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映画館で20回観るのは序ノ口。電子ドラッグ「キンプリ」という新体験。

ある友人に誘われ、キンプリという映画を観ることになった。正式名称、KING OF PRISM -PRIDE the HERO-。2013年に放送されたテレビアニメ『プリティーリズム・レインボーライブ』の公式スピンオフ作品で、2016年1月の公開に続く、第2作目らしい。

内容に関しては、ヘタに何か書くとファンに凸られそうなので、やめておきたい。ただ、あまりに衝撃的だったので、その存在すら知らない人のために、共有しようと思う。これは、2017年の日本のエンタメ最前線なのかもしれない。

ちなみに、人生初の応援上映だった。映画を観ながら、声をあげることを楽しむ鑑賞スタイル。YouTube動画では、星空をiPhoneで撮った写真と同じくらい、現場の素晴らしさが伝わらない。しかし確かに、映画館の概念を変える体験だった。


キンプリは、もはや映画ではなかった。宗教儀式、いや電子ドラッグだった。それは僕の浅い人生経験で例えるならば、浄土宗の寺で大きな数珠をみんなで回しながら念仏を唱えたときのような昇天感。バーニングマンという砂漠フェスで燃え盛る巨大な人形を見つめたときのような世界との一体化。

最初はちゃんと物語を追おうとしたが、(事前情報なかったせいもあるが)置いてけぼりを食らわされる謎展開の連続で、諦めざるを得なかった。しかしロジックで理解することを放棄した途端、考えることから解放され、気がつけば、目の前の映像や音楽とともに極楽浄土していた。

共創とかインタラクティブとかエンゲージメントとか、そういう言葉で表現するレベルではない。キンプリには、作り手と客に境界がなかった。応援上映というのもあるが、客のツッコミありきの台詞構成だったし、もはや客はスクリーンの中にいた。映画が始まるときにサプライヤーロゴが出てくると、みんなで「avex picturesさん、ありがとう」などと叫んだ。お金を払っている客がスポンサーにありがとうと言うなんて、完全に作り手の視点だ。

今回、招待・解説してもらったじゃのめさんは、6月10日に公開されたこの映画をすでに20回観ているらしい。ガチ勢の中には、2日で17回観た人もいるそうだ。(どうやってみるんだよ…)なぜかといえば、今回監督が「100億いかなければ次はない」と宣言しているからだそうだ。前回が約8億。今回はまだ3-4億。全国50館ほどの上映で、正直かなり遠い道に思えるが、このドラッグにはまった信者たちは、達成を信じてやまない。帰り道でも「チケット手配・鑑賞後の解説、全部アテンドするから、興味ありそうな人みんな繋いでほしい!」と懇願された。(どんなエネルギーだよ…)

わけわからないままに色々書いたが、ブログを書いている時点で、僕もキンプリにハマっている。キンプリは、何かに囚われた僕たちを、新しい自由へと誘ってくれる。Feel So FREEDOM!これは映画の形をした電子ドラッグ、そして現代の祭だ。そんなヤバい体験がたった1600円で手に入るなら、買わない手はない。だまされたと思って一度観に行ってほしい。

※案内希望の方は、じゃのめさんにメッセージするといいかもしれない。