクシャリティ不明確すぎて許せない問題

さて、話はこの間行われたご飯会にさかのぼり…

そこには性自認が男性で女性が好きな選手がいて。その選手は男性になるための治療を受けたいと思っているけれど、サッカーをするために女性でいなければならないと覚悟を決めて選手を続けている1人。

「メンズのさ、あのモヤモヤした感じが許せないわけ。自分は男性なのに、その不明確なセクシャリティと一緒にされたくないんだよね。」

その選手が開口一番に言った一言。これ、個人的には新しい感覚だったんだけど、冷静に考えてそうだよなあと物凄く納得してしまった。

確かに、男性として生きているトランスジェンダーの立場からすると、性自認が不明確でも受け入れられる"メンズ”のあり方は違った立ち位置に映るのかもしれない。メンズが女子サッカー界でこそ使われている造語だとしたら、それはあくまでも"本来の性別は女性だけれど"という裏の意味が隠れているとも言えるし。

一方で、現在は性別変更済み、幼少期から性自認は完全に男性だった友達がいる。彼に関しては、現役時代に「自分、メンズだからさ〜。」と自分でもネタにしまくっていて。「お前、女々しいんだよ!」と言われても「誰が女じゃ!あ、女か。」ってバリバリのノリツッコミを返したりもしてたんだよなあ。(今思えば結構カオス。)

このことから考えてもメンズというセクシャリティは、人によっては当てはまることで楽に生活しやすくなる魔法の言葉な一方で、そこに分類されることすら精神的苦痛になることだってあるかもしれない、ってことになる。

▼メンズ、勘違いされる側の気持ちにもなってくれ問題▼

そして、もう1人の選手が自分がカミングアウト後に気にしていたことを代弁してくれていたので、こちらについても書いていきたい。

その選手のセクシャリティはストレート。性自認は女性で男性が好き。

「自分はさ、前まで髪が短かったんだよね。そのせいで周りからメンズだってずっと言われてて。別に自分はメンズじゃないのにそうやって言われるのが嫌だったし、髪を伸ばそうとしたらメンズなのにどうしたって茶化されるからそれも嫌だった。」

これはもう、極端に髪を短くしていた女子サッカー選手なら誰もが経験したことがあるのではないかと思ってしまうほどの女子サッカーあるある。

女子サッカー界に長くいると"メンズを見極める能力"なるものが勝手に磨かれて。どこの誰がメンズなのか一目見れば見分けることが出来てしまうのもまた女子サッカーあるあるなんじゃないかとすら思う。

それは余談として、実際に「あいつ絶対メンズだよね。」って噂話は女子サッカー選手であれば誰もがしたことがあるはずだし、女子サッカー仲間で集まると必ずと言っていいほど出てくるこの話題。まさに、彼女はその餌食になってしまっていて「ストレートなのにメンズだと言われ、自分のセクシャリティを勘違いされる。」という苦しい体験をしてきていたのだ。LGBTの人たちが普段ストレートだと思われて生きる息苦しさの逆バージョンともいえる。


▼メンズというセクシャリティ、どう捉えるのが正解なのか▼

自分がカミングアウト記事を書いてもらった後に物凄く気になってしまったこと。それが「女子サッカーを見るのが楽しくなりました。」「女子サッカーに興味を持ちました。」というコメント。あの記事がどんな風に捉えられたのか気になってはいたし、コメントをいただけて嬉しい思いはもちろんあったのだけれども、女子サッカー選手を「あの選手、絶対メンズだよね」と興味を持ちながら見て欲しくないなと思ってしまったというのは正直なところ。

なぜなら、今回紹介したストレートの選手のような「ただボーイッシュなスタイルが好きな選手」も絶対にいれば、メンズとしてみられること自体が嫌だと思う選手も絶対にいるから。

「女子サッカー、セクシャリティに寛容でステキ!だから応援したい!」と思ってもらえたのであれば、女子サッカーを見てもらえるキッカケになれて物凄く嬉しいのだけれども、選手個人を興味本位で追いかけるのだとすればそれは物凄く不本意。

色々書いてみたけれど、結論何が言いたかったかというと、セクシャリティが明確にされていない"メンズ"だからこそ、そのセクシャリティに女子サッカー選手の中でも様々な想いや意見があるということ。"メンズというセクシャリティがある"という事実だけが一人歩きしてしまうのはどうしても避けたくて、今回このようにnoteを書かせてもらいました。

ただ、メンズという言葉が女子サッカー界では当たり前に知られていて、使われているというのは間違い無いだろうし(ここに対して疑問・意見等あればぜひ欲しい)、あまりにも当たり前すぎて正直何も考えずに"メンズ"ってセクシャリティを使っているという人は結構いるよねっていう超個人的見解。

そのフワフワ感と、メンズというセクシャリティを選ぶことができる選択の自由が、女子サッカー界の良いところなんだよなと思ってるんだけどね。

前にも書いたように、周りの目を結構気にするタイプだから、こんなこと書きながらビクビクしているのもちょっぴり事実だけれども。何か言いたいこと、意見等あったら、TwitterのDMなりを飛ばしてくれたら嬉しいな。


画:MOP

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下山田志帆/Shimo Shiho

ドイツ在住 + 女子サッカー選手 + LGBTアスリート な シモの頭の中。

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