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弱者が強者に勝つためには?卓球王者中国との戦いから考えてみた。

昨日、「この世界は、弱者が逃げるようにつくり変えてきた。あるいは、エストニアがIT先進国になれた真の理由」というnoteを書いたが、弱者の戦い方についても書いておきたい。

今年のゴールデンウィークは、ハンガリーの首都ブダペストで「世界卓球」を観てきた。NEWPEACE社では、卓球男子日本代表のユニフォームデザインなど卓球のVISIONINGをやっている関係で、毎年世界卓球を生観戦している。そこで幾つも世界トップクラスの試合を見ていると、戦い方について気づいたことがあった。

ご存知の通り、卓球は中国が絶対王者だ。練習を見れば分かるが、経験値も競争倍率も圧倒的に違う。ロボットのように無駄がない。素人目にその動きだけで「これは…勝てないな」と絶望するレベルだ。しかし、そんな中国選手相手にも、勝つ選手が現れる。総合力では負けているにも関わらずだ。その選手たちの共通項は何かをずっと探していたが、それは「ゲリラ」なんじゃないかと思った。

ゲリラってなんだ。僕も言葉としては想起しつつも、あらためてWikiの定義を引用してみる。

ゲリラ戦とは、予め攻撃する敵を定めず、戦線外において小規模な部隊を運用して、臨機応変に奇襲、待ち伏せ、後方支援の破壊といった、攪乱や攻撃を行う戦法、またはその戦法が用いられた戦闘を指す。(中略)1808年からのスペイン独立戦争でナポレオン軍に抗して蜂起したスペイン軍やスペイン人民衆の採った作戦を、ゲリーリャ(guerrilla、guerra「戦争」+縮小辞-illaで「小さな戦争」を意味するスペイン語の単語)と呼んだのが、ゲリラの語源である。

そう、奇襲によって“小さな戦争”に持ち込むのが重要だ。総合力では太刀打ちできない相手でも、局所的には勝負できる。話を卓球に戻すと、どんな中国選手でも必ず一本か二本は苦手に感じる球というのがある。それはサーブだったりブロックだったり、その状況によって変わる。とにかくそれを序盤で見つけ、徹底的に攻め続けるのが、勝ち筋だ。まず1セット目を取ること。そして相手を焦らせて、会場を味方につけて、その勢いのまま勝負を決めてしまうこと。一度リードすると、安全プレーに走ってしまう選手がいるけど、その隙を見せた瞬間やられてしまう。一度でも相手に勢いをつけさせてはいけないのだ。

その証拠に、卓球は4セット先取のゲームだが、中国に勝つ選手というのは、4-3でギリギリなんとか勝つわけではない。大体、4-0や4-1で勝つ。3-3で最終セットまでいくと、むしろ実力と経験の差で寄り切られてしまう。つまり結局、自分よりも強い奴を倒すためには、相手が嫌に感じる自分の攻撃によって、一点突破、スピード突破するしかない。このゲリラ的戦い方こそが共通項だった。

これはスタートアップでも同じだ。イノベーションのジレンマをつき、新しい戦い方を仕掛け、大資本が身動きが取れないうちにマーケットを抑える。そこをオセロの角として、またニッチな攻めを続け角を落とし、気づかれないうちに面を取っていく。そういう意味で、中途半端に王道の戦い方をしてはいけない。総合力では弱者であることを自覚しながら、一点が切り拓く道を信じて、そこに時代の波が重なるのを信じて、猪突猛進していこう。そして初めて、まだ何者でもない僕らは、ゲリラで小さな戦争に勝利するのだ。