キャリア系トークイベントの限界

昨日、いま注目の人材マーケット論者の北野唯我さんと、アスリートの為末大さんと、キャリアに関するトークイベントに参加した。(北野とは友人で、去年にも一緒にイベントを企画した。参考ブログ)今回は、北野の『転職の思考法』という書籍の出版記念だった。

副題にもあるように、「このまま今の会社にいていいのか?」と少しでも悩んでいるなら、是非この本を読むことをオススメする。当たり前だが答えはないけど、判断軸を得ることができる。モノサシも仮説もない思考だと、どんなに脳を回転させてもゴールにはたどり着けないから。

それはそれとして、昨日イベントに出て、改めて気づいたことがある。よく考えたら当たり前なんだけど、「キャリア系の講演イベントに参加しても、人生は前には進まない」ということだ。

北野の本でも、なぜ転職が怖いのか、ということに「それは人生で初めての意思決定だからだ」と書いてある。これはそうだと思う。僕も意思決定の数だけ人間は成長できると思っていて(だから色んな逆境や修羅場で、自分で何かを決断し、乗り越えてきた人は強い。)、どんな仕事でも人や物事の前に立つようにしているし、会社のメンバーには経験のないことほど本人の考えで進めるように促す。それは失敗であっても。

意思決定は、自転車に乗るようなもんで、だれかから理屈で教えられても一生できるようにはならない。とにかく乗って、転んで、転ぶ痛さや転び方を知り、また勇気を出して乗って、リスクに打ち勝って踏み込んで、乗れるようになる。もちろんそのときサポートがあるほうがいいし、応援してくれる人がいてくれたほうが嬉しい。

北野や為末さんのような思考がしっかりした(ように見える)人でも、キャリアの狭間にある意思決定には、明確な根拠などない。スティーブ・ジョブズが言った「Connecting Dots」ではないが、今はとにかく直感に基づいて行動して、あとから正解にしていくのだ。行動ファースト。だから、人のキャリアの話を聞いて何かヒントやロジックを持ち帰ることができても、それは自分で何かを意思決定し、人生を動かしていくことにはつながらない。残念ながら。

だからと言って、こういうイベントに価値がないわけではない。誰かの人生の追体験は一種のエンターテイメントではあるし、参加者同士同じような問題意識を持った仲間になれるかもしれない。でもそれと人生を動かすのは別。まずは感じたことを自分の言葉でツイートすることからでも、人生の主権を取り戻さなければならない。

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高木新平

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