なぜ今、指輪をつくるのか。そして、人は二度死ぬということ。 Reing Project

Re.ing(リング)というプロジェクトが始まった。これは、NEWPEACEHASUNAの共同事業だ。HASUNAは、エシカルという考え方を日本に持ちこんだジュエリーブランド。その代表である白木夏子さんと話す中で、ジュエリーの考え方自体からアップデートしなければならないのではないか、となった。(詳しい経緯はこちら

ブライダルジュエリー業界と呼ばれるように、ジュエリーは結婚という文化と紐付いている。ただ近年は、LGBTのムーブメントが起きたり、友人やペットを疑似家族として生きる人が増えたり、授かり婚が一般的になったりと、従来の「結婚」に留まらないパートナーシップが増えている。にも関わらず、まだまだ一般的なエンゲージメントリングやマリッジリングばかりだ。その状況がとても退屈だと感じた。

だから、決して1対1の男女とは限らない、「結婚」とは異なるパートナーシップをもって生きている人たちのためのリングブランドをつくることにした。関係性の象徴である指輪を変えることで、パートナーシップを問い直し、それぞれの人生を意思表明できるようにしたい。そう考えて、Re.ingというプロジェクトは始まった。まずは9つの関係性に対して指輪をデザインし、それぞれクラウドファンディングしていく。

第一弾として、4月25日に「性別をこえてつなぐ Little Rainbow」と「生死をこえてつなぐ Dearmond」の2つを発表した。「Little Rainbow」に関しては他のメンバーも書いているので、僕は「Dearmond」について書いてみようと思う。


人は二度死ぬ。

永六輔さんが遺した「人は二度死ぬ」という言葉を聞いたとき、僕は衝撃を受けた。と同時に、大いに納得するものがあった。有名な台詞だが改めて引用したい。

人って言うのは二度死ぬんだよ。
個体が潰えたら一度目の死。
そこから先、まだ生きているんだ。
死んでも、誰かが自分のことを思ってくれている。
誰かが、自分のことを記憶に残している、時折語ってくれる。
これがある限りは、生きている。
そして、この世界中で、誰一人として自分のことを覚えている人がいなくなったとき、二度目の死を迎えて人は死ぬんだよ。
自分はいま生かされている。
それは、一緒に姉と生きてる。
死んだ父・母とも一緒に生きてると本当に思い込んでる。
それがしゃべりの原動力になっている……

この言葉を思い出すたび、やはり人は関係性の中を生きているんだなぁと思う。僕も身内が亡くなったとき身体で実感した。自分の中であれば、まだ生きていける。語ることで、思い出すことで生かし続けようと、葬儀場で強く誓った記憶がある。

僕自身は「人はどうせいつか死ぬんだから、目の前のリスクなんて誤差だ」と思うから、生きていて怖いと感じることはほとんどない。一方で、誰からも忘れ去られるのは怖い。何か社会に爪痕を残そうと必死で生きているのは、そのせいなのかもしれない。

そんなことを思ったときに、亡くなった人と生きている人をつなぐ指輪があってもいいんじゃないか。そんな考えから生まれたのが、「Dearmond」だ。

その人の存在を身につける特別な指輪

「Dearmond」は、人の遺骨や髪の毛からつくるダイヤモンドリングだ。骨や髪から炭素を抽出し、世界にひとつのダイヤモンドを生成できると聞いたとき、自分の中でロマンに感じるものがあった。(4ヶ月という時間をかけて特別な技術によって作られるため、高価なプロダクトになってしまったが、その価値はきっとプライスレスだと思う。)

指輪は、どんなときもその関係性のきっかけや象徴にすぎない。しかし身につけることで、日常の中で意識の中に溶けていくことができる。これは亡くなった人のため、というよりも、いま生きている人のための指輪だ。

「死んだっていうからおかしいんだよ。先に行っただけなんだから」

永六輔さんは、こうも言っていた。

生きているということは
誰かに借りをつくること
生きていくということは
その借りを返してゆくこと

『Re.ing Project』は、パートナーという人生の中で大切な人間関係を通して、生き方を見つめ直すプロジェクトなのかもしれない。




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高木新平

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